夢からの起床
―――僕は夢を見ている。そう、今の状況になってしまった原因の夢を。
大学受験に合格し、夢にまで見た都会での一人暮らし生活。
その際に実家の家族とは大喧嘩したけど、そんなことは些細な事。膨らむ期待を胸に僕はその日、住む部屋を見つける為に不動産に向かっていた。
何件か物件を見せてもらい、大学に近くて1LDKのアパートなのに安い物件を見つけることが出来た。部屋も綺麗だったし、実家の工房に比べたら全然問題なかった。
余りの安さに訳アリかと思ったけど、特にそんなことはなかった。すぐに契約して、引っ越しの準備に取り掛かる為に実家に戻ろうとした。
その時の僕は、運がいいな~ラッキー!と浮かれた気分で回りを見ていなかった。そう、それが僕の最大の人生の汚点だった。
ガンッと足に衝撃が走り、何だと思った次の瞬間には目の前には穴が開いたマンホールに頭から突っ込んでいた。
多分、前をちゃんと見ていなかった僕は、カラーコーンに足を引っかけて工事中のマンホールに落ちたのだろう。
瞬時によぎったのは、「あ、僕死んだ」というセリフだけだった。目の前は真っ暗になって、頭にくるであろう衝撃と激痛を思うと吐き気がして気を失ってしまった。そうだ、気を失った方が即死してもわからないだろう。
「うわぁぁあああああ!?」
落下のシーンを見て僕は思わず飛び起きた。汗で服がベタついて気持ち悪い。
そこで、僕は夢を見ていたと自覚した。何でよりにもよってあの時の夢を見たんだよ。
アレから半年の月日が流れている。今の僕は大学に通ってないし、ましてや契約したアパートにも住んでない。
ここは何処かって?偶に僕も夢だと言いたいけど、残念ながらこれは現実。
この世界は地球とは別の異世界『アカンサス』。
七つの大陸と五つの国家が存在している世界だと師匠に聞いている。ちなみに亜人や魔物、魔王もいると聞いた。
僕はその一つの国にあるド田舎の村で暮らしている。
異世界人の癖に暮らせるのかって?まあ、この半年苦労したよ。
この世界の文字の読み書きを学んで、常識もひたすら学んだ。
僕を助けてくれた恩人と僕に生き方を教えた師匠には本当に感謝している。
なんの師匠かって?うん、元いた世界ではとても信じられないだろうねきっと。
僕の師匠は、錬金術師なんだ。等価交換でいろんなモノを錬金して新しい物質を生み出すある意味魔法使いだったんだ。
師匠に弟子入りして半年。半人前以下なのに、突然一人前扱いされて師匠は旅に出て居なくなってしまった。いや、本当に突然で暫く放心したね。
それからは生きる為に必死だったね。酒場のマスターの協力もあって、何とかアトリエを営んで生活している。
こういう職人の生活が嫌で実家を飛び出したっていうのに本当、何の因果だろう。
さてと、そろそろ着替えて準備しないと。こんな田舎村だけど、アトリエに依頼する人はいるんだよね。
さあ、今日も一日頑張って生き延びよう!
ども、ゼルガーです。
にじファンが閉鎖してからハーメルンに移動してこちらは何年も放置してましたが、なんとなく書いた話をこちらに書くことにしました。
珍しく、二次小説ではないオリジナルで書きます。ただし、バトル無しシリアル無し。
恋愛は・・・・迷ってます。いや、恋愛したら主人公がロリコン扱いになりそうで・・・
今後ともよろしくお願いいたします。