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3−6 アンダーグラウンドfeat. フードコートで初めまして

 守り屋『宮水ASS』の冬雪とクロ、始末屋『よる』の宋とゆかりはコストコのフードコートで食事を取っていた。巨大な焼きたてピザ、コストコのフードの代名詞、巨大なホットドック、クロはそれにクラムチャウダーとハンバーガーを二個前にしていた。

 商売敵というわけではないが、お互いの仕事柄、衝突する事や仕事の取り合いになる事があり、こうして顔を並べて食事をするという状況は極めて稀有な状況であると言えるのだが、始末屋『よる』の表の顔である串カツ屋であるという事。同業者から同じ裏稼業の者が食べに行く事も稀にあり、始末屋『よる』とだからこの状況は起こりうるともいえる。一ピースでお腹いっぱいになりそうなピザを炭酸飲料で流し込むクロ。

 二組のカップルでコストコに買い物にきた程度に外からみれば映るのだろう。お互いの買った物から予想。守り屋は日常品や私物の購入、始末屋は表の仕事である串カツの材料というところだろうか? と冬雪は二人が串カツ屋の店員でもあると聞いていたので見つめていると、「おい、クロ。こいつ誰? もしかして彼氏?」

「新人の冬雪、BBはぶっきーって呼んでる」何故か紹介されたので、冬雪は頭を下げる。さすがにクロのように食事には手を付けられない。「宜しくお願いします。立花冬雪です」

 宋の方は営業用の笑顔を作って手を差し出した。「宋です。宜しく」

「新人? 宮水ASSの? じゃあコイツ強いんだ? へぇ! へぇ!」ゆかりが前のめりに冬雪の顔を覗き込む。黒いシャツの上からチラチラと黒い下着、そして白い肌が見える。それに冬雪が目を背けると「はい、死んだ! なんや素人やん。まぁせいぜい殺されないようになルーキー」

 ゆかりにそう言われてなんだか少し恥ずかしくなる。仕事なら今の隙で殺せたという事なんだろう。このゆかりがどれほどの実力者か分からないが、女の武器を活用して確かに冬雪を油断させた。そして今の瞬間があれば冬雪を殺せただろう。

「ゆかりちゃん、失礼ですよ。謝って」

 宋に叱られたがゆかりは気にもしていない様子。

 そんな掛け合いの中でも、クロはピザを一枚食べると巨大なハンバーガーにかぶりついた。もぐもぐ、ばくばく、ずずーっと炭酸飲料をすする。「ほんまよう食うな」

「クロは成長期だから沢山食べるのが普通」きっと榊かブリジットが教えたんだろう。

「成長期のわりに胸に栄養行ってへんやん?」

「そう?」

「私の身体見てみぃ! 宮水のルーキーくんが鼻の下伸ばしてさっき見てたんやから! クロの身体はガキやからそういう気もルーキーくん起こらんのやろ?」

 ゆかりが自分の胸をまさぐりながら聞くので、「いや……そんな事は、クロさんも綺麗だし」「冬雪、クロの身体は成長していない? どう?」そう言ってクロに腕を掴まれクロは自分の胸に触れさせる。年齢的にクロの身体の成長具合がどうだとかは冬雪には分からない、だがいきなり女子の胸を触ってしまい。混乱する。ゆかりは「ひくわー」とか言っているが、クロは冬雪に胸を触らせてもなんとも思っていない様子。

 そんな状況に宋が助け船を出す。「クロ、人前でそういう行動はよしたほうがいいですよ。榊さんに叱られちゃいますよ?」

「ボスに? なら止める。冬雪、もう触らないで!」

「自分で触らせといて、なんやねんクロお前! まぁ、揉み心地の悪い胸触らされて迷惑こうむってんはルーキーくんやからな! ウケるわー! ほんま宮水のドぐされ共は見てるとおもろーやわ。てか……いつまで食うねん!ハゲ!」

「食べれる時に食べる。ボスに言われた。それにクロはハゲじゃない。ボスが人の事を悪く言ってはいけないって言ってた」

「ボスボスボスボス、うざいねんお前! ウチをボコった事まだ根に持っとるからな!」

それを聞いたクロは「ゆかりは弱い。冬雪の方がずっと強い。この世界、ボコられる方が悪い」

多分、これはブリジットの教えなんだろう。冬雪の方が強いという言葉にクロだけじゃなくて、冬雪に対してもゆかりは睨みつけられる。しかし仕事中のクロと交戦してこのゆかりは生存しているという事は少なくとも冬雪は自分より強いんじゃないかと思った。

「あぁ? この隙だらけむっつりルーキーがウチより強いって? どこをどう見たらそうなんねん? なんならここで喧嘩する? ワレら、二人がかりでええで?」

立ち上がり啖呵を切るゆかりを無視するクロ、「ゆかりちゃん座って」

「宋先輩、喧嘩売られたんですよ? やっちゃいましょーよぉー!」

「冬雪さんよりゆかりちゃんが弱いかは分からないけど、クロは君より強いよね?」

 そう言われて、比較的可愛い顔をしているゆかりが怒りで逆に笑い顔になる。なんとか自分を抑えたゆかりは目の前のピザをクロ同様ばくばくと食べ始める。「冬雪さんも遠慮せずどうぞ」

「あっ、はい。頂きます。それにしてもお二人は本日はお休みですか? 始末屋ってどんなお仕事が分からないですけど」

「いえ、仕事までの時間潰しですよ」と非常に優しい口調で言ってくれる宋。男前だし、年下の冬雪相手でも敬語。物腰柔らかい彼が始末屋なんて物騒な仕事をしている風には見えない。モデルや芸能人と言われても冬雪なら信じる自信があった。

「仕事?」クロが食べるのを止めて興味をもつ。「クロさん達の地域じゃないし、多分かちあう事はないと思いますよ。その辺の若者何人かバラして処分する感じです。割のいい楽なお仕事ですね」

「そう、また赤松のところの串カツを食べに行く。仕事ならもっと食べたほうがいい」

「えぇ、そうします。それにいつでもお待ちしてます」

「ゆかり、宋の邪魔にならないように気を付ける」

 この一言でゆかりの我慢の限界、クロに掴みかかろうとしてまたしても宋に止められた。

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