24話
老成体との戦いから一週間たったある日、室長室に呼び出された僕は赤羽に促されるまま、渡された資料に目を通していく。
資料には二人の男女のプロフィールが書かれていた。
名前は真壁ジン、上条サクヤ。螺旋の番人の独立部隊、影の元メンバー。
「この二人が今回第一班のメンバーに加わることになった」
赤羽がそう説明する。僕はもう少し資料に目を通してから言う。
「珍しいですね。影からなんて……」
それが僕の感想だった。
独立部隊影。高度な任務のみを扱う、長官直属の部隊。
同じ螺旋の番人でも彼らは、特別な存在で僕もその任務やメンバーのほとんどを知らない。
「こちらも人手不足だからね。それにこの間失った分を補う新たな適合者もなしときた。ならばこう言った特例も仕方ないというわけだ」
この間失った分、つまりは透の代わり。物扱いされている感じのいいまわしも気に入らないが、いちいち突っかかってもこちらの労力が増えるだけだ。僕は無視して話を進める。
「それで、この二人合流はいつから?」
「明日の午後にはこちらに来るそうだ。解っていると思うが君たちはこの前メンバーを失ったばかりだ。くれぐれもまたすぐにそういうことの無いようにとのむよ」
無論だ。仲間を失うなんてそう何度も立て続けに起きてはたまらない。
「まったく、道具は消費する物とはいえこうも換えが効かないとなると面倒だ……」
僕は明らかに不満そうな顔をする。当然だ。こんな発言、許されて良いわけがない。
「道具とは言ってくれるな」
「今更そんなことで怒ることもないだろう」
「そうだな」
僕はそれ以上言わなかった。言っても無駄だ。それは解っている。
「失礼しました」
僕は赤羽を睨んでから背を向けて室長室から出て行った。




