第九章 信じるに値する者を富ませよ ― 経済は信仰で動く
第九章 信じるに値する者を富ませよ ― 経済は信仰で動く
異世界の大陸に、
天野令己の名を知らぬ者はいなくなっていた。
宿は国境を超え、
教育は世代を超え、
服は文化になり、
仕事塾は思想になった。
だが、令己はまだ満たされていなかった。
「仕組みは完成した。
だが、仕組みだけでは人は動かない。」
金が流れ、ビジネスが回っても、
その根に“信じる力”がなければ、世界は長続きしない。
令己は思った。
この世界で最も価値があるのは「信頼」だ。
信用があれば、人は動き、金は流れ、未来がつながる。
信用を通貨に変える
令己は新たな実験を始めた。
それは「信頼」を可視化するシステム――
“トラストコイン(Trust Coin)”。
貨幣ではなく、信頼の証。
誰かに助けられた、教えられた、支えられた――
その“恩”を数値に変えて返す仕組みだった。
トラストコインは魔法でも数字でもない。
人々の“感謝”が集まるたびに光る。
不思議なことに、それはどんな金貨よりも価値を持つようになった。
経済は信仰で動く
ある夜、令己は弟子たちに言った。
「経済は数字で動くように見えて、
本当は“信じる力”で動いている。
金を信じる者は金を失う。
人を信じる者は、金を超える。」
この言葉をきっかけに、
異世界の人々は“信頼経済”という新しい概念を受け入れ始めた。
取引は契約書よりも信用で成り立ち、
ビジネスは競争よりも共創に変わっていく。
利益ではなく“信頼残高”を誇る時代が来たのだ。
マニア資本主義、完成す
令己はその中心に立っていた。
彼の築いた“マニア資本主義”は、もはや経済ではなく、
生き方そのものになっていた。
好きなことで働く
情熱で資産を作る
信頼で世界を回す
金貨は、いつの間にか副産物に過ぎなくなった。
人々は、令己の作った仕組みの中で、
自分の“好き”と“信頼”を交換しながら生きていた。




