82話 冷たいもの同士
私はフィウニに素朴な質問をぶつけた。
「どうして月に今までいたの?」
「……数年前、ヘレティックが月送りにあったっていう出来事、知ってる?」
「いいや、知らないな……家出少女やってたからね」
「そうか、今はどうなんだ?」
「しっかりママの家にいるよ」
「ママさんはフローズンを見捨てなかったのか?」
「うん、なんなら親バカ。本当に困った困った」
「こまどり姉妹。これでいいでしょ?」
「どういうことかわからないんだけど、説明してくれる?」
「どこかのノリで困った困ったこまどり姉妹っていうのがあるんだよね」
「へぇ……そうなのね」
「……親がいるのか」
「フィウニって親はいるのか?」
「……いないよ」
「親が居なきゃあなたは生まれてこないはず、まさかクローン!?」
「違うよ、私はあいつらを親と呼べないんだ。私にレガリアが発現していた時、あいつらが言った言葉は何だと思う?」
「わからないな、教えてくれ」
「バケモノ産んじゃったってね、だが本当の化け物はあいつらなんだ。我が子を化け物扱いをして……そして月送りにさせられたんだ」
「そうなのね……苦労したんだな」
「苦労はしてないよ、月送りってのは少々の酸素ボンベが配られるんだ、それを賭けて月送りにさせられた人達はそれを分けて使って……王国を作ったんだ、そして私たちは出会った……いいや、言い直すのなら……出会ってしまったの方が正しいのかな」
「出会ってしまった……?」
「うん、宇宙人に出会ってしまったんだ。ファーストコンタクトは見えない斬撃だったんだよね。本当にあれには驚かされた」
「見えない斬撃……?」
「目には見えない速さで月送りにさせられた人たちは一瞬にしてきりきざまれたんだよ、私は氷で防御したんだけど。そして宇宙人が私に渡してくれたのは酸素ドームっていう物なんだ、そして宇宙人はどこかに消えていったんだ」
「へぇ……それで今の月文明が出来上がってきたのね」
「おっと、もうこんな時間だ。じゃ、代金は支払っておくよ」
「ありがとう……」
そうしてフィウニは店を出ていった。苦労してるんだな……
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