第189話(SH4-3)
八王寺シュウ譚 第4部 第3話
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頭がズキズキする。
首筋への強い衝撃を覚えている。
そして、あの男の顔も。
立ち上がったが、眩暈とふらつきがある。
パランスを保つのが難しい。
再び、薄いマットレスが置かれた固いベッドに横になる。
薄暗い。
唯一の光源は、壁際に置かれた一本の蝋燭。
蝋燭の揺らめく炎が、冷たい石壁に不規則な影を投影する。
湿気とカビの匂い。
遠くからは水滴が滴る音が響いてくる。
窓はない。
ベッドとトイレと洗面台。
石壁と鉄扉に囲まれた、狭く、無機質な空間。
シュウ:「ここは、独房か・・・」
俺は、目を閉じ、再び眠りに落ちた。
・・・・・・・・・・
気配を感じて、目を覚ます・・・
老人が俺のことを見下ろしている。
老人:「敵ではない。静かに頼む」
俺は、視線を老人から逸らさずに、わずかに頷く。
老人:「だいぶと久しぶりの囚人なので、会いに来たのだ。外の様子が知りたくてのぉ」
シュウ:「それ・・・は、・・・期待に応えられず、申し訳ないです・・・」
老人:「どういうことかな?」
シュウ:「・・・」
しばらくの沈黙が流れる。
老人:「そうよのぉ。まずは、儂の話を聞いてもらおうかのぅ。そなたは、人族であろう」
俺は、頷く。
老人:「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。素直でよいのぉ。
心配するな、儂はきっと味方になるであろう。儂も独房の囚人だからのぉ。
ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。」
老人は、西風神プタロスと名乗った。
穏やかな口調が、優しく、安心感を与えてくれる。
ここは監獄島と呼ばれる湾内に浮かぶ小島であるとのことだ。
俺をここに連れてきたのは、上位天神ブルイドン。
西風神プタロスも、数百年前にブルイドンに拘束され、ここに連れてこられたそうだ。
天界ゲートを通って俺がやってきたことを知ると、西風神プタロスは目を閉じ、沈黙が流れていく。
俺は、黙って待つことにした。
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