7話.団子とクッキー
錬金窯がカタカタと音を鳴らした後、ポコンポコンと二つの分厚い手のひらサイズの紙が飛び出してきた。
「レシピが完成したら、次はこれを使って……」
今作りだしたクッキーのレシピと、それを作るために必要な角砂糖を入れる。
カタカタと錬金窯が何度目かの震えをした後、排出口が開いた。
「出来たー!」
「すごーい! 本物のクッキーよー!」
現れた人型クッキーを取り出し、すぐにクッキーちゃんに手渡してあげると、彼女は大喜びで受け取ってくれた。
「た、食べてもいい?」
「もちろん! すぐにたくさん用意するから、遠慮せずどうぞ!」
瞳をキラキラさせて、手の中にあるクッキーに、クッキーちゃんがそっと口を持っていく。
サクッと、美味しそうな音が私の耳に届いた。
「お……お、美味しいー!!」
それから、クッキーちゃんはパクパクとお口を動かし、一生懸命に頬張っていった。
その姿があまりにも……あまりにも可愛すぎて!
お団子君もすっごく羨ましそうにクッキーちゃんを見てる。こっちも可愛過ぎる!
待っててね、すぐに団子も作って食べさせてあげるから!
私はクッキーのレシピを錬金窯から取り出し、団子のレシピを入れて材料の角砂糖も入れた。
レシピは一度作れば何度でも使えるので、これからもたくさん作ることを思えば安い経費だ。
錬金窯を稼働させること数秒、こちらも排出口から団子が出てきた。
ピンク、白、緑の順番がきれいな三食団子の完成だ。
「お団子君、お待たせ! さあ、召し上がれ!」
「うわぁー! ありがとうなのー!」
串の部分を持ち、お団子君が一番上のピンク団子を口に入れた。
もぐもぐと口を動かしているけど、頬がどんどん下に落ちていくみたいで、空いている方の手を頬に当てて必死に緩む顔を抑えている。
「美味しいのぉ……」
団子の精霊なのに飴細工みたいに蕩けてしまいそうなお団子君を見て、私は顔を両手で隠して身もだえた。
「二人とも、まだまだ食べられる?」
「食べる!」
二人の元気な声を聞き、私はご機嫌で角砂糖を錬金窯に入れていく。
クッキーはシガレットの形やうずまき、チェッカー模様にマーブルと見た目を変えて10個ずつぐらい作り出す。
団子はみたらしにずんだ、あんこに少し変わって栗も外せない。
「あ、お皿も必要だね」
一枚なら手渡しでいいけど、流石にこれだけの量は置く場所が必要だ。
私は躊躇いなくお皿用のレシピを作り、二枚ほど錬金窯で作り出し、クッキーと団子を分けて並べた。
「ねえ、僕もクッキー、食べてみていい?」
「いいよー。代わりに私にもお団子頂戴?」
「もちろんなの」
ドルチェルたちがお菓子交換してる姿を見て、私は意識を吹き飛ばしそうになった。
ゲームでは決して見ることが出来なかった光景が、まさに今、目の前で繰り広げられているのだ。眼福過ぎて顔の筋肉が緩みっぱなしになる。
「はっ! こんな地面に座らせてお菓子を振るまうなんて、私のバカ!」
この子たちにお菓子をあげることに夢中で、環境を整えることを疎かにしすぎた。
せっかくお外で食べるなら、こんな土がむき出しの場所じゃなくて、せめて芝生の上にしないと。
それから、芝生の上ならレジャーシートでしょ? あ、ピクニックみたいにするために、バスケットと水筒も用意しよう。
「飲み物は何が好き?」
「緑茶が好きなの」
「紅茶が一番なのよ」
ドルチェルたちの好みまで聞いちゃった! やだ、今の私って、もしかして世界で一番ドルチェルたちに詳しいんじゃない?
好きな飲み物を教えてもらったなら、当然それを用意しないとね。緑茶と紅茶のレシピを作って、錬金窯に入れて、水筒に出来た二種類をそれぞれ分けたら完成だ。
「ささ、二人ともこの上でくつろいでいてね。私はちょっと、お家作ってくるから」
むちむちと顔を動かしている二人が後ろにいると思うだけで、私のやる気はいつだって全開になる。
よーし、ドルチェルたちのお家作り、頑張っちゃうぞー!




