5話 十字架を掲げるものは惹かれあう
次の日、起きると何かが腐った臭いが部屋に立ち込めていた。
「くっさ……何なのよ……」
私のカバンを覗いた、そこにはあの時、食べようとしていた人肉が腐っていた。
(でも処理する場所って、どこなんだろう……)
私は一人で外に出て、ゴミを外に出した。
「しかし、臭いわねぇ~」
私はバンカーに戻った、その時、誰かとすれ違った。その人は私の掛けている十字架のペンダントを見て少し驚いていた。
「まさか……ね」
すれ違った人はそう言った、十字架のペンダント、あの人も首元に掛けていた。
「あの……」
何かしら奇妙な縁を感じる、理由は分からない。
「どうしました?」
幼い顔が私を見た、私と同じ年のようだ。
「そのペンダント、私の物と一緒……」
「やっぱり?だったらセリア家の……?」
「どうしてその名前を……知らないあなたが?」
「今は話せない、ちょっとした理由があってね、でも直に知るかもしれない、その時は私とあなた、それととある人と落ち合おう」
あの人と言うのが気になるが、今はわからなくてもいいか。
(しかし、奇妙だ、なぜかあの人に惹かれる)
私はバンカーに入っていった、夜はメカトロンの活動が活発ではないようだ、人間は出歩かないからか?
「おかえりー」
倉敷がお出迎えしてきた、いつの間に起きていたの……
「ちょっと臭うんだよね、何だろう?腐った臭い?」
「そうだね、ちょっと新鮮な空気を吸いに行ってた」
「まぁ、気にしないでおこうね」
私がこの原因の諸悪ということを黙っておかないとな。
「さて、他の住民と顔合わせしておかないとね」
私と倉敷は他の住民と顔合わせに向かった。そこにはあの十字架のペンダントを首に掛けてる、あの人がいた。
「へぇ、あなたもここ出身なんだ」
「そうだよ、名前はセリア・フローズン、あなたは?」
「賀留多ライ、かるちゃんって呼んで、ちなみに親と二人暮らし」
「そこまで話さなくてもいい」
少々目の前のかるはプライバシーの欠片もないようだ。というかプライバシーは何処に置いてきたんだ?
「おっと、来た来た」
遅れて部屋にやってきたのは私と同じ骨格の女の子だった。
「紹介するよ、七海莉奈っていう子、ちなみにあなたと」
「ちょっと待て、そのペンダント、セリア家の一族か」
「分かっちゃったか」
「ちょっと待って、電話をママにつなぐから」
私はママに電話を掛けた。
「なぁにぃ?」
「なんでクールポコみたいな返答なのよ、やめてよ、ちょっと集会室に来てほしいんだ」
「いいよぉ~」
その電話が終わった後、ドシャァンという音がしたと思ったら上からママが登場してきた。そういえば集会室の上の階って私の家なんだよね。
「なんで天井を破壊してきてるんだよぉぉ!!!」
そして私は事の経緯を説明をした。
「なるほど、って莉奈ちゃぁん!!!」
「くっつくなぁぁぁ!!!!」
「ちなみにすれ違ったとき、あなたと同じ年って聞いたけど、私17歳よ」
「あっ……15歳です」
まさかの年上だった。
「まぁ、人間ってミスをするし、というか私も数百回ミスをしていたし」
ママは莉奈のほっぺをスリスリしていたし、私に姉がいたっていう事、知らなかったけど!?
「ねぇ……その莉奈っていう人、誰と誰の子?」
「失礼な、ひろっちと私の子よ」
「ということだ、よろしく」
全く状況が呑み込めない、えっと、状況を整理すると、私にもよくわからない。
「まぁ、意味が分からないって顔に出てるよ」
「メンタリストか何かなのか……かるは」
「メンタリストではないけど、人の心を読めるレガリアなんだ、あなたのレガリアは何なの?ここに来たんだったら何か訳ありなんでしょ?」
「レガリアって、何なの?私、その言葉、初耳でね」
「教えてあげる、レガリアってのは、自分の精神の中にある能力、それが発現した人の総称はヘレティック、巷ではヘレティック差別って言われてるね、それが起こっちゃってるの」
「そこまで話せとは言ってない」
話が掴みにくい……やりずらいな……
「要するに能力の総称はレガリア、レガリアが発現した人の総称はヘレティックって覚えればいいんだ」
「なるほど、ちなみに私のレガリアが時間停止だ」
「……敵じゃないよね」
「敵じゃないわよ」
「そうよ、莉奈も言いな!」
「フゴフゴフゴゴ」
口を握られて全く喋れていない、可哀そうだ。
「親ばかだけど、楽しそうだねー」
「親ばかでごめんね、さぁて、一緒に暮らしましょ」
そうして七海はママに引きずられ、私の家に連れ込まれた。
「大変だね、無事に生きてることを祈るよ」
「なんであの人に捕まったら祈られるのよ」
「面白じゃん、その方が、私の部屋、ちょっと覗いてみる?」
「いいの?」
「多分ママだと許してくれるだろうし」
「じゃ、お邪魔しようかな」
「じゃ、こっちねー」
かるの家は、自分の家の隣だった。
「あら、隣人だねぇ」
「そうだな、これも何かの縁だな」
そして私はかるの家に入っていった。
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