習慣化の話
最近よく「習慣化」という言葉を本や電子書籍で目にするようになった。
読んでみると、最初の1分間だけ真面目に頑張るとなぜか1分間以上やりたくなるから、それを頑張って続けることで、だんだんと習慣化され行動が苦痛でなくなる、というのが大体最初の20ページ以内に書いてある。それ以降はどうでもいいことばかり書いてあるのでこういう本は買わないようにしよう。
さて、俺も習慣化ブームに乗っかり、文章力向上のために小説の写経を習慣化しようと試みたことがある。写経する本は三島由紀夫の「金閣寺」。毎日1分でもいいから書く、というルールで2か月ほど続けた。
毎日決まった時間に決まったことをやるのが何より苦手な俺である。起きる時間も食事の時間も風呂の時間も寝る時間も毎日バラバラだ。どんなことでも時間を決めてしまうと途端にストレスになってしまうので、写経も決まった時間にやることはできなかった。だから1日のどこかでやればいいことにした。このやり方ならば、楽に続けることが出来た。
2か月で辞めた理由は、小説の公募用の原稿に集中したかったためである。1日1分でもいいというルールではあるものの、始めると案外10分や15分ほどやってしまう。その時間を原稿に当てたほうがいいだろうという判断でいったん打ち切った。
打ち切ったところ、写経をしたいという思いはその後全く沸いてこなかった。習慣化されているならばちょっとぐらい写経への欲求が沸いてもよさそうなものだが、一切なかった。習慣化に失敗していたのだろう。
写経の結果、俺の文章力が上がったのかどうかは定かではない。自分では文章力の高低をなかなか判断できないのが文章の難しさである。やらないよりはましだったのかもしれないし、全く意味がなかったのかもしれない。
とりあえずは、チャレンジしてみることに意義があるという考えで過ごしていきたい。こういった地味な経験の積み重ねが創作に生きてくるのである。
習慣化と言えば、このエッセイを書くのも習慣化しなければいけないなと思っている。
いったいいつまで続けるのだという疑問が俺の中にあるのだが、とりあえずは1か月ほどやってみたい。今無職で暇だし。やることないし。
今現在の時点でブクマが1なので果たして誰に需要があるのかは定かではないが、少なくとも楽しく書けているので自分の役には立っているのだろうと思う。
ところで読者諸君はエッセイを書いたことがあるだろうか。自分の体験や思想をまとめた自由な文章がエッセイだ。日本語に訳すと随筆である。特に決まった形式を持たず誰でも書けるので、試しに書いてみるとよろしい。書いてみると意外と楽しい。
エッセイの良いところは、完全にアドリブで書いてもそれなりのクオリティになるということだ。自分の体験や思想をまとめるので、普段から考えていることをただ言語化すればいいだけだからだ。書いているうちに自分の考えの矛盾点に気が付いたりもするし、論理を深めて今まで気が付いていなかったところまで考えが及ぶこともある。
言語化することで考えを可視化し、文章にまとめることで分かりやすくできる。それがエッセイのいいところだと思う。
せっかくなので、このエッセイについて語ってみよう。
まず、コンセプトは適当であるということだ。内容だけでなく、エッセイに対する俺の態度も適当だ。最初のうちは予約の9時投稿だったのがもうストックが尽きたので今はただの毎日更新になっている。そのうち隔日になるのかもしれない。そうならないようにしたい。なんにせよ適当なのでどうなるのかは分からないが。
適当であるわけは、ひとつには俺が文章を書く行為を習慣化したいからである。あまり真面目であると、その態度が嫌になったときにキツイ。なにかを続けるのに大事なことは、それが楽しいということだ。楽しさには柔軟な変化が必要である。真面目でも不真面目でもその時々の気分に応じて変えられるのが望ましい。
次に、文量は大体2,000字を目指している。最低1,000字というルールだが、基本は2,000字である。人間の読書スピードはおよそ1秒間で10~20字らしい。わりと差異はあれど、あんまり長くなっても読みづらいし、短くてもつまらない。だから誰でも2分から3分程度で読める2,000字くらいがちょうどいいんじゃないかと思っている。
1つの話が書きあがるのには大体1時間から2時間ほどかかる。
小説の1話に比べると、大した作業ではない。ほぼほぼ頭使わないし。逆に、毎日小説を更新している人間はとんでもないなと思っている。俺の場合、小説の2,000字にかかる時間は多分3倍くらいなので、その量を更新すると単純に1日3~6時間はかかるわけだ。話が一貫した物語を作らなきゃいけないから、たぶんもっとかかる。
村上春樹は毎日4,000字書いているらしい。凄いよね。俺だと最低6時間かかる作業を毎日続けているのだ。素直にすげえわ。
とまあ、そんなこんなで2,000字である。
楽しく書けているので、このエッセイの執筆をきちんと習慣化してみたい。読者諸君もこのエッセイを読むのをぜひ習慣化されたし。
くだらないこと書いてないで小説書けって言われれば、まあそれはそうだ。本来そっちを習慣化すべきだな。