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休みの日に、病院に連れていかれた。
一応、野良猫だから、感染症を持ってないか、体調は大丈夫なのかを見るためだ。
そこで分かったこと。
どうやら私は声が出せないようだ。
原因不明だった。
「……だからずっと静かだったのか。」
家に帰ってから、私を膝の上に乗せてずっとなでていた。
「お前に名前つけなきゃな…」
彼の温もりがあったかくて、いつしか、私は眠ってしまった。
夜、彼も、彼の母さんも寝てしまった頃、全身に激痛が走った。
燃えるように熱かった。
苦しい。
とても苦しい。
苦しくてたまらない。
痛みが止まった時、私は小さな子どもになっていた。猫の耳と二つに割れた尻尾を残したまま。
……アニメのようなことが起こるとは思わなかった。
猫の体は便利だ。
夜目がきく。
それは人の姿になってもだった。
彼は悪夢を見ているようだった。
「…はる………くな……」
どうやら、私が死んだ時がフラッシュバックしているようだ。
死ぬ前よりも小さくなった手で、彼の頭を撫でる。
「ぐっ…………」
徐々に穏やかな顔になっていく彼。
苦しめてしまったとは…
分かってはいたが、やはり、悲しいと思った。