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10^-35  作者: 小三橋 尚
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10^-35 その5

登場人物

リームナ:中年女性。ジネッタ、マルツェラの友人。ゆったりとした話し方。チャネラー。

ヴィクティン:勅命機関勤務の男。ジネッタとは学生時代の友人。倉庫区画内の事件の後、自殺。チャネラー。チャットでのあだ名は『シドロフ』。

マルツェラ:艦の調理士。正体は諜報員の男。チャネラー。チャットでのあだ名は『帽子屋』。

イェル:傭兵。戦闘種族エンデ。チャネリング能力者。チャットでのあだ名は『ペペ』。

ジネッタ:艦の通信士。ヴィクティンとは学生時代の友人。リームナ、マルツェラはこの航行で仲良くなった友人。コンテナに隠れる。

ギュント:傭兵。戦闘種族フレン星人。身体は本体ではなく、人形と呼ばれる遠隔操作可能な端末。実は宇宙賊と兼業。







「先生と研究者」




私の人生でしょう?

一度だけのものなのでしょう?

そのときその場での体験は、宇宙開闢以来初めて発生した事象で、二度と起こらない事象。取り戻せない。

だったら自分が楽しくなるように、何故生きないの?











(全く…)

リームナは心中で溜息をつく。その明晰な頭脳は様々な事象に対して答えを告げていた。

(アイツの仕込みね)

そう思ってから思考を目の前の事象に切り替える。

リームナは一瞬前まで宇宙艦の自室にいた(個室とは随分ゆとりのある宇宙艦だ)。

しかし、一瞬後には眩い光が溢れる場所にいた。

周囲を見回すと黒い影の塊が三つほど見え、そして見上げると、光を放つ何かがあった。

思わず手を合わせたくなるほど神々しい光を放つソレは、少女の声で淡々と告げる。

『条件が揃いました。

 私は『宇宙の端』です。これより『宇宙の端』に関する質問を受け付けます。制限時間は十分です。

 それでは良い質問を』

意味が全く分からない。それに加えて頭に響くような声……いつもしているチャネラー同士のチャットと同じだ。

つまり、あの光る何かはチャネラーか何かなのか。

(なーんてね)

リームナは自身の思考に苦笑する。そんな訳がない。能力を持つことは間違いないが、明らかにこちらとは違う存在だ。見れば分かる。

おそらくこの場にいる四人は全てチャネラーだ。しかも、今、リームナと同じ宇宙艦に搭乗しているはずだ。

『一体ここはどこだ!?』

『突然なんだ?』

男の声が騒ぎ立てる。同じくチャネラーの……チャネリング時のハンドルネームはペペとシドロフだ。

しかしその動揺した声に対し、光は淡々と答える。

『質問は同時に一つしか受け付けません』

なんという無駄な時間の使い方だろうか。

相手が念話で話してきている以上、ここにいるのは全てチャネラーで、ここは普段は音声チャットなところを視覚まで共有する場だと何故理解できないのか。聞くまでもない。

とりあえずこの混乱した場を制するためにリームナは明瞭に告げる。

『じゃあ質問しちゃうわねぇ。

 宇宙の端とは何かしらぁ?』

直球の質問に『宇宙の端』は真正直に答えた。

『宇宙の端とは私です。

 宇宙の端に存在し、一分ごとにこの宇宙を畳むルーレットを回し続けている存在です』

『宇宙を畳むって?』

帽子屋が続けざまに質問をする。そう、それでいい。時間は有効に使うべきだ。

『ルーレットの目がその時を指せば、私はこの宇宙をおよそ一.六×十のマイナス三十五乗以下の大きさにまで畳みます』

(量子力学上、この宇宙が無かったことになるってことよね…。

 宇宙の終焉の説で、ビッグ・クランチなんてものはとうの昔に棄却された説じゃないの。

 それを、こいつが作為的に起こすということねぇ)

リームナがそんなことを考えている間にペペが悲鳴をあげる。

『それって……この宇宙が滅亡するってことじゃないか!』

『滅亡はしません。また最初からやり直すだけです』

この宇宙に生きているこちらにしてみれば、その意味は滅亡とそう変わらないではないか、とリームナは心中でつっこみを入れる。

『これは………夢じゃないのか?』

帽子屋が恐る恐る尋ねる。……なんて無意味な質問だ。これでは時間を浪費するだけだ。

しかし、『宇宙の端』は答える。質問されたら答える。そう誰かに設定されているのだ。

『これは夢ではありません。

 あなた方のチャネリング能力、つまりは思念を受信する能力によって、私の思念を受信している状態が今の状態です。

 五感全てをチャネリングにつぎこんでいるだけで、これは現実に起こっていることです』

『はぁい、しっつもーん』

リームナは右手を軽く挙げて(他人からみたら同じように影に見えるため、手を挙げる行為に意味はないが)、調子良く言う。

話を本題に戻すべきだ。

『あなたを殺す方法を教えて?』

質問に答えることが彼女に与えられた役割だ。だから、必ず答える。

リームナは笑みを深めながら彼女の返答を待つ。

『私は完全にランダムで『宇宙を畳む』という概念ですので、生物的な生き死には存在しません』

『殺すって適当に言ったけど、意味としてはあなたの消滅を指すわぁ?』

『概念を消滅させることが出来る技術が存在するのであれば、それは可能です』

なんとなく、その言い方に引っかかるものを感じながらリームナは質問を終える。

それはつまり。

『概念兵器でお前は消せるということだな?』

シドロフが確認するように質問をする。

『はい、可能です。私という概念を消す兵器があれば、私は消せます』

概念兵器は現在の技術で実現出来ている。あとはこの概念用の兵器をこしらえれば良い。一年も掛からずに製造可能だろう。

(……なんていうか。仕込みが甘いわよねぇ?胡散臭いぐらい)

リームナは眉根を寄せる。

何かが、引っかかる。こんなあっさり解決していいのか?

これではこの情報を大宇宙連合なり、然るべき機関に提供して対策を打てば解決してしまう。

これは引っ掛け問題ですよ、と脳内が警鐘を鳴らす。何かを見落としている気がするのだ。何か、落とし穴に今は気づけていない。

そんなリームナの心中を気にせず、呑気に帽子屋が尋ねる。

『支配種族は概念を操ることが出来る。

 ならば兵器でなくても、支配種族の力でキミを消すことは出来るかい?』

『出来ません。

 私は支配種族の影響を受けない存在です』

(…アイツの仕込みならば当然よね)

リームナは別の意味で納得する。

ここまでの話を総合すると、『宇宙の端』は宇宙を滅亡させる凶悪な存在だが、そこまで恐れる存在でもない。人類の技術で駆逐出来るのだから。

そこまで考えてリームナはふと、思いつく。そしてその思いつきを疑問にして、投げかける。

『ねぇ。

 あなたに対する概念兵器の使用を阻害するような仕組みって、あなたにあったりするのかしら?』

それはほんの思いつき。

宇宙の滅亡を防ぐ方法はある。無いわけではないらしい。しかしこれでは問題が単純過ぎる。

こんな凶悪な概念を作った存在が、そんな簡単な問題にするだろうか?

ならば、概念を消すことを阻害する何かがあるのではないのか、そんなことを思いついた。

『はい、あります』

少女の声は馬鹿正直に肯定する。

これだ。これこそが『宇宙の端』の真骨頂だ。これが気づくべき落とし穴。見落とし、引掛けだ!見ぬいた!

場がざわつく。影がゆらめき、何がしかの声を発する。しかし、質問さえしなければどうでもいい。最早リームナの興味は『宇宙の端』に移っている。

『その仕組みとは何?』

『私の回すルーレットがその目を指すとき、私の声を受信出来る者を媒介として全人類に対し、行動変更ウイルスを流し込みます』

ああ、やっぱりあるんだ。人類を結束させないための、概念兵器を製造・使用させないための仕組みが。リームナは口の端を歪めながら思う。

慌てたのは他の三人だ。

『ま、待ってくれ!声を受信出来る者だって?それって…つまり?』

ペペが尋ねる。そして彼の想像通りであることはリームナには予想がついている。

『はい。

 チャネラーを媒介にして行動変更プログラム、別称発狂プログラムを全人類に感染させます』

『発狂プログラムとはなんだ!』

帽子屋が声を荒げる。きっと彼にもなんとなく予想がついているからこそ、そんなにも興奮するのだろう。

人類を結束させない仕組みだ。どういう行動になるかは決っているではないか。

そして、少女の声はその予想を裏付ける。

『全人類の行動を強制的に変更させます。変更後は、自己の意志・記憶と無関係に周囲の知的生命体を全て駆逐する行動をとります』

(同士討ちか!)

少女の発言を噛み砕いて解釈すれば、強制的に人類を同士討ちさせるというのだ。チャネラーを起点として。

『我々は宇宙滅亡の片棒を担ぐわけか』

シドロフが少女の言葉をまとめるように言う。その発言通り、自分たちは人類でありながら人類の敵ということになる。

とすれば。

リームナが気になったことと同じことをシドロフは尋ねる。

『その種族にチャネラーが居なければ、その種族は発狂プログラムに感染しないのか?』

そう。起点がそこであれば、起点を潰してしまえば感染経路を断てる。

『その通りです。

 私の声を受信出来る者がいなければ、発狂プログラムを拡散させることが出来ません』

焦ってペペが質問を重ねる。

『つ、つまりこの世にチャネラーが一人もいなければ、あなたを消すことが出来るのか…!』

『可能性の話になりますが、発狂した人間が少なければ少ないほど概念兵器を使用出来る可能性が高まることは確かです』

リームナは思わず苦笑する。なんだこのシステムは。同士討ちを止めるためには同士討ちをしなければならない。

今度は帽子屋が質問をする。

『チャネラーの発生条件はなんだ?』

なんというか。馬鹿なのだろうかこいつは。そんな質問、ここで聞くことではない。知的生命体はチャネラーの解明にも力を注いだのだから。

『一つの種族にチャネラーが一人産まれるように法則が組まれています。

 一人チャネラーが死んだ時点で、次に生まれてくるその種族の子供はチャネラーになります』

チャネラーが死ねば同士討ちは防げる。しかし、すぐにまた新しくチャネラーは生まれる。

意識もはっきりと形成されていない、産まれたばかりの赤子がチャネラーかどうかの判別は不可能だ。

つまり同士討ちを防ぐためには、今いるチャネラーと、これから生まれてくる全ての人を殺す必要がある。

もしくは。

『では、一人チャネラーが死んだ時点でその種族が増えなければ、その種族のチャネラーは存在しないことになるのか?』

訊いたのはシドロフだった。

その通り、と心中でリームナは同意する。増えなければチャネラーが発生する余地は無い。しかし、現実的ではない。

『その通りです。その種族のチャネラーが死んだ後、新たに生まれてくる人間がいなければ、その種族のチャネラーは存在しないことになります。

 また既に生まれたチャネラーで無い人間が、後天的にチャネリング能力を身につけることはありません』

そしてその種族だけは『宇宙の端』が動くときに、発狂プログラムの感染を免れることが出来る。

しかしそれは全く現実的ではない。全人類へ出産の禁止を強制することなど、出来るわけがない。

帽子屋が恐る恐る声をあげる。

『待ってくれ。

 発狂プログラムが種族全体に感染するまでにどのくらいの時間がかかるんだ』

それはもう、リームナには予想がついている。

悠長に百年もかかっていたらそんなものは脅威ではない。そして思念は驚くほど速い。

『種族の規模にもよりますが、遅くとも十のマイナス十八乗秒で完了します』

刹那だ。発症した瞬間に感染者を排除する暇も無い。

帽子屋が沈黙してしまったので、代わりにペペが質問を投げかける。

『発狂プログラム感染から、宇宙を畳むのが実行されるまでの時間は?どのくらいんあるんだ?』

『四十八時間です』

(あら意外)

即実行かと思っていたが、意外に猶予がある。

(この概念を仕込んだ奴は、無理なゲームにするつもりはないらしいわね。

 あくまでもクリア出来る可能性を残している。

 『発狂プログラムに感染していなければ』、こちらに勝てる算段はある)

リームナが考えている間に帽子屋が質問を投げる。

『その…宇宙を畳みきるまで、どのくらい時間がかかるんだい?』

『設定はされていませんが、およそ五秒ほどと推測されます』

(はっ)

内心、リームナは思わず冷めた笑いをしてしまった。

この宇宙がここまで拡散するのに百三十七億年はかかっている。

それを、こいつは、この概念はものの五秒でその逆を行うというのだ。

(こいつはどれだけのエネルギーを行使できる存在なのよ……。この宇宙のどっからそのエネルギーをかき集めてくるわけ?

 笑っちゃうわねぇ)

むしろだからこそ概念兵器でしか対抗出来ない、というのも納得出来るというものだ。

続けて帽子屋が質問をする。どうやらどんな些細なことでも質問して、制限時間を有意義に使うつもりらしい。

『発狂プログラム感染が開始されるのはいつなんだ?』

『それは特に定められてはいません。

 私が一分おきに回すルーレットの目がそれを示さない限り、その時は来ません』

今も一分おきにこの宇宙は滅亡するかどうかのチェックが行われているということだ。

幸い、たまたま、今まではその目は出なかった。

ならば。

『ねぇ?あなたにそのルーレットを回すの、止めさせる手段はあるかしら?』

そんなルーレットがそもそも無ければ、宇宙の滅亡も発動しないはずだ。

しかし、当然のことながら、相手は淡々と告げた。

『ありません。

 私を観測、もしくは私に干渉することはこの邂逅以降、発狂プログラムの感染開始まで不可能になります』

観測も干渉も出来なければ対抗することすら出来ない。

(……ほとんど終わってないかしら?これ)

今までの情報を整理して、リームナはそんな感想を持つ。リームナの持っている知識と知能を総動員しても対抗する手段が思いつかない。

『で。あなたが回しているルーレットで、その目がでる確率ってどんなもんなの?』

『五億分の一です』

続けて質問しようとしたところを、シドロフに先に質問されてしまう。

『今までにそのルーレットは何回まわした?』

リームナがまさにしようと思っていた質問だ。

『五億七千六百九十万千二百四十七……。

 今、五億七千六百九十万千二百四十八回になりました』

『なっ…』

ペペが呻く。

発生する可能性が五億分の一で、もう五億回以上ルーレットは回されている。

そろそろ当たり目がでてもおかしくはない。

五億回当たり目を出さない確率よりも、六億回当たり目を出さない確率の方が低いのだから。

そんなことは置いておいく。今更それを恐れようが驚こうが意味が無い。次の一分で宇宙が滅亡する確率はやっぱり五億分の一だ。

別のことをリームナは考える。

(あらあら。

 意外と『宇宙の端』が出来たのって最近なのねぇ。一億年前とか途方も無い昔に出来たんだと思ったんだけど…)

『制限時間十分が経過しました』

死刑宣告にも似る残酷な言葉が降る。

この瞬間以降、『宇宙の端』と接触することは宇宙が滅亡するその時までやってこないのだ。

『以上で失礼します。

 それでは良き抵抗を』

その言葉と共に、光が天高く登っていく。それに従い、徐々に周囲が暗くなっていった。

その間、リームナは他の三人に会話を持ちかける。

『で、私たちは一つ選択しなければならないわぁ』

その言葉を聞き、気落ちしたような声でシドロフが尋ねた。

『何をだ?』

この四人の中では比較的気が利く発言をしていたのはシドロフだったが、その彼が分からないことが意外だった。

『今の話を公表すべきかどうかを、ね。

 方針は揃えた方が良いでしょう?』

暗くなっていく中、影が三つ蠢く。

『通常の感覚ならば公表すべきだとは思う』

そう言ったのは帽子屋だった。鋭くリームナは尋ねる。

『何故?』

『人類全てに関わることだからだ。

 しかし、ぼく自身が当事者となると話は別だね』

そう、そこだ。チャネラーしか『宇宙の端』と会話することが出来ない。

しかし、自分が宇宙の滅亡に加担することになるために、『宇宙の端』の存在を外に伝えることを躊躇ってしまう。

宇宙の滅亡に少しでも抗うためには、自身や他のチャネラーは全て死ぬべきだからだ。

リームナは端的に尋ねる。

『伏せるべきだと?』

『そう。ぼくは宇宙のために死ぬなんてごめんだよ。

 そもそもチャネラーを殺し、生まれてくる人間も全て殺して回るなんて不可能に近い。

 実現させたところで、その種に残っている未来はどん詰まり……これは詰んでいる。

 そんな絶望を敢えてふれまわる意味はないよ』

『なるほど』

リームナは頷きながら内心で同意する。リームナ自身の意見も帽子屋とほぼ同じだ。

しかし、次のシドロフの言葉にリームナは驚く。

『私はどちらでもいい』

『えっ?』

『どちらにせよ積極的に加担はしない。好きにやってくれ』

シドロフが『どちらでも良い』と言った理由を考え、推測し、リームナはそれ以上聞かなかった。

彼が何をしようとしているか、なんとなく察したのだ。

『分かったわ。

 で。あなたは?ペペ。

 あなたはどうなの?』 

『僕も黙っている方に一票ですよ。

 そういうあなたはどうなんです?自分の意見を言ってませんよ』

ペペの発言にひっかかるものを感じ、リームナは眉をひそめる。それから『宇宙の端』に対してペペがした質問を思い返す。

(手は打った方がいいわね)

『私も嫌よぉ。宇宙のために、とかそういう自己犠牲は想像の世界だけでやってって感じだわぁ。

 じゃあ、満場一致で黙りましょう。

 あ。そうそう。せっかくこんな驚き体験を一緒にしたんだから、皆で仲良くしましょうよぅ。

 私、本当の名前はリームナ・マガホニーっていうの』

影が蠢く。おそらくこちらがいきなり本当の名前を公表したために、動揺したのだろう。

そして自分の本当の名前を出すべきか否かを迷っている。

それでいい。

(ここで馬鹿正直に名乗る奴がいたら指さして笑っちゃうけどねぇ?)

『気が向いたら連絡頂戴。

 念話でチャットでも良いし、対面でも大歓迎よぉ』

ニコニコと告げる。反応は無い。まぁ、今はそれで良いだろう。

自分は既に次の一手をどうするかを考え始めているのだから。



宴会は大いに盛り上がっている。

マルツェラの職業の話や、イェルの見た幽霊の話など、話題は尽きない。

しかしその会話の裏でリームナは別の会話を行なっていた。

『ペペはイェルよ、たぶんね。

 これから確かめるけど』

『根拠は?

 私を探し当てたのと同じ方法か?』

念話の相手はシドロフ……ヴィクティンだった。これから行う作戦のためにこの宴会に参加してもらうよう頼んだのだ。

勿論、自分とヴィクティンが繋がっていることは他人には悟られないようにしなければならない。特にイェルには。

よって、ヴィクティンはあくまでもジネッタに誘われて参加したことになっている。

『宇宙の端』との対話時にペペ……イェルに感じた違和感がある。それを確かめる必要があった。

もしかして、もしかしたらイェルはあの情報を公開するつもりなのではないか、という違和感だ。

『そうそう。本気でリアル割れをしたくなければ生活リズムまで詐称しないとねぇ?

 ちなみにいま、三窓で話してるからあんまり難しいこと言わないでね?』

『三窓?

 ペペと帽子屋と別にチャットをしてるのか?』

『せいかーい♪』

それを裏付けるようにリームナの脳内に声が響く。

『僕は別にそんな……。

 前にも言った通り、誰かに宇宙の端について話すだなんて考えてませんよ』

それはペペだった。

『そうよねぇ?でもどうしてすぐにそれを表明しなかったの?』

そんなことを話しながら、また別のチャットでは帽子屋と話す。

『やっぱり本心じゃショックみたいでね……あんまり寝られないのよねぇ、最近』

『そうなのか?

 ぼくはあまり気にしてないけど』

宴会での会話に三者とのチャット。合計四つの会話にリームナは参加していることになる。

『よく出来るな』

素直に感嘆の声をヴィクティンがあげた。この男のそんな素直な反応は初めて体験したかもしれない。

続けて彼は告げる。

『さすが『二百人の賢き者』の称号は伊達じゃないな』

『その称号って返上出来ないのかしらねぇ?

 こそばゆくてしょうがないわぁ』

続けてペペの返答が返ってくる。

『あの場では帽子屋さんが最初に発言したでしょう?僕が発言する余地はあなたに問われるまでありませんでしたよ』

そして帽子屋も。

『ぼくは結構どこでもいつでも眠れるみたいだからね。眠れないようだったら睡眠薬はどうだい?

 医務室で手軽に手に入るだろう?』

更にはリアルのジネッタとの会話も。

「私の友達もね、丁度一ヶ月前くらいかな。深夜に艦橋へ向かう通路を歩いてたの。

 自分しか歩いてないはずなのに後ろから湿った足音がこつっ……こつっ……って追ってくるの。

 友達は怖くなってちょっと歩く速度をあげたの。そうしたら後ろの足音もこつ、こつ、こつってぴったり付いてくる。

 それから怖くなって走り始めたら、後ろの足音もこつこつこつこつこつこつこつこつっってついてくる」

ジネッタの怪談は絶好調だった。

それを全く聞いていないのか、ヴィクティンが尋ねてくる。

『三窓の必要があるのか?

 狙っているのはペペだけなんだろ?』

『まぁね。

 一応の現状把握のためよぅ』

リームナのチャットの裏で、ジネッタの怪談は続く。

「もうどうにでもなれって思って、友達は足を止めて後ろを振り返ったの。勘違いに違いない、そう祈りながらね。

 そうしたら………後ろには誰もいなかった。床にも足あとなんて無かった。

 なーんだ勘違いかぁって思って、深呼吸でもしようとふと上を見上げたら………」

(頃合いね)

そう、判断する。

「全身血だらけの男が天井に手足を貼り付けて彼女を見て」

そして全力で。

「『お前だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』」

リームナは三窓同時に絶叫した。

『きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!』

その念話に身体を震わせたのはヴィクティンと、そしてイェルだった。

脳内に直接叫び声が響くのだ。反応しないわけがない。

(ビンゴ!)

『ひゃっ』

「ひゃっ」

現実の声と脳内の声が重なる。しかし声の高さが違う。

脳内の声は帽子屋のもの、現実の声はマルツェラのものだ。

(あらあら……まぁ……)

リームナは拍手をしながらジネッタに感想を告げる。実際はあまり聞いていなかったのだが。

「面白かったわぁ。実に有意義なお話ね」

有意義だったことには変わりない。イェルがペペだという確信をこれで得ることが出来た。

『私にまで絶叫を聴かせる意味はあったのか…?』

苛立った声でヴィクティンが念話を続けてくる。

リームナはまるで彼の感情を気にしない。

『おそらくイェルも私が三窓チャットをしていたことに気づいてるわよねぇ?

 で。私のチャット絶叫に反応したのがあなたとマルツェラってことにも気づいたわよねぇ?

 とするならば……。

 もしイェルが本気で私たちの命を狙っているなら、あなたも狙われることになるわねぇ。リアル割れって怖いわぁ?』

『……そうか』

威勢のよい反応を期待していたのだが、ヴィクティンにあっさり流されてしまう。

『それより驚きなさいよ。

 帽子屋がマルツェラと同時に反応したわ。マルツェラも関係者よ。

 帽子屋って私てっきり男だと思ってたけど、思い込みは駄目ねぇ?

 きっと性転換手術かなんかしたのかしらねぇ?それとも精神だけ男、とか?』

『手間が省けたな。この場に関係者全員が集まったわけだ』

先程からヴィクティンとは別にイェルにも念話で話しかけているが応答が無い。おそらく自分がチャネラーだとバレたと自覚したのだろう。

そして、ヴィクティンとマルツェラもそうだということも、理解したのだろう。

(わざわざこっちが誘ってあげてるんだから、乗ってよね?イェル)

「……酒が少なくなってきたか?」

ギュントが発言をする。その裏でリームナは二窓のチャットを続ける。

『いきなり大声出すんだもの。驚いたよ』

動揺しながらも帽子屋……いや、マルツェラが会話を続行した。それに対して、こちらはあくまでも気づいてない体を装う。

『あらごめんなさいね。こんな深夜に。ちょっと害虫を発見しちゃったものだから、ね。

 あなたはそろそろ寝るところかしらぁ?』

リームナは嘘八百を並べる。

相手もそれが嘘だと分かっているだろう。しかし、それが嘘だと分かるのはこの場の六人以外にあり得ない。

だからマルツェラはその嘘を認めるしか無い。よく笑わないでこちらの話を聞いていられるものだ。

自分がマルツェラだと理解された上での行動と、何故思わないのだろうか。

(いっそのこと種明かししちゃったら楽なのにぃ)

『まぁ、そうなんだよ。

 そろそろ夜も遅いからね。寝ようかと思ってた』

「いいいいいいいい、行ってくるさ!」

マルツェラが追加の酒を取りに闇へと消えて行く。よく女口調で喋りながら男口調で念話が出来るものだ、と素直にリームナは感心する。

『じゃあおやすみのところ邪魔して悪かったわねぇ?

 今日はこれまでにしましょう。

 また明日、あなたが誰だかわからないけど、良い一日を』

『良い一日を』

それで帽子屋とのチャットは終了する。帽子屋がマルツェラだと分かっただけで十分、収穫があった。

ならばマルツェラを巻き込むべきだ。

リームナはリアルでの会話はそこそこ、チャットでヴィクティンに話しかける。

『マルツェラも仲間に引き入れましょう。

 で、このあとはイェルの動向を見てみるわ』

『あんたの思いすごしであることを祈るよ。

 これから生まれてくる全ての人間を殺して、チャネラーを全て殺して……そんなもの現実的じゃないだろ。

 イェルにはそういう現実感が備わっていることを期待する』

『そう?

 実現性だけに目を瞑れば立派な策だとは思うわよぅ?

 むしろ正し過ぎるくらいに』

『真水に魚が住めるのか?』

『無理よね。

 だから私達が抵抗するんでしょぅ?』

念話でそう言いながら、同時に現実では別のセリフを吐く。

「良いわね……。

 傭兵と調理士のカップルも良いんじゃないかしらぁ?」

その言葉にジネッタが瞳を輝かせる。

「何それキュンってくる。

 暗闇だし、吊り橋効果ありそう!」

「マルツェラ離婚したてでしょぅ?寂しいと思うのよねぇ」

「きゃ!優しくされたらすぐコロリね!」

きゃあきゃあと盛り上がるジネッタとリームナを、げんなりとした瞳で見ながらヴィクティンが呟く。

「本気で言ってるのかあんた……」

『マルツェラは男だぞ?』

『やーねぇ。恋愛に理想形を求めすぎなんじゃないのぅ?

 こーゆーのは、外野が盛り上がれればそれでいいのよぉ』

チャットでクスクスと笑う。ヴィクティンは言葉を失う。

さて。

ここで全ての宇宙の端の関係者の現実の姿が判明した。

これからイェルがどういう一手を打つのか、それに思いを馳せながらリームナは酒の入ったコップを仰いだ。



「えー分かんないじゃーん!

 ほら、さっきの……幽霊とか……?

 いるかもじゃん」

マルツェラとギュントが席をたってから十分ほどたつ。

まだ心配するほど時間はたっていないが、怪談の効果があってか、ジネッタがほろ酔いの状態で二人を心配する。

素面のヴィクティンは端的に感想を述べる。

「馬鹿はいるみたいだな」

「馬鹿にしないでよ!

 さっき怪談聞いて怖がってたのはどこの誰!?」

ジネッタにそう言われて、ヴィクティンは目を丸くする。

その様子が可笑しくて、ヴィクティンが反論する前にくすくすと笑いながらリームナは提案する。

「まぁまぁ。

 じゃあジネッタ、ちょっと見てきてくれないかしらぁ?」

「まー…いーけど…」

渋々同意するジネッタを見ながら、リームナはヴィクティンにチャットを持ちかける。

『ジネッタにしてみればそうよねぇ?

 驚いたのと怖がってたのとの見分けなんてつけられないものねぇ』

『あんな学生がするような怪談で怖がっていたと思われるのは遺憾だ』

不満気にヴィクティンが告げる。

「じゃ、行ってきまーす」

暗闇に消えていくジネッタを手を振って見送りながら、リームナはチャットを続けた。

『さーて、そろそろこの宴会の本題に入りましょうか』

「彼女一人で大丈夫ですかねぇ?」

ジネッタが消えた方角をみながらイェルがのんびりと言う。

その質問をリームナは笑い飛ばした。

「まぁ?怖くないっぽいから大丈夫じゃないかしらぁ?

 何かあったら悲鳴の一つくらいあげるわよぉ」

そう言いながら、皿の下にポケットから取り出した紙のメモを置いて、リームナは立ち上がる。

『さ。お仕事よぉ』

『もう一回言っておくぞ。私は積極的協力はしない』

『いいわよぅ。あなたにもあなたの事情があるんだろうしねぇ?』

それだけ告げて、リームナはニコニコとしながら小首を傾げる。

「じゃ、私もちょっと席をはずすわ」

「なぜ?」

短くヴィクティンが尋ねてくる。その問いに苦笑しながらリームナは答えた。

「やぁねぇ。

 おばさんとはいえ、女性に聞くもんじゃないわよぅ。化粧室よ、化粧室。

 一旦倉庫区画から出るから、ちょっと遅くなるわ。

 よろしくねぇ」

二人にそう告げてひらひらと手を振ってからリームナは入り口に向かってゆっくり歩き出す。

『モニタリング出来てるのか?』

ヴィクティンが脳内に話しかけてきた。

リームナが席を外すのは計画どおりだ。

ヴィクティンが席をはずす理由をわざわざ尋ねたのは、リームナとヴィクティンが繋がっているとイェルに悟らせないためだ。

『ちょっと待ってねぇ』

同時。空中に光が踊り、リームナの胸の前に複雑な球を作り出した。

その球は一瞬で闇に溶けて消えてしまった。

これで儀式は終了した。

リームナはかすかな音に耳をすますように、手を当てる。

そして、遠くから囁くように聞こえた。

「いやぁ、こんな暗い中でこっそり宴会をやるなんて滅多に出来ない体験ですよねぇ」

イェルの声だ。

先ほど描いた図形は『この世界にとって意味のある関数』であり、法則だ。

あの図形を描くことで、使用者の耳が一定時間少しだけ良くなる結果を得ることが出来る。

それは重力に引かれて物が落ちるのと同じく、そういう法則があるからそういう結果が得られる、という性質のものだ。

イェルの声に続いて、ヴィクティンのやる気のない声が聞こえた。

「そうだな」

『ばっちり聞こえるわぁ。

 あなた、もうちょっと頑張って会話しなさいよ』

『する理由が無い。

 とっとと終わらせるに限る』

「滅多に無い体験といえば……ヴィクティンさんは『宇宙の端』というものをご存知ですか?」

リームナは通路の脇にあるコンテナに寄りかかりつつ息をつく。

『探りを入れて来たわね』

『まどろっこしい奴だ』

苛立ったような声音でヴィクティンが感想を述べた。

そして現実の声でイェルに告げる。

「時間の無駄だ。

 あんたもさっきリームナとチャットしてたんだろ?

 あんたがペペだ」

(あんたは唐突過ぎンのよ……)

リームナは頭を抱えながらそんな感想を持つ。これでいきなり相手が襲いかかってきたらどうするつもりなのか。

(……どうもしないわね。ヴィクティンは。

 だから私に協力しているわけだし)

リームナと同じく、ヴィクティンの唐突なカミングアウトにイェルは言葉を失った。

「え……あ……」

「で?わざわざ探りを入れてきた理由はなんだ?」

しばらくイェルは沈黙していたが、誤魔化すように笑ってからヴィクティンの質問に答える。

「あははは……バレてますか……。

 確かに僕はペペです。

 探るようなことをして申し訳ないです。ただの興味本位で聞きたかったんですよ。

 えーっとあなたは……シドロフ?帽子屋?」

リームナの勘が告げる。そろそろだ。

イェルがもし本当に行動を起こすつもりならば、それは相手が確実に宇宙の端と会話した者と分かってからだ。間違って他人を殺したらシャレにならない。

つまりは。

「シドロフだ」

今。

『目を閉じなさい!』

リームナは指を鳴らす。同時に遠くが昼間のように一瞬だけ明るくなる。宴会場の方向だ。

先ほど皿の下に仕込んだ紙が、正確にはそこに書いてある図形がリームナの行動に反応して力を発揮した。

リームナはヴィクティンに念話を持ちかける。

『生きてる?もし生きてたらこっち来なさい。助けてあげる』

生きている確率も死んでいる確率も五分五分だとリームナは判断した。彼の行動次第だ。

しかし、駆ける足音がこちらに向かってきたために、結果は存外に早く明らかになった。

リームナがそちらの方向に光球を向けると、それはヴィクティンだった。左腕がYシャツごと薄く斬れている。

彼は顔を歪めて全力でこちらに走ってきて、そしてリームナの目の前で止まると背を曲げて下を向いて、しんどそうに息を整える。

お礼も何の言葉も無い。助けてやったリームナとしては少し気分が悪い。

「ちょっとぉ。お礼はともかく、返事くらいしたらどう?一瞬イェルが来たのかと思ったじゃないのぉ」

不満たっぷりのこちらの言葉を無視し、ヴィクティンは突如顔を上げた。

そして笑う。

微笑むとかそんな軽いものではない。

爆笑だ。

心の底から楽しそうな、清々しい笑顔でヴィクティンは笑い続ける。

「ふははははははははははははははははははは!!はははははは、ははははははは!!」

それを横から眺めるリームナには、さっぱり彼の気持ちが理解出来なかった。

自分とは違う生物が目の前にいるような気分で、リームナは思う。

(…気持ち悪……。

 頭おかしくなっちゃった?)

しかし、今は呆然としている場合ではない。

「ちょっといい加減にしなさい。

 イェルはしばらくは目が潰れているとは思うけど、すぐ復活して追ってくるわ?」

ヴィクティンはこみ上げる笑いを抑えながら、笑顔でコクコクと頷く。

「こんなに笑ったのは久しぶりだ」

第一声がそれだった。全くわけの分からない男だ。

「どうでもいいけどさっさとこの場から離れましょう?

 さっきの誰かさんの声でこっちにいるってバレバレよぅ?」

「そうか。そうだよな。そうなるな」

笑いはもう止まったらしいヴィクティンが、意気揚々と答える。

宴会で会ったときとは別人のようだ。目がちゃんと生きている。

「リームナ」

走りだそうとしたリームナを止めるように、ヴィクティンが声をかける。

リームナは顔だけそちらに向けて先を促す。

「私はあんたに積極的に協力する。

 あのイェルをなんとかするのに協力してやる」

意外な申し出だった。あんなに自分は関係ない、勝手にやってくれという態度をしていた彼が、まさか自ら協力を申し出るとは思わなかった。

「どういう風に?」

試すように相手を見ながらリームナは問いかける。相手の表情はもう宴会で見かけたような気難しい表情ではなかった。

無表情のように表情が薄いが、真剣であることが分かる。

「私は他人の記憶を喰うことが可能な種族だ。この身体も外殻で本体じゃない。

 イェルから宇宙の端に関する記憶を喰う。

 そうすればもう二度と襲われることはない」

彼の発言にリームナは首をかしげて考える。

「なるほどね。ちょっと昔にそういう生物が発見されたって話が出たわねぇ。

 でもあの星……ニヒト星は滅んだんでしょう?」

「私がその生き残りだ」

間髪入れずに平然と彼は答える。あまりにもあっさり言いすぎて信じがたい。嘘としか思えない話だ。

しかし、ヴィクティンがここでリームナに嘘をつく理由がない。 

ヴィクティンは突如自身の口を大きく開き、指差す。

促されるままに彼の口内を見ると、黒っぽいなにかの触手が蠢いているのが見えた。

リームナは両眉を上げる。

(ニヒト星人は黒紫色の体色で、触手を伸ばして捕食するのよねぇ、確か。

 データとは合致する、か)

何かを飲み込むようにしてから、ヴィクティンはこちらの疑心を見ぬいて告げる。

「今、私の姿を見ただろう?

 あんたはこれ以上何を疑ってるんだ」

「そうねぇ…」

疑っている?いや、納得できないだけだ。

リームナは腕を組み、首を傾げたまま尋ねる。

「あなた、なんで急に協力的になったの?」

問われ、ヴィクティンは困ったように笑う。それは今までの彼が見せたことがない表情だ。

その事実に、彼は本当に困ってしまったのだろうと思う。

「生き方は選べなかったからな。

 死に方くらい選びたかった。

 それだけだ」



「ああ」

倒したイェルを他所に、マルツェラだった男が頭を抱える。

「寿命が縮んだよ。一体この弁償は誰に請求すればいいんだい?」

頭を抱えるこの男の活躍でイェルを気絶させることが出来た。イェルは今、コンテナに寄りかかって倒れている。

一方こちらの被害はヴィクティンの首が跳ね飛ばされたことだったが…。

「ナイーブなおっさんだな」

そんな憎まれ口を叩くのは、やはりというかなんというか、ヴィクティンだった。

勿論頭と胴体がつながった状態で、しかしYシャツを血で真っ赤に染めて通路に座っている。

彼は口に血液補給用のチューブを咥えたまま喋った。

「サル型じゃない人種だって言っておいただろ」

「それだけでそれが外殻だなんて分かるわけ無いだろう!」

人形が人間と区別がつかないように、外殻も最早人間と区別がつかない。

外殻とは生体素材を使ったパワードスーツだ。サル型人種・二足歩行が圧倒的多数のこの宇宙で、それ以外の人種が快適に生活するためのものだ。

ヴィクティンも胴体に収まる程度の大きさしかない人種のため、首を撥ねられても平気だったのだろう。

「あらかじめ痛覚を遮断しておかなければ痛みで死んでたな」

「外殻って便利ねぇ。頭と胴体が離れてもくっつくなんて」

リームナはクスクスと笑いながら感想を述べる。

ヴィクティンが何度か頭を庇うような動作をしていたため、サル型人種とイェルが誤解するのも無理は無い。

首をはねれば、ほとんどの生物は死ぬため、リームナでも殺したと誤解するかもしれない。

自分の目の前にいる生物が首をはねられても大丈夫だと想像出来る人はなかなかいないだろう。

「さて、ヴィクティン。

 それじゃあ早速イェルの記憶を喰ってくれるかしら?」

ヴィクティンは吸い終わったチューブをポケットに入れると、一つ頷く。

貧血で立てないのか、まだ座ったままだ。

「私の実際の身体は光に弱い。

 あんた達は終わるまでちょっと離れていてくれないか?明かりが邪魔だ」

「了解よぅ。

 終わったら呼んでね」

「ついでに監視映像に映っていたぼくに関する記憶も、喰っておいてくれると助かるんだけれど」

「そこまでする義理はないが、気が向いたらやってやる」

恩着せがましく、ヴィクティンはそんなことを言う。

その彼を邪魔しないためにも、リームナとマルツェラだった男は背を向けて歩き出す。

明かりのための光球は胸の高さに浮かべて周囲を照らさせた。

「他人の記憶を喰う種族なんて初めて聞いたよ」

歩きながらマルツェラだった男が感想を述べる。

「あらぁ?ちょっと前にそういう種族が住んでる星があったって話題に上がってわよぅ」

「そうかい?

 あんな便利な能力を持ってるんだ、彼の種族をもっと見かけていいものなのに、あまり見ないね」

「そりゃそうよぅ。

 ニヒト星は星ごと“虫”に制圧されて滅んだんだから」

その言葉に相手からの感想は無かった。

(まさか生き残りがいるとは思わなかったけどねぇ)

当時のニヒト星では内乱が起こり、散々な内政だったらしい。その混乱の中で大気圏外に脱出することが出来たことは奇跡に等しい。

「彼がたまたま関係者で助かったね。

 これでぼくたちは今日の宴会を無かったことに出来る。

 そしてこれは、ぼくにとってもラッキーだった。ぼくのことを覚えられてるとひどく面倒なんだよ。

 ぼくの目撃者は全て消してもらわないとね」

男は微笑んでリームナを見る。笑顔だが薄ら寒いものを感じる何かだ。

そのプレッシャーに負けじと、リームナは肩を竦めて答えた。

「こっわいわねぇ。

 心配しなくても私は何にもしゃべんないわよぅ。

 ギュントも金を払えば大丈夫でしょう?フレン星人は義理難いし」

「……ぼくはフレン星人だから信用できないと思うんだけれどね」

ぽつりと男が呟く。それから急に今歩いてきた道を振り返った。

「どうしたの?」

「動物の鳴き声みたいな音がした」

リームナには聞こえていないので、首を横にふる。

男は垂れた目に活力を宿すと、歩いてきた道を逆走した。

「ちょっと」

リームナも遅れて後に続く。

この倉庫区画に自分たちの他に何がいるというのか。

ギュントはまだ動いていない。イェルは気絶している。

起きたイェルにヴィクティンが攻撃を受けた?いや、気絶から立ち直るのが速すぎるし、そうなったら念話で報告があるはずだ。

男は呑気な声をあげる。こちらの警戒を敵に悟らせないため、わざとやっている。

「おーい、調子はどうだ?」

強い光がこちらに向けられる。男が邪魔になって、誰が向けた光なのかが確認出来ない。

しかし、一瞬後に、リームナはその人物が誰かを知ることになった。

その人物が大声で悲鳴を上げたので。

「嫌ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

(ジネッタ!)

コンテナの中で生命反応の動きが止まっていたので、そのまま隠れていると思い込んでいた。

とりあえず追いかけて捕まえようと、男とリームナは走りだそうとする。

『待て。私が追う』

頭の中の声に制止されてしまう。ヴィクティンだ。

それに対し、男が異を唱える。暗闇の中で、光球を動かしてヴィクティンを探しながら言う。

「放っておくわけにはいかないだろう」

「私がやるって言ってるだろう。人の話を聞けよ」

今度は現実の声だ。光球をそちらに向けると、通路に座っているヴィクティンがいた。

いつの間にか衣服に染み込んだ血が無くなっている。…どうやらイェルの記憶を喰う前に着替えたらしい。

そして、彼は面倒そうに立ち上がる。

「まだ貧血が回復しきってなくて走ることは出来ないが、闇雲に逃げてる人間一人くらいは捕まえられる」

それでも何かを言いかけた男を手で制し、リームナは微笑して告げた。

「あなたに任せるわ」

その言葉に答えず、ヴィクティンはジネッタを追いかけて暗闇の中に消えていく。

『なんで止めたんだい?』

今までとは違う、緊張感のある問いかけだった。念話にしたのはヴィクティンに聞こえないようにするためだろう。

言いたいことは分かる。ヴィクティン一人だけではジネッタを取り逃がす可能性がある。三人で向った方が確実だ。

『無駄が嫌いな人間が、無駄な行為を提案したのよぅ?

 ヴィクティンには何かの意図か勝算があって、ああ提案したんでしょう』

『それを尊重するべきだと?』

『彼が失敗しても私達で尻拭いが出来る算段があるから、尊重してもいいと思ったのよぅ。

 まぁ、こういうときだしね。

 好きにやらせてあげてもいいと思ったの』

この回答に呆れたのかもしれない。彼はなかなか返答しなかった。

何がどう「こういうとき」なのか、彼は理解しただろうか。きっとしていないだろうが。

しばらく待ってようやく返ってきた感想は端的なものだった。

『道楽的だね』

その感想にリームナはクスクスと笑う。

道楽的。

まさにそうだ。自分でもそう思う。

そしてそうだからこそ、人生を楽しんでいるのだ。



ヴィクティンがジネッタを追いかけに行った後、二人は後片付けを始めることにした。

今日のこの宴会は無かったことになるのだから。

少なくともジネッタとイェルとギュントの中では無かったことになる。

リームナは文字通り宴会場のゴミやら食器やらを片づけ、レジャーシートごと畳み込むと、A4サイズまでゴミや皿ごと小さく畳まれてしまう。

ゴミが消えたわけではないので、後で処分をする必要があるが。

一方のマルツェラだった男は、イェルを倉庫区画入り口近くに運び、ギュントに拾ってもらえるように置きに行った。

更にその間に姿を変えたらしく、リームナがレジャーシートを片づけところにやってきたのは、リームナの友人であるマルツェラの姿に戻っていた。

「姿をポンポン変えられるのって便利ねぇ?」

「うーん。そんな気軽なもんじゃないけれど。

 定期的に入れ替わらないといけないし、意外と不便だよ」

今までのマルツェラとは異なる口調で彼女は答えた。それはまさしく今まで話していた男の口調、そのものだった。

「ああ、だから監視映像にあなたの姿が映ってたのねぇ」

マルツェラは苦笑して答える。……今までマルツェラと会話をしてきた中で、一度も見たことがない表情だ。

「あれは大失態だね。ぼくも歳かなぁ。

 ちょっと後で画像を加工しとかないと」 

二人は合流した後、イェルがヴィクティンの首を跳ね飛ばした場所に向かい、血痕をざっと拭く。

詳細な検査を行えば検知出来るだろうが、誰も気まぐれに倉庫区画で血痕の確認をしようとは思わないだろう。

更にはマルツェラがギュントに襲われた場所に向かい、マルツェラの血も消しておく。

マルツェラが壊した発信器の残骸は無かったため、おそらくギュントが回収したのだと推測出来る。

そこが片付け終わったところで、ようやくヴィクティンから連絡が入った。

『終わった』

なんとも簡潔な報告だ。苦笑しながらリームナとマルツェラは二人でその場所に向かう。

ヴィクティンがいた場所はマルツェラがギュントに襲われた場所から、真ん中の通路を挟んで逆側だった。

リームナたちが最初に見たものは、ジネッタがコンテナに寄りかかって寝ている姿だった。

その次に、側に立つヴィクティンを見つける。

「終わったんだね」

マルツェラが感慨深く呟く。

そこに苛立ったようにヴィクティンが答えた。

「だからそう言ってるだろ、犯罪者」

「じゃれるのはよしなさいって」

リームナがヴィクティンを窘めてから、マルツェラに指示する。

「悪いけどマルツェラ、ジネッタを部屋まで運んでくれない?」

「いいけれど……ヴィクティンが運ぶのが普通じゃないかい?」

「物理的に無理だ」

きっぱりとヴィクティンが告げる。つまりそんな体力ない、と言いたいらしい。

「それから、今日の宴会は無かったことになるんだ。

 私は今日、ジネッタには会わなかった。

 そんな私がジネッタを運ぶのはおかしいだろ」

リームナが説得するまでもなく、ヴィクティンが理由を話してしまったのでリームナは黙ることにする。

ちなみにリームナ自身がジネッタを運ばないのも、物理的に無理なためだ。

「ううん……この件ってぼくが色々なことを割り食ってないかなぁ……」

納得していなさそうな声で、呻くようにマルツェラが言うので、リームナは言ってやる。

「気にしちゃ駄目よぅ」

「気にすんな」

ついでにヴィクティンも便乗してきた。

そこでますますリームナとヴィクティンにハメられている気がしたのか、眉根を寄せてマルツェラが考えこんでしまう。

それを無視してヴィクティンが話を変える。

「イェルの記憶は喰った。

 ついでに奴の思想の根幹になっていた記憶も喰ったから、万が一、ヤツが『宇宙の端』の知識を得たとしても同じ事は起こさない」

「思想の根幹?」

マルツェラが不思議そうな顔で尋ねる。ヴィクティンにしては珍しく、一瞬だけ目を逸らして答えた。

「体験が思想を変化し得ることは分かるか?」

「まぁ、なんとなく」

「魚を食べて体調を崩したら、今度からはあんまり魚を食べたくなくなるみたいなもんねぇ?」

「その例でいくと、魚を食べて体調を崩した、という体験の記憶をなくしてしまえば、魚を食べられるようになるな」

ヴィクティンがリームナの例に便乗する。

つまり、彼はイェルの『全体を活かすためなら、少数は喜んで死ぬべき』という思想を作るに至ったきっかけの記憶を喰ったのだろう。

「やたらと不味い記憶だったあたり、家族を見殺しにしたことに、本人も心から納得してなさそうだ。

 何にせよ、これでヤツは無害だ。

 『宇宙の端』について知っているのは私達三人だけになるな」

「どうせ滅亡するんだもの。

 せいぜいその時まで黙って、お互い楽しくすごしましょう?」

「楽しく……ね。ぼくはとてもじゃないけど、そんな気分にはなれないよ。

 だって、その時が来たら、身近な人を手にかけてしまうんだろう?」

「気にすることないんじゃない?皆どうせ発狂してるんだし。罪悪感も何もないでしょ?」

苦笑して、リームナは肩を竦める。マルツェラは沈痛な顔で首を横に振る。

きっとマルツェラには自ら手に掛けたくないような人物が身近にいるのだ。

それは分かるが、どうせ世界が滅亡するのだから、どうでもいいではないか、とリームナ自身は思う。

この思想の差はなんだろうか。

大切な人物がいる者といない者の差……だろうか。

マルツェラは屈みこんで背負うようにジネッタを持ち上げる。

「お、軽い」

その言葉を聞き、一瞬ヴィクティンが眉根を寄せたが、リームナは特にそれ以上何も言わなかった。

それから三人と気絶した一人で倉庫区画の出入り口を目指して歩き出す。

その中でリームナは思いついたようにヴィクティンにチャットを持ちかける。

声で話さないのは、マルツェラに聞かれると、事情を説明しなければならないので面倒だからだ。

『そうだ。

 ねぇ、ヴィクティン。あなたの同族ってあなた以外にも生きてる人がいるの?』

いつもは端的に答えるはずの彼が間を置く。触れて欲しくない話題だということはすぐに分かった。

『………それを聞いて?あんたどうするんだ?』

『べぇっつにー。あなたがしようとしていることを考えたら、なんとなくねぇ』

明言はしていないが、それは肯定しているようなものだった。

それからぽつりと、彼は呟く。

『……私は……何のために生きていたんだろう……?』

それは彼が初めて漏らす、弱音のように思えた。とてもか細い呟きだった。

それに答えられるほど、リームナは彼を知らない。だから黙る。

やはり。

そうなんだ。彼は。そうするつもりだ。

冷たい倉庫区画を背にリームナは確信する。

ヴィクティンは死にたくないと思っている。

何かを成さないまま死ぬのは嫌だと思っている。

しかし、自分の種族のまだ生存している誰かを発狂から守るために、自分は死ぬべきだとも思っている。

死ぬのは嫌だという気持ちと死ぬべきだという気持ちのどちらが勝つか、リームナには察しがつかない。

だからリームナは彼がこれからどうなるのか分からなかった。



倉庫区画の事件の三日後、ヴィクティンは自殺した。

あれだけ無駄を嫌う男が即座に行動を起こさなかった意味は、軽いものではないはずだ。

その三日間でどれだけ彼が苦悩したのか、リームナには想像することしか出来ない。

彼によるイェルの記憶喰いは完璧だった。リームナを艦内で見かけても何の反応もしない。

それどころか、以前よりも清々しい顔をしているような気がした。

ヴィクティンが喰った『思想の根幹となる記憶』というのは余程嫌な思い出だったらしい。

そしてもう一人のヴィクティンに記憶を喰われた人物も。

「あー思い出した。

 艦内で宴会やろうって言ってたよねー。やりたかったなー」

オレンジジュースから伸びるストローに口をつけ、頬杖をついてジネッタが拗ねたような声を出す。

ホットコーヒーを一口飲んでからリームナは答えた。

「警備してた傭兵と折り合いが付かなかったからねぇ。仕方ないわよぉ。

 石頭ってやあねぇ」

ジネッタとリームナの間ではあの宴会は警備が誤魔化せなかったために実施出来なかったことになっている。

色々と齟齬はあるだろうが、ジネッタも五ヶ月も昔のことを詳細に覚えているわけがなく、全く疑っていない。

ヴィクティンが宴会に関する彼女の記憶を綺麗に喰ったのだということが良く分かる。

あの艦で知り合った三人でまた会おうという理由で、リームナはジネッタと会っていた。

マルツェラにも声をかけたのだが、予定がどうしても合わないということで彼女は来なかった。

おそらく二度とマルツェラ・マルノーという人物に会うことはないのだろう、とリームナは思う。

会うとするならば、彼女と同じ外見をした別の人生を持つ誰かか、もしくはあの男自身だろう。

「あのときに誘えてれば、助けられたのかな」

ぽつりとジネッタが呟いた。

誰のことを言っているか、嫌でも分かった。

「よしなさいよ、そういう考え。毒にしかならないわぁ。

 学生時代の友達……だったんだっけ?」

「うん、まぁ……ちょっと話したことがあるだけだったんだけどさ……」

ジネッタが言い淀んでいると、テーブルの上に食事が転送されてくる。

リームナの方にはひき肉を野菜の漬物で巻いた料理とそれの付け合せ、それからトウモロコシのお粥が並ぶ。

ジネッタの前にはきちんと整形されたオムライスが出される。

すぐにジネッタは顔を明るくしてスプーンをとる。

「あはっ!おいしそ!」

「マルツェラに見せたら『あたしの方が百倍上手く作れるさ!』って言われそうねぇ?」

「それはマルツェラの調理機憎し、の発想がおかしいのよ」

半眼でジネッタがこちらを見てくる。リームナはクスクスと笑いながらそれを笑う。

先ほどまでヴィクティンの話題など無かったかのように、ジネッタは楽しそうだ。

きっと彼女にとって、ヴィクティンとはその程度の存在だったのだろう。

少し話したことがある学生時代の友人なんて、その程度の存在だ。

酔った勢いで「気になる」とは言っていたが、その程度の「気になる」だったらどこにでも落ちている。

上機嫌にジネッタはオムライスを崩しては食べていく。

「昔っから好きでよく食べてたのよねー。

 なんか今日は食べないと駄目っ!て気がしたの。ビビっときたってやつ?

 店によってはとろとろのヤツ出してるとこあるでしょ?あれは駄目ね。

 やっぱりこう、しっかりした形してないと食べた!って感じがしないのよねー」

彼女は嬉しそうに語っていく。

「あら、そうかしら?」

リームナはそれ以上を言いかけて、彼女の表情を見て止まった。

ジネッタも自身の変化に気づき、スプーンを置く。

「あれ…?」

彼女は手で目の端を拭った。そして自分で自分の行為に驚く。

「え?」

彼女は溢れる涙を何度も何度も拭う。

「おかしいな、なんでだろ、恥ずかし。

 美味しすぎたのかな。あははは」

ジネッタは笑った。本当に自分がどうして泣いているか分からないのだろう。

リームナは笑わない。背もたれに背を預けて、ただ想像することしか出来ない。

「どうしよ、止まんない」

ジネッタはハンカチをハンドバックから取り出して拭い始めた。

ヴィクティンとジネッタがどういった仲なのかは知らない。

ジネッタからは「学生時代に少し話しただけの友人」だと聞いている。

しかし、ヴィクティンから、ジネッタについて聞いたことがない。

彼は何も語らなかった。だからリームナは想像することでそれを補うことしか出来ない。それが合っている保証も無い。

そしてその彼が黙って自殺する道を選んだのだ。

リームナが彼とジネッタのために出来ることは、憶測を無闇に言うことではなく、彼の気持ちを尊重し、ただ黙っていることぐらいだ。

(根幹になる記憶を喰えば思想はなくなると、ヴィクティンは言っていたけれど。

 果たしてどうなのかしらね?

 体験した記憶と、思考した記憶は別じゃないのかしら?)

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