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2−5 アンダーグラウンドfeat.大人の会話は意外としょーもない②

 宮水ASSの事務所に一人でパソコンを操作している青年。玉風ユーフォンは電話番をしながら、ネトゲに勤しんでいた。26才の中国人を自称する。

 しかし中国語は喋れず、異様に岡山の事に詳しい為、ブリジットからは中国地方人と呼ばれている。個人情報の全てが偽造。ちなみに、宮水ASSの従業員の偽身分証を作っているのも彼だ。趣味は対戦型ネットゲーム。日本酒の好みは辛口。ロリコン、ショタコンを自称しているが、yes!ロリショタ、noタッチの信念を持ち、児童性犯罪者達に関しては相入れないただの犯罪者と嫌悪している。

「電話受付を無くしたいんだけど、ボスえらい(大変)古い人だからなぁ」

 

 ネット受付をすれば電話番なんて仕事は無くなるのにと何度か榊に進言してみたが、ネットが使えないで電話を連絡手段の要にしている依頼客もいるからと、毎回その議論は断られる。確かに、宮水ASSのお守り業務の大半は暇を持て余した老人達の買い物に付き合うことが多い。そんな仕事こなしてもこの事務所を経営できる程は稼げない。実際にこの事務所を運営させているのは荒事全般、夜逃げの護衛、ストーカーの撃退。殺し屋からの防衛。西宮市から出れば相手を殺害する事もある。そんな危ない仕事でこの宮水ASSは成り立っている。もちろんそんな仕事を経営している榊も謎多き人物だし、玉風も自分のことを語らない。

 

「BBから仕事が終わったって連絡きましたよー」

「あー、ほんと? 玉ちゃん、ウーバー頼むけど便乗する?」

 

 牛丼を食べるらしい榊に玉風は頷き、「便乗ルノ!」とチーズ牛丼を指差す。

「玉ちゃん、三白眼が特徴的だけど、まぁまぁ男前だからそんなキャラ付けのためにチー牛食べなくてもいいよ」とツッコンでくるのでため息をつく。

「普通に好きなんですー」玉風はこの榊とBBの絡みが少し苦手であった。「どっかの誰かのせいでチー牛の扱いが酷くなったのマジおこですよ」

「牛丼にチーズって美味しいのかい? やっぱ牛丼は普通のがいいね」

「ボス、あれですよ? 冒険しなくなるのって年取ってる証拠ですよ」流石に怒られるかと思ったが、

「えっ、ほんとに? じゃあ俺もチー牛で」すぐに若者の言う事に影響されてしまうのも年寄りですよとは玉風は言わない。見た目だけならまだ二十代でもいけそうなのに勿体ない「まぁ、一回食べてみてくださいよ」

「そういえば、玉ちゃんに少し調べてもらいたい事があるんだよね。一般の人から麻薬? あるいは危険ドラッグを売りつけられたって話と、その道の人たちからも誰かが粉を売り捌いてるかもしれないって、それ関係で今後クロとBB、あと新人の冬雪くんも出てもらおうかなと思っててさ」とFAXで送られてきたであろうそれを玉風に手渡してくれる。このFAXもやめようと言ったが、電話と同じ理由で却下された。

 だから日本はテレワーク普及しないんだなと玉風は思う。

「守り屋の仕事なんですか?」

「西宮の街を守る事も仕事だからね。俺たちにしかできない事もあるしね」そう榊が応えるので「なるほど!分かりました調べておきますね」


 事務所の冷蔵庫からウィルキンソンの炭酸水を取りグラスに入れる玉風を見て榊は誇らしげに「ウィルキンソンは西宮の炭酸水、常備してないとね!」と言うので「外国の製品じゃなかったんですか?」と玉風は真面目に驚く。「ウィルキンソンって人が西宮の山の向こうにある同じ市内なのにここから大阪や神戸よりも遠い塩瀬町ってとこで炭酸鉱泉みつけたんだよ。だから有馬とかのお土産に炭酸せんべいってあるでしょ? ちなみにジンジャーエールも国産は西宮が発祥なんだからね!」


 知らなかった。炭酸せんべいってガチ炭酸関係してたんだ......

 しかしなるほど、通りで冷蔵庫に常に常備されてるのか、地元狂いの榊に苦笑しながら玉風はゲームの画面を小さくして、対戦をしながら榊に渡された情報を調べる。FAXに書かれた住所にある監視カメラにハッキングをかける。何か面白い物でも映っていないかと動画を保存していく。

 そんな作業をしているとウーバーイーツが届いたらしい。

 

「ボス! すみません取りに行ってもらっていいですか? 今、いい所なんんで手が離せなくて」

「はいはーい」経営者である榊が玄関に牛丼を取りにいく。一応、折りたたみナイフをポケットに入れて、出迎える「ご苦労様」


「うわー。玉ちゃん思ったより凄い匂いするけど本当にこれ美味しいの? まぁ熱い内にいただこうか? おっ! 紅生姜沢山入れてくれてる。よし、チップは弾んじゃおう!」

「はは……いただきます」

 

 チーズと牛肉の油、若い身体にはこれほどにないご褒美だろう。玉風は事務所の冷蔵庫から瓶のコーラを取り出し喉を潤す。榊を見ると、ゲテモノでも見るように恐る恐る箸をつけている。そして意外と普通に食べれる物だとわかると、テレビをつけて無言で食べ進めている。

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