23話 トラッカー
私たちはのんきに話をしていたが、何か風の流れが変だ。
「ねぇ、これ雨もっと降らないか?」
「そう?」
これは土砂降りになりそうだな。
「これメカトロン錆びないのか?」
「メカトロンが鉄でできているのなら、錆びるかもしれないけどね、銃弾耐えるから鉄じゃなさそうなんだよね」
その時、先ほど私をぶち殺そうとしていた奴が来た。
「さっきの奴だ、私たちの方向に来るよ?」
「そうだな、俺が相手をしてくる」
伊集院はそいつに向かって歩き出した。
「ほぉ、向かってくるのか」
「ああ、お前をちょうどぶちのめしたくてな、ダチを傷つけられて、俺は怒っている」
よく見るとブちぎれているかのようだった。
「ならば戦士には敬意を示さないとな」
そうして伊集院は奴を力いっぱい殴ろうとしたが、そいつは素早いサイドステップで躱し、伊集院にラッシュを食らわせた。
「オラァァァァ!!!!」
伊集院はガードが破られ、吹っ飛んだ。
「大丈夫!?」
「……次は誰だ?」
「俺はぁ……負けてねぇぞォォォォ!!!」
伊集院は無理に起き上がった。
「ちょっと……無理に起き上がったら駄目ですよ」
「私に一度殺されたお前、こい」
「不意打ちで殺したのに、殺した判定なのは、ちょっと訂正してもらわないとなぁ」
そう言って私はファイティングポーズをとった。
(奴はカウンターでキメてくる、なら私は何もしない)
しびれを切らした奴は私に向かって突撃をしてきた、その時、私は何かを感じた。
(こいつの装備に何かサイドステップの距離を増やす装置がある……)
私は突撃してくる奴のアゴを思いっきり突き上げた、そして合気道のように奴を後ろに倒そうとした。
「よっと」
だが奴は倒れる直前で後ろに手をやっていた、そしてバク中のように元の体制に戻った。
「その技、よほどの師範じゃないと教えない、どこで習った」
「習った……?」
私は習った記憶はない、どうしてできたのかも謎だ。
「コラーッ!待たんかいゴラァ!!!」
後ろからママが走ってきていた、それを見た奴は何も言わずに逃げていった。
「テメェ!!!」
顔面がピカソのようになった伊集院が追いかけようとしたがヌルに担がれ、必死にじたばたとしていた。
「放せコラァ!!!!」
「いいや、その傷、負ける」
「貸しを返すだけやゴラァ!!!!」
喧しい伊集院をママが見ていた。
「彼、元気すぎるね」
「そうだね、ママ」
「後でケーキ屋さんに行く?」
「行こう、絶対」
私はその時、何も知らずにバンカーの中に入っていった、奴にトラッカーを入れられていたなんて、というか中に入ったとき、気が付いた。
「これ、何だろうね」
「潰しとけ」
そんな会話があった。そうして私とママはケーキ屋に向かった。
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