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物心ついた頃からこの記憶を持っていたことに感謝しながら、僕はどうにか婚約破棄を回避できないかと画策した。


自分が没落する分は別にいい、でも可愛い妹が辛い思いをするのだけはどうにかしてやりたかった。


そもそも婚約をしなければ、そんな思いから両親に妹への婚約の話がきた時に「まだ早い!」と何度も訴えた。


けれど「こういう事は早めに決めておかないといつまでもお前がこんな調子だとエルヴァは結婚できないからな。」と軽く流され


「そんなに心配ならしばらくはノアール殿下がこちらにいらっしゃった時はお前も一緒にいるといい。エルヴァもその方が気が楽だろうしな。」


と何故かハインツも一緒にノアールの相手をしなければならなくなった。



一言で言えば幼いノアールはエルヴァと並ぶくらいに可愛かった。


漫画ではあまり描かれてなかったがもちもちとした頬っぺたに丸く大きな瞳、それでいてぎこちない笑顔を浮かべながらにエルヴァをエスコートする姿は最高に愛くるしすぎた。


人見知りの妹はノアールを警戒して中々心を開こうとしないのがもどかしいくらいにいつしか僕は二人のことを見守るようになっていた。


「エルヴァ、お魚もちゃんと食べないと駄目だよ。」


「えー。骨あるからヤダ。」


「じゃあ、お兄ちゃんがとってあげるからお皿貸して。」


ノアールを交えての何度目かの食事の時、僕はいつもと同じようにエルヴァの隣の席につきノアールは妹の前に座っていた。


骨を取り除くなんて普通であれば使用人に言えばいいだけの話だけど、自分のついでだとエルヴァの分も骨をとっていく。


その光景が珍しかったのかノアールが目をぱちくりとさせてこちらを見ていたのに気が付いた。


「えっと、、、ノアール殿下の分もやりましょうか?」


何となく気まずくなりそう声をかけると彼は骨を取ってほしいと思われたのが恥ずかしかったのか顔を赤くして首をぶんぶんと横に振った。


見ると彼のお皿は骨をよけながらちゃんと魚を食べていた形跡があり余計なお世話だったと反省をする。


「ノアール様はちゃんと食べられていて偉いですね。ほら、エルヴァも見習うんだよ。」


「はーい。」と間延びする妹の返事を聞きながら僕たちは食事を再開した。



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