第15話(AH1-15)
我々は連日、蒼の洞窟にチャレンジしている。
そして、ついにシードラゴンのいる蒼の広間にたどり着いた。
シードラゴンは見上げるほどに大きい。
そして、真っ白な体、真っ黒な大きな切れ長の目、これらの強いコントラストは美しささえ感じられる。
エリザベスが一歩前にでた。
エリザベス:「一人でやらせてくれ。私はこの時をずっと待ち焦がれてきた。
聖槍が欲しいというのもあるが、自分がどこまでやれるのかというのにも興味がある。」
俺:「わかった。でも、危険と判断したら助けに入るからな。」
エリザベス:「ありがとう。よろしくたのむ。」
そういうとエリザベスはシードラゴンに向かって走り出した。
渾身の一撃で先制攻撃をいれるようだ。
Gakiiiiiiiinnnnという音がして、シードラゴンの固い鱗で覆われた皮膚はエリザベスの鉄の槍では傷すらつけることができなかった。
すかさず、エリザベスは最大攻撃力の一閃を再度、同じ場所に放つが、これでもシードラゴンの固い鱗で覆われた皮膚を傷つけることはできなかった。
唖然とするエリザベスをシードラゴンの尻尾が高速の横殴りで襲い掛かる。
俺はエリザベスを抱きかかえ、後ろへ飛び、シードラゴンの攻撃を間一髪回避した。
俺:「エリザベス!、気を抜くな!」
エリザベス:「え、、、えっと、、、ありがとう、、、そうだよね、」
一瞬の出来事、時間にして15秒ぐらいのものだった。
エリザベスは戦意喪失気味である。
シードラゴンの鱗は硬くて軽い防具素材として希少価値のある素材だ。
さすがに、鉄の槍ではいくらエリザベスの一閃といえども傷つけることはできない。
俺はエリザベスの耳元でぼそぼそと作戦をつぶやいた。
エリザベスの目に希望がよみがえってきたのがわかった。
俺は飛び上がり、シードラゴンの右目にショートソードを突き刺した。
シードラゴンは天井を見やり、大きな口を開け、叫んだ
Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!
そこにエリザベスが飛び上がり、槍をシードラゴンの口から心臓めがけて、打ち込んだ。
シードラゴンは雄たけびを残し、絶命した。
すると、奥の岩壁がくずれ、聖槍ポセイドンが現れた。
エリザベスがもじもじしているので、聖槍ポセイドンを手にするように俺は促した。
エリザベス:「聖槍ポセイドンを受け取る資格があるのはアツシだと思う」
俺:「そんなことはない、俺は手伝っただけで、倒したのはエリザベスだ。
それに、エリザベスにこそふさわしい武器だ。」
エリザベスは申し訳なさそうに、聖槍ポセイドンを手にした。
冷静さを保とうとしているが、それでもポセイドンを手にして嬉しさが漏れ出している。
鼻の穴が広がっているエリザベスも可愛いなぁと俺は心の中でつぶやいた。