第八章 仕事を設計せよ ― 天野令己の「仕事塾」
第八章 仕事を設計せよ ― 天野令己の「仕事塾」
AMANO FLOW ACADEMY の卒業式の日、
天野令己は集まった弟子たちに言った。
「ここで学んだのは、お金の流れだ。
だが次は、“自分の流れ”を作れ。」
こうして始まったのが、令己の新しい講座――
**〈仕事塾(WORK DESIGN LAB)〉**だった。
転職は逃げではない
最初の講義で令己は、教壇に立つなりこう言った。
「転職は“逃げ”じゃない。
必要があるなら、それは“戦略的移動”だ。」
異世界でも、人々は安定を求めて同じ仕事を続けていた。
だが、成長が止まる仕事は、時間を奪うだけ。
「逃げるな」と言われる職場ほど、人を縛る。
令己はそういう場所を“沈む船”と呼んだ。
「成長も自由もないなら、迷わず飛び出せ。
それは逃避じゃない――前進だ。」
「どこで働くか」ではなく「なぜ働くか」
令己は板にこう書いた。
「働く場所は人生の舞台装置にすぎない。
主役はいつも“お前自身”だ。」
仕事を変えることは、環境を変えること。
だがそれ以上に、目的を再定義する行為だった。
「金のために働くか、理想のために働くか。
その違いが、人生の質を決める。」
仕事を“生計”ではなく、“自己設計”の一部として捉える。
それが、天野令己の教えだった。
仕事は人生の一部、ではなく延長線
塾では、各生徒が自分の「理想の働き方」を発表した。
ある者は「宿で人を笑顔にしたい」。
ある者は「教育を通して子どもの自由を広げたい」。
ある者は「服で人の自信を作りたい」。
令己は一人ひとりの発表を聞きながら言った。
「仕事は、人生の延長線上にある。
理想に近づくために働け。
それが“幸福と豊かさ”を同時に掴む最短ルートだ。」
仕事塾の夜
講義が終わると、令己は生徒たちと宿の食堂に集まった。
暖炉の火を囲みながら、彼は静かに語った。
「働くというのは、“動く”ことだ。
動けば景色が変わる。
景色が変われば、見える未来も変わる。
だから、止まるな。
いつでも、動ける人でいろ。」
弟子たちは深く頷いた。
その夜、彼らの中に“働くこと”への新しい意味が宿った。
天野令己の「仕事塾」は、異世界中に広まり、
やがて“働く”という言葉の定義を変えていった。
働くことは、仕方なく生きる手段ではない。
自分の理想に近づくための戦略的行動である。
そう信じる者たちが増えるたびに、
異世界の経済は静かに、しかし確実に進化していった。




