第二章 資産を買え。借金してでも資産を買え
第二章 資産を買え。借金してでも資産を買え
異世界に転移した天野令己が最初にしたことは、貯めた金貨で宿屋を丸ごと買うことだった。
剣も魔法も使えない彼にとって、最大の武器は“金”だった。
浪費は未来を削り、
資産は未来をつくる。
そう、令己は知っていた。
資産とは、自分が働かなくてもお金を生み出す仕組み。
この世界でも、宿屋は人が動き、泊まり、食べ、金が回る。
つまり宿屋は生きた仕組みだ。
「俺が寝てても、こいつ(宿屋)は稼ぐ」
それが彼の選んだ戦い方だった。
給料をもらえば使い切るのが庶民。
だが金持ちは違う。
手に入れた金をすぐに**“資産”に変える**。
浪費ではなく、投資。
消費ではなく、循環。
令己もそうだった。
金貨を見つけては宿を買い、宿を拡張し、そこから得た収益でさらに別の宿を買う。
資産が資産を生み、仕組みが仕組みを増やしていく。
ある日、彼は思いついた。
「宿を愛してやまない奴らを集めよう」
そしてスキル【人間召喚】を発動。
呼び出したのは――宿マニアたちだった。
ベッド職人、清掃狂、料理オタク、受付フェチ。
元からの従業員もそのまま雇用し、マニアたちが楽しみながら宿を磨き上げていく。
「俺が寝てる間に、こいつらが宿を進化させる」
「見てて楽しい」
令己はそう言って笑った。
もしチャンスがあるなら、借金してでも資産を買え。
ただし、浪費のためではなく――
キャッシュフローを生む資産のための借金に限る。
これが、天野令己が異世界で築いた“金の王国”の基礎である。
剣も魔法もなくても、仕組みで勝てる。
それが、彼の異世界資本主義だった。




