9−2 アンダーグラウンドfeat.ポッキーの日でも観光堂の『おかき巻き』が美味すぎる
観光堂の『おかき巻き』が現在、製造が間に合わず各店舗ずっと閉まっています。
開いているのを見つけた時、絶対に購入してくださいね。
クロに勧められてやってきた西宮銘菓、観光堂の『おかき巻き』。確かに冬雪も珍しいおかしだなと思う。なぜお煎餅にお煎餅を巻いたのかは分からないが、とにかくあまじょっぱくて美味しい。サクサクした歯ごたえも別々の硬さのお煎餅同士を食べる事で斬新な歯ごたえを持っていた。
店内でお茶を出してもらい。クロは両手にもってサクサクと食べる。レベッカは自国のキャンディーバーでも食べるように齧ってそれが思いのほか美味しかった事に驚いて笑っていた。
お土産用のひと箱を購入したレベッカ、クロも自分のオヤツ用だろうか? を購入「次は、もっと甘いお菓子。おはぎを食べに行く。車で少し移動したところにある」
「オッケー! そう、日本の和菓子スイーツ! こういうのを食べてみたかったのよ」
レベッカはテンションを上げてクロの申し出に賛成。「じゃあ出発。ここと違って駐車場が凄い小さい。停められないと困る。その時はまた冬雪が護衛、クロがコインパーキングを探して停めてくる」
「分かりました。というか、僕も運転できるようになった方がいいですよね?」
「うん、車は移動がすごい楽」レベッカが笑う。「私も向こうにコルベットもってるわよ」
「コルベット?」
「シボレーのコルベットよ? 知らない?」有名な高級車ではあるが、冬雪はそういう事には全く明るくなく、車は運転すれば動く道具程度に考えているクロにも興味はない。
「ちょっと車には詳しくなくて」と冬雪が答えると、レベッカはスマホを操作して自分の乗っているコルベットの写真をみせる「これよカッコいいでしょ」と赤い車。
確かにスタイリッシュで、平べったい。車の機能性とかは無視して走る道具としての性能を追求したような形をしていた。冬雪はきっとこんな車、自分は生涯乗る事はないんだろうなと思ってカッコいいですと素直に返した。
自分の車を褒められてレベッカはよほど嬉しかったのか、もし自分が事故とか病気で死んでしまってこの車を乗れなくなったならこのシボレーコルベットを冬雪にあげると言った。
「嬉しい?」
さすがに冗談だろう。でも、こんな車もらって嬉しくないわけがない。はい、嬉しいですと冬雪は頷いて笑った。
クロの運転する車は大きな看板で『サザエ』と書かれている和菓子屋に停車した。丁度駐車場が空いていた事もありすんなりと店内へ。
「いらっしゃいませ」。全国でも有名な西宮の高級おはぎ、サザエ本店の簡単な説明書きをみて、席に案内される。「餡子のおはぎ、きなこのおはぎ、海苔のおはぎ。えびす神社のとおかしにもたまに出てくる」
クロのつたない説明と共に食す。嗚呼、これは美味しい。しかしアメリカ人のレベッカにこの味が分かるのだろうか?
小さく切り分けて一口食べるレベッカ。
「とても上品な口当たりのスイーツね! 北海道の小豆を使っているのね。クロ、素晴らしいお店をおしえてくれてありがとう。さっきのおかき巻きもこのおはぎもとても気に入ったわ!」
「良かった」
しばらくおはぎに舌鼓を打ちながらお茶を飲んで休憩。
さすがにお菓子が二度続いたので、お腹もふくれてきた。「この次はどうしましょうか? 観光地も色々あるみたいですが」
冬雪がレベッカに次の目的地を尋ねる。冬雪も来たばかりの土地、楽しみだ。「そうね。あっ、丁度向こうも到着したようね。知り合いと待ち合わせをしてたの」
「待ち合わせですか? 一体どなたでしょうか? お会計、こちらおいておきますね! レベッカさん一人で行動しないでください」
「ご馳走様」クロがそう言って二人についていく。外で待っていたのは冬雪とクロの知らない外国のガタイのいい男と二人と同じ年くらいの中東系の少年だった。
レベッカが手を上げるとガタイの良い男は両手を前にお辞儀する。そしてもう一人の中東系の少年はレベッカを見ても変わらなかったが、クロと冬雪を見てとても嬉しそうに笑って手を上げる。誰だこいつら? それが冬雪の感想。




