第137話(AH3-18)
白山アツシ譚 第3部 第18話
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人族王国の王都ツィネーヴェア。
水の都と呼ばれる美しい街である。
街全体が水没しているような、不思議な街である。
月のない夜、俺は、迷路のように入り組んだ運河を、ゴンドラに乗って、大聖堂に向かっている。
大聖堂に保管されている“変装の仮面”を、手に入れるためだ。
俺は、闇に紛れて、大聖堂に忍び込む。
一般公開されている展示室に、“変装の仮面”はある。
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昼間に、エレナと旅行のカップルを装って見学に来て、念のため、ゲームの知識と同じであることの下見はしてある。
エレナは、スパイ活動が楽しいそうで、ウキウキ感がだだ洩れていた・・・。
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俺は、厳重な警備を簡単に搔い潜り、“変装の仮面”を入手し、大聖堂をあとにする。
簡単というのは語弊があるかもしれないが(笑)
巧みに素早く巡回警備員たちを絶妙のタイミングでかわしたり、
通気ダクトを通ったり、
鍵を入手したり、
もう、気分は怪盗である。
明日の朝、
“しばらくお借りする 怪盗A.H”
と書かれたカードが発見されると、大騒ぎになるだろうな。
ふふふ、楽しみだ。
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ゴンドラ5艘が近づいてくる。
黒ローブが10人。
俺は、“変装の仮面”を装着した。
そして、黒ローブに姿を変えた。
黒ローブたちの間に、動揺が走った様子はない。
俺が何を盗んだか、もとい、何を借りてきたかを知っているようだ。
そういう俺も、驚きはしない。
このイベントがあることは、わかっていた。
組織犯罪集団ブラックドラゴンも、“変装の仮面”を狙っているからだ。
俺は、肉厚の重量のある短グラディウスを抜いた。
いまは、短グラディウスしか、持ってきていない。
前回の黒ローブと同じ実力者が10名だとすると、短グラディウス1本では、このままでは、苦戦を強いられるだろう。
足場の悪い、ゴンドラの上だと。
ここは、先手必勝。
俺は、[一刀両断1]の斬撃波で、敵のゴンドラ1艘を、真っ二つにした。
それと同時に、真っ二つのゴンドラのすぐ隣のゴンドラに飛び移り、黒ロープ2名を倒す。
そして、一気に建物の屋根の上に、駆け上がり、黒ローブの包囲から逃れた。
残り8名の黒ローブも、屋根に駆け上がってくる。
屋根の上を、駆けながら、俺の短グラディウスと黒ローブたちのダガーが接触する。
月のない真っ暗な静寂な夜、剣の衝突による火花と音だけが存在する。
黒ローブが1名、また1名と運河に落ちていく。
なんとか、10名すべてを倒し、俺は、一息をつく。
・・・イベント発生とはいえ、・・・ずっと監視されていた可能性はある。
俺は、不安になって、宿屋へ急ぎ戻った。
エレナは、部屋でエールを飲んでいた。
無事なようだ。
外を警戒する俺をみて、エレナが不思議そうにしている。
黒ローブの気配はない。
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