第2話(AH1-2)
目を開けたら懐かしいフロアが広がっていた。
ああ、これは夢なんだろうなと思った。
「アツシ、どうしたんだボーとして」と俺の肩を軽くグーパンチしてくる奴がいる。
「シュウか・・・」俺はぼんやりとした顔で応えた。
なんか夢にしてはリアルすぎるな。
目をこすり、周りをゆっくりと見渡す。
ギシギシという灰色の椅子、狭い灰色の机。
窓際の机にいるのは九品寺部長だよな。
他にも懐かしい顔がたくさんいる。
俺:「シュウ。俺の名前と今日の日付を教えてくれ」
シュウ:「何言ってんだ。大丈夫か。寝ぼけてるのか?」
俺:「いいから、教えてくれ」
シュウ:「しょうがねえなぁ。お前は白山アツシ。今日は2003年4月3日。」
俺:「そうか。ありがと。そういうことかぁ。」
シュウ:「どういうことだよ」
といってシュウは心配そうな顔をしていた。
俺は2034年にいたはずだ。
もしかして、過去の自分自身にタイムリープしたってことか(?)
信じがたいが、とりあえず冷静に流れにまかせよう。
まずは状況把握と状況整理だ。
シュウ:「大講堂へ行くぞ。今年度初日の会同だぞ。急ごうぜ」
俺:「そっ、そうだったな。行こうか・・・」
俺たちは、ぼろい5号館を出て、レンガでできたちょっとした歴史的建造物である大講堂へ向かった。
今年度から就任した事業部長のありがたい話を聞きながら、懐かしいなと思っていた。
俺はこの事業部長さんの話が大好きで、事業部長名言集というメモを作っている。
そう、この日が名言集を始めた記念すべき日だ。
・イノベーションを起こせる人材を育てるためには、学習のイノベーションが必要だ
これが記念すべき名言1つ目だ。
事業部長が最後にこの文言をいっている。そして、人材育成を強化すると宣言した。
どうやら、本当にタイムリープしてしまったのだなと俺は確信した。