麦茶の話
よく麦茶を作っている。
俺はいつも喉が渇いている人間である。あまり飯を食わないからだろうか、毎日何かしらの飲料を1~2リットル経口摂取している。
普通は水分は食べ物と一緒に摂取するので飲料からの水分は多くても1リットルくらいという人が多いと思うが、俺は最低1リットルである。明らかに人より飲み物を飲んでいることは職場で確認済みで、「榊さんなんでそんなにのど渇いているんですか」と言われたことがあるくらいだ。
家にはいつも飲み物が無いと生きていけない。
だからずっと2リットルのお茶を買っていたのだが、ある日気が付いた。
自分で作った方が安いんじゃないか?
これは考えてみれば当然のことなのだが、盲点だった。ペットボトルで買うと2リットルで100円ちょいだが、水出しのパックで作ると50リットル分くらい買っても400円程度である。
気が付いた時、今まで俺はどんだけ贅沢していたんだ、となかなかに悔恨の極みであった。
ひとり暮らしの数年間、ずっとペットボトルで飲み物を買っていた。数百円、数千円の無駄が積み重なり、いったいいくら無駄にしたことだろうか。積もり積もって10万円くらいになるだろうか。数えてないがそんな気がする。実にもったいない。
というわけで今では自分で麦茶を作っては飲み、作っては飲んでいる。無くなりかけたときに全部飲んで作り直すのが面倒というところ以外は、飲み物を買いに行く頻度が減ったし、買い物も軽くなって楽になった。良いことづくめである。
麦茶の良いところは、ひとつはカフェインが入っていないということだ。
カフェインの有無は非常に大事だ。何故ならカフェインが入っていると眠れなくなるからである。
ベストコンディションの話で書いたが、俺は常日頃から寝不足の人間だ。だから眠れるときに眠ることは非常に大事なのだ。
ところが、緑茶などを飲んでカフェインを摂取すると、眠いのに眠れないという事象が発生する。寝不足の人間にとってこれは地獄だ。いつカフェインが切れて眠くなるかが分からないし、眠るまでずっと体調が悪い。やっと眠れても通常時よりずっと眠りが浅くなる。
だから俺はなにか特別なことがない限りカフェインを取るべきではないのだ。
それから、麦茶はほとんどの料理の味を壊さない。
家ではインスタントカレーだったりカップラーメンだったり冷凍チャーハンや冷凍パスタ、納豆やみそ汁、などを食べることが多い。これらと麦茶は合う。というか邪魔にならない。まあ水でもいいのだが。
緑茶など主張の強い飲み物は、口や鼻のなかに味や香りが残ってしまうことがある。やはりすっきりとした飲み物が良い。
まあそういった理由で、俺は良く麦茶を家で作っている。
水よりお湯から作った方が抽出が早いので、容器にお湯とパックを入れて冷蔵庫に突っ込んで作っている。
ところで、俺はたまに牛乳を買う。フルグラにかけて食べるためである。買ったら当然冷蔵庫に入れてある。
この前、フルグラに牛乳をかけていた時のことである。
牛乳パックから、なんかドロっとしたヨーグルトみたいなのが出てきた。
ちょっと舐めてみると、酸っぱい。しかもなんだか生臭い。こりゃいかんと思って全部捨てた。
しかし開封していたとはいえ、賞味期限は切れていなかった。そうなった原因は特に思いつかなかった。
その数日後のこと。フルグラに牛乳をかけていると、またヨーグルトみたいなのが出てきた。
舐めてみるとやはり生臭くて酸っぱい。たぶん腐っている。しかし賞味期限は切れていなかった。
ネットで調べてみると、どうやら牛乳に雑菌が発生するとヨーグルトみたいになってしまうようだ。ということは、なにか雑菌が発生する原因が牛乳の近くにあったはずだった。
とはいえ、牛乳は常に冷蔵庫に入れてある。直接口をつけて飲んでいるわけではない。
ほかに何か原因があるか? と冷蔵庫を探った。
あった。麦茶だ。
お湯で作っているため熱い(とはいえ人肌ぐらいの温度だが)麦茶が、牛乳を温めてしまっていたのだ。これはまったく想像力の欠如と言わざるを得なかった。
読者諸君、麦茶と牛乳は相性が悪い。注意されたし。
なんだこの終わり方は。強引すぎないか。