ウンチ漏れるオレオレオ
土の匂いがする。もはや意識もはっきりとしない。
空の碧さが視線を焦がし、思考すらも鈍化させてゆく。
「こんなものか…死ぬときゃ呆気ないもんだ」
と自嘲気に呟いてみるが、やがて来る漫然とした死に多少の恐怖を覚えるくらいにはまだ生きていると実感する。
ここ迄の人生は順調であった。順調であった筈だ。
ある小国で名誉を勝ち取るため昔馴染みの仲間と共に団を旗揚げし、小国で有名だった賊の一味を捕らえる事を切っ掛けに俺たちの名は小国では知らぬ者となっていった。そして此度の小国同士の小競り合いに微力ながら参加しそれなりの成果を挙げた上でのこの死に体だ。
「まさか顔よく知る奴から一撃をもらうとはな…」
よもや自分の後ろを着いてきた味方から槍を突き立てられるとは全くもって予想の範疇外であった。
「もはや…俺は用無しか…」
確かに団の拡大を嫌ったのは俺だが、其れなりに仲間は信頼していたのだかな…
特に昔馴染みの奴らに踵を返す事なく立ち去られたのが地味に心を抉る。
「何時から決まっていたのだろうな…
王国から要請があった時点からか…」
声にならない声でそう呟くと、意識は微睡へ落ちていく。悔しく無いかと問われたら全くもって悔しいと答えるだろう。しかしこうなる運命も来ると心の片隅で覚悟をしていた己もいる。もし団の拡大に賛成だったら俺はまだ生き残っていたのだろうか。いや、また理由を付けて殺される運命だろう。何故奴らが俺を殺してまで団の拡大を急ぐのかそれだけだ気になったが真相を知る事は無いだろう。
死が近づく、不思議と辛さや痛みはない。
(あぁこれが死という物か)
冷たいが嫌ではない、もはや怒りもない。
そして死が訪れる。