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死ねば、あの世へ逝くものだと思っていた。
ここは一体どこだろう。
少し見たことのある景色。ただ、視線の高さはとても低かった。体の感覚も何かおかしい。
「またここに居たのか…なんで俺のベッドの下なんだよ…」
「!?」
な、なんで彼がここに?
ということは、私は今、彼の家にいるのだろうか?
声を出せないこの身体は一体……?
「ほらつかまえた。……ホコリ被ってるじゃねえか。一緒に風呂だな。」
急に手を伸ばされ、あぐらかいた彼の膝に乗せられた。
大きな温かい手で撫でられ、とても気持ちがよかった。
「お前、誰かに買われていたのか?…やけに大人しいな…」
ちらりと鏡を見ると、私は猫になっていた。
ホコリかぶった、空色の瞳の黒い子猫。
彼の話を聞くと、二~三日前に拾われた子猫らしい。
影の薄い、子猫だった。