第五章 自分のビジネスを持て ― 真の自由は仕組みの中にある
第五章 自分のビジネスを持て ― 真の自由は仕組みの中にある
天野令己は気づいていた。
どれだけ宿屋を増やしても、それは他人の世界での成功に過ぎない。
本当の自由とは――
自分の意思で世界を動かす仕組みを作ること。
つまり、自分のビジネスを持つことだ。
サラリーマンとして安定した収入を得るのは悪くない。
だが、それは“誰かの船”に乗っている状態だ。
真の自由は、自分で船を造り、どこへでも航海できる力から生まれる。
令己は、異世界における自分のビジネスを三つに分けた。
一つ目の柱:情報販売
「知識は、最も軽くて最も高価な資産だ」
元・絵本作家としての経験を生かし、
令己は異世界で“心を育てる絵本”を描き始めた。
魔族も読めるよう翻訳魔法を組み込み、
内容は「お金」「自由」「生き方」を子どもにも伝わる寓話にした。
本は爆発的に売れた。
著作権はすべて令己のもので、宿の本棚にも常備された。
彼は“本が働く仕組み”を作り出したのだ。
「俺が寝てても、物語が稼ぐ。」
二つ目の柱:教育・塾経営
宿経営を通して得た知見を、次は教育に変える。
令己はスキル【教育マニア召喚】を発動。
呼び出されたのは、教育指導要領など一切知らない、
“学びに狂った変人教師”たちだった。
・歴史を自作劇で教える演出狂
・数字を踊りで理解させる数学ダンサー
・授業中に生徒が逆に教師を試す論破塾
教室は毎日混乱と笑いに包まれ、
子どもたちは学ぶことを“娯楽”として覚えた。
その評判が国中に広がり、
**“アマノ式マニア教育”**は新しい文化として根付いていった。
「教育は教えることじゃない。
好奇心を点火することだ。」
三つ目の柱:実業 ― パチンコ店経営
令己は次に、“リアルな現金が動く現場”を作る。
彼が開いたのは――異世界初のパチンコ店。
「暇と金を持て余す貴族に、遊びながら経済を回させる。」
もちろん運営するのは、召喚したパチンコマニアたち。
彼らは台の配置、音、玉の転がり方にまで哲学を持つ。
「一球一念」を信条に、客が帰るたびに店を磨き上げる。
遊技は文化となり、店舗は毎晩満員。
収益は教育や宿事業に再投資された。
この3本の柱――
知識・教育・実業。
それぞれが互いを支え、リスクを打ち消し合う。
市場が荒れようと、どこかの柱が必ず彼を支えた。
「景気に振り回されるな。
流れを作る側に回れ。」
天野令己は、資産家から創造者へ。
そしていまや、自らのビジネスが世界を動かす“思想の王”になっていた。




