プロローグ
昔はよかった。
夢を持って生きて、毎日がとても充実してたように感じる。成績はそれなりに良かったつもりだし、家もまわりに比べて裕福だった気がする。
英語が大好きで、将来は翻訳の仕事に就こうと決めていた。未来が楽しみで仕方がなかった。
だが俺は道を誤ってしまった。学校で起きたある事件をきっかっけに。
一日中家に引きこもる毎日で、ようやく立ち直った頃には全てが終わっていた。進路は閉ざされ、就きたくも無い仕事に就かざるを得なかった。
それから今日まで、何を思う事なく生きてきた。もういっそ消えてしまいたい。こんなつらい世界はもう嫌だ。
・・・そんな苦言を心のうちに吐きながら歩く横断歩道。そこから先の記憶はない。
気づくと朝になってて、俺は家のベッドに横たわっていた。
しかしいつものベッドではない。寝起きの朦朧とした意識の中で俺は困惑した。
なぜなら、このベッドは俺が高校生のときに使っていたものだからだ。
こうして俺の長い物語が始まった。困惑の裏で、なぜか芽生えた少しの希望を抱きながら。