25話
「上条サクヤ、真壁ジン。二人とも元独立部隊、影の所属だ」
会議室の中で僕はアレックスと美崎に二人を紹介する。僕の隣にはサクヤとジン。二人が立っている。
サクヤはスラッとした背の高い女性だ。ジンは背の高いサクヤとは対照的に背が低い。高身長のサクヤの横に立っているかというわけではなく。平均的な男性に比べても低い。螺旋の番人のコートも少し大きいのかダボッとしている印象だ。
二人の目はどこかこちらを見下しているようにも見える。これは色々とめんどくさそうだ。僕は気分がのらないなという風にため息を吐く。
「よろしくお願いします」
美崎はそう言ってサクヤに手を伸ばす。だが、その手が握られることはなかった。
美崎が不満そうな顔をする。
「私たちはあなた達と馴れ合うつもりはありませんから」
「これから同じ班で戦う仲間ですよ?」
「あなた達は必要ない。私たちは私たちで勝手にやらせて貰う」
サクヤが言い放つ。僕はもう一度ため息をついた。こうなるだろうと予想はしていたがやはり現実になると、めんどくさい。
独立部隊、影のメンバーはエリート意識が高い傾向にある。螺旋の番人のように寄せ集めの犯罪者ばかりの連中とは自分達は違う。
確かに彼らはコハクの適合者の中でも適合率の高い、ある程度選ばれた人間達が所属しているので間違いではないのだろうが。
「だからと言って、お前さんたちだって単独で奇怪虫と殺り合おうなんて思わんだろ? なら仲良くしておいて損はないはずだが?」
「一人ならね。ジンと二人なら死ぬことなんてないわ」
アレックスとサクヤの視線がぶつかり合う。アレックスもサクヤの態度は気にくわないらしい。
「サクヤ、それくらいにしときなよ、もう僕達は影じゃないんだから」
ジンが初めて口を開いた。
「なによ、ジン。私はこいつらと同じになったつもりはないわ。こんな落ちこぼれと一緒にされてジンは不満がないの?」
「落ちこぼれっていうのは誰のことを言っているんですか」
美崎が口を開いた。怒る寸前という感じだ。
「あなた達に決まってるじゃない、お嬢さん」
サクヤが馬鹿にしたように言う。
「このっ」
美崎の完全にキレた。ホルスターか拳銃を取り出すとサクヤに向かって構える。
僕はそれに直ぐに反応すると構えた銃を右手ではたき落とす。
「何をするんですか!」
美崎が僕を睨んでくる。僕はまたため息を吐いた。本当にめんどくさい。こんなところで暴れられてはたまったもんじゃない。
「僕にこれ以上迷惑を掛けるな」
そう言って美崎を、サクヤを睨む。いい加減このやりとりにも飽た。これ以上は迷惑だ。
「へぇ、螺旋の番人にもいっぱしの猟犬はいるのね。そこのお嬢ちゃんには興味が無いけど班長さんには興味が沸いたわ」
サクヤが笑う。その目はあくまで好戦的だ。どうやらまだ懲りてないらしい。
ハァ、僕はもう一度ため息をつくのだった。




