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初めての恋は最後の恋

作者: 冬空奏

えーと、今回少しだけ残酷かもしれません・・・。

ですが、なんか超大作っぽいです。

できれば、見てって下さい!

                                                                                          

初めまして、十六夜いざよい 小夜子さよこですっ。

えーと、とりあえず自己紹介だけさせていただきましたー…。

…以上!

では、物語の始まり始まりー…。


「はぐ…おにーちゃん、これ何ー?」

「それはね、ヒアシンスっていうお花だよっ。」


これは、分かると思うが幼い頃の回想である。

とりあえず、段々と分かってくると思うのでこれ以上の説明はしない…。


「へー、おにーちゃん物知りなんだねっ!」

「えへへ…照れるから、やめてよ…」


小夜子の頭を軽く叩いて、兄が言った。

ちなみに、兄の名は十六夜 満月みちづきである。


「ヒアシンス…綺麗なお花なんだね…」


小夜子が、目をきらきらさせて言った。

満月も後ろから、小夜子を笑って見ている。


「ほら、小夜子っお花に水をあげようねっ」

「うんっ!」


満月が小夜子に、じょうろを渡して言った。

小夜子は嬉しそうに笑っている。


「ふぇっ…おにーちゃんにお水かかっちゃった…。ひくっ…ごめんね…」

「大丈夫大丈夫っ、全然気にしてないからさ。ほら、泣いちゃだめだよ?」

「ありがと…おにーちゃん…」


涙を拭いながら小夜子が言った。

満月は笑いながら、小夜子の頭を撫でている。


「ほら、おうちに戻るよっ」


満月は小夜子の手を握って、家に入る。

小夜子は、花に「ばいばい」と言いながら笑って手を振っている。


「お花さん達、大丈夫なの?」

「あはは、小夜子は優しいんだねっ。大丈夫だよ、心配しなくても平気だよ」


笑いながら、満月はそう言った。

こう言った後に、満月は小夜子の頭を撫でる。


「ねー、おにーちゃんはお花が好きなの?」

「んー、好きだけど…何かな?」

「いやー、何となくだけどさーっ」


笑って小夜子が言う。

どうやら、満月は花が好きなようだ。


「じゃぁー、私の事はー…?」


小夜子が頬を赤らめて言った。


「勿論、大好きだよっ!」


満月が笑いながら、小夜子を抱きしめて言った。

小夜子の頬の赤さも、相当なものである。


「小夜子もおにーちゃん大好きーっ!」


小夜子も負けじと、満月に抱きつく。

凄く仲のいい兄妹のようだ。


こんな日々がいつまでも続くと、私は信じていた…。


この時の私は、これが当たり前だと思っていた…。

       

しかし、そんなに甘くは無かった…。


幸せな日々の続いていたある日の事だった…。


「おにーちゃっ、はうっ!」


小夜子が何かの上にこけてしまった。

それは、満月の宝物のCDだったのだ…。


「あぐっ…おにーちゃんごめんね…」

「あ…いいよ、いいよっ」


その時、満月は泣いてる小夜子に笑ってそう言った。

私が笑おうとしたその時だった…。


「いつか、覚えとけよ…」


去り際にポツリと耳元で満月が言った。

私の眼からは、涙が溢れた…。

優しいおにーちゃんは何処へ行ったのだろうか…。

これで、私は終わりだと思っていた…。

だが、現実は甘くはなかった…。


「おにーちゃん、あそぼーっ!」

「うるさい、どっかいけ」


優しかった兄の面影はもう無かったのだ。

やっぱり涙が出てきた…。

かまってもらおうと、くじけずに努力はしてみたが…。

やっぱり無駄だった…。


「なんでそんな事言うの…?」

「お前が嫌いだから。それ以外の理由は無い」


兄はこっちに、目をむけてもくれない。

ただ、私に冷酷な一言を放っただけだった…。

それでも、1日兄に一言は言ってみた。

だが兄は、冷酷な言葉を言ってくるだけだった…。


そして、時は今…。

やっぱり、同じ様な事が毎日続いている。

私は中学生になった。

無論、入学式に兄は来てくれなかった…。

親は出張でまだ帰ってこない。


「小夜子ー、いっつも暗い顔してるのはなんでなのー?」

「ふぇっ!?そそ、そんなに暗いかな…?」

「うんー、いっつも暗いよー?」


新しくお友達も出来た。

名前は、咲夜さくやって言う名前である。

咲夜は私にそうたずねた。

私はテンパっている…。



「ねぇー、なんでなのー?」

「それはね…」


私は、咲夜の耳元で囁いた。

すると、咲夜はこう言った。


「まぁ、辛いのは分かるけどさー…こっちだってガツンと言っちゃいなよ!」

「でも、おにーちゃんだからさ…」

「そんな内気だからだめなの!ほら、頑張ってみる!」


なんか、咲夜が少し怖く見えた時だった。


「でも…でも…」

「まぁ、辛いなら無理はしないでね」

「ありがと…咲夜」


私は笑ってそう答えた。

咲夜も優しいんだし…。

やっぱり、一人一人優しいのかなぁと思った。

きっと、おにーちゃんだって…。


そんな事を考えていたら、もう授業が全て終わっていた…。

今日も、家に帰って…。


「ただいま…おにーちゃん、ご飯何がいい?」

「いらない。お前の作ったものを食べると、胃の中がけがれる」

「ひどいよ…おにーちゃん…」


私は、そう小声で言って自分の部屋に入った。

やっぱり、泣いていた…。

一日一回、泣いている気がする…。

いつになったら、あのころの優しいおにーちゃんになるのだろう…。

そう考えまがら、私は眠りにつくのだった…。


今日も、憂鬱な授業が終わった…。

どうせだし、おにーちゃんに何かプレゼントしようと花束を買った。


「ただいま、おにーちゃんっ…これあげる!」

「…なんだこれ?」

「ヒアシンス…おにーちゃんが私に一番最初に、教えてくれた花…」

「花言葉は、変わらない愛情なんだよ…」


恥ずかしがりながら、小夜子が言う。

満月は「ふーん」と、小夜子の方を向かずに言っている。

満月は、小夜子にある花を渡した。


「これは…何かな…?」

「相変わらず、お前は馬鹿だな。セキチクだ、花言葉はあなたが嫌い…だ。」

「へぇ…そうなんだ…やっぱり、おにーちゃんは物知りなんだね…。」


私は泣きそうになっていたが、我慢した。

「ばいばい」とおにーちゃんに別れを告げ、私は自分の部屋へ戻った。

その後部屋で寝転がって、少しだけ考えてみた。


嫌いって事は、必要ないって事…?


私は勝手かもしれないがそう思った。

つまり、おにーちゃんには私は必要ないという事だ。

いわゆる障害物だ。


「いらないんだよね…。分かったよ、おにーちゃん…」


私は暗闇の中、一人でそうつぶやいた。

ある事を実行しようという風に…。


そして夜が明けた…。

学校へ行く道には、ヒアシンスが捨てられている。

多分だが、おにーちゃんが窓から捨てたのだろう…。

朝からショックを受けた私だった。


「おはよう、小夜子っ!」

「ぁ、おはよう…咲夜」


今日も、咲夜と学校で出会う…。

いつもと変わらない日常風景だ。


「咲夜、今までありがとうね…。私なんかと一緒に居てくれて…」

「何、別れ際みたいなこと言ってるの!まだまだ、若いんだから!」


咲夜が、おなかを抱えて笑っていた。

違う意味で、涙を流していた気がする。


「まぁ、今日も頑張ろうね小夜子っ!」

「そうだね…」


私は、咲夜に控えめに笑ってそう言った。

そして、学校は終わりのチャイムを鳴らす。


「楽しい学校から、家に帰るんだよね…」


少しションボリした私だった。

昨日の記憶が、脳裏を駆け巡る。

「お前が嫌い」…。


「おにーちゃんは、私の事大嫌いなんだよね…。私は、おにーちゃんの事が大好きなのに…」


私はそう一人でつぶやいた。

この時、心の中である計画を立てたのだ。


~家~

此処から、少し兄目線。


「なんだ。アイツは、まだかえってきてないのか…。遅いな、まぁどうでもいいが」


俺は、いつもどおり本を読みながら一人で言った。

妹については、もう嫌い以外の何でもない。


「さて…この本も読み終えた…。腹も空いた事だし、台所で何か食うか…。」


そう言って、俺は台所へ行く。

やっぱり、午後7時で台所には誰も居ないから真っ暗である。

俺は、鳥目なのでさらに何も見えない。


「めんどうだな…。どうせだし、もう少し我慢するか…」


俺は、そう言って自分の部屋に戻る。

そして、勉強をしようと思った。


「さてと…この宿題を終わらせたら、飯を食うかな…」


そう言って、俺は英語の復習の宿題に手を出す。


「懐かしいな…。難しい問題もあるし」


そう愚痴りながら、俺は宿題を進めていった。

途中に全く日本語訳の出来ない英語が出てきた。


「At that time, she committed suicide.…?全く、分かんないな…。飛ばそう…」


俺は、そう言ってこの問題をとばした…。

そして、もう一つ分からない問題が出てきた。


「She was blood-stained in my presence. …?これも、分からない…。飛ばそう…」


俺って、案外ダメなんだな…。

まだ、分からないのがある…。


「She thrust her own chest with the kitchen knife. …だめだ、分からない…」


俺は、宿題をほぼ投げ出し状態でやっていた。

分かる英文なんて、I think that he will study English.位だ。


「しかし、英語も案外難しいんだな…。This is difficult.だよ…」


簡単な英単語を並べた英文を言う。

きっと、俺が分かるのは所詮この程度なのだろう。


「Is this a pen?…これは分かるぞ…。これはペンですか?だな…」


こういう問題ばかりならいいのに…。

そう思ってしまったダメな俺だった…。


「まぁ、とりあえず終わった…。分からないところはもう飛ばしたが…」


一応、見たことある英文なので思い出す時があるだろう。

とりあえず、腹がやっぱり空いているので台所へ向かった。

午後8時…何故か、妹が帰ってきていない。

普段なら、帰っている時間なのだが…。

そう思って、台所の電気をつけたら…小夜子が居た…。

血まみれで…。


「おにーちゃん…ただいま…」

「小夜子!?何があった!?」


俺はすかさず、小夜子に近寄る。

床には、血まみれの包丁が落ちていた。


「小夜子…だ、誰にやられた!?」

「自分でやったの…」


俺は、小夜子の告白が信じられなかった。

この時は、まだ現実を受け止めれていない。


「なんでだ…。こんな事をした!?」

「おにーちゃんが、私の事を必要ないって思ってるから、消えてしまおうと思って…」


小夜子は、涙目で俺にそう言った。

小夜子の体や、台所の床には大量の血がついている…。


「だけど、どうしても…最後だけができないの…」

「ば…かっ!」


俺は、泣きながら小夜子に抱きつく。

お前は死ななくくていい…。

このままで、よかったはずなんだ…。

生き続けてほしいんだ…。

なのに、なのに…っ!


「おにーちゃんの、甘えん坊さん…」

「今だけでも、甘えさせてくれ…。死なないでくれよ…っ!!」

「ごめんね、おにーちゃん…。でも、私はおにーちゃんにとって障害物にしかすぎないんだから…ね?」

「違う!今まで、気付かなかっただけだったんだ…。小夜子は、とっても大切な存在なんだ…っ!」


今更、言っても無駄だろうとおもいながらだが涙を流して俺は言った。

小夜子はくすっと笑い、涙を流して言った。


「おにーちゃんの顔って綺麗なんだね…」

「小夜子もこんなに可愛く成長したんだな…」


会話は交えたけれど、今までずっと顔をあわせたことが無かった。

ずっと、俺は本を読みながら会話していたからだ…。


「ごめんな…。今まで、本当にごめんな…本当は大切な妹だったんだな…」

「ありがとうおにーちゃん…。でも、私もこんな事しちゃったからさ…」


痛みを我慢したのか、口元を少しだけゆがめたが、小夜子は笑っていた。

涙をぼろぼろと出していたが、しっかりと笑っていた…。

俺は、小夜子が泣いているのを本当に直視できなかった。

辛すぎて…。

本当は、凄く大切な存在だったんだなと、今頃だけど気付いた…。


「おにーちゃんと会える気がしたから、呼吸器官は切らなかったんだ…」

「ばか…っ!小夜子の体は全部大事だよ…。だから…だから…」

「やったーっ…おにーちゃんが、元に戻った…。優しいおにーちゃんに戻ってくれた…」

「小夜子…本当に今までごめんね…」


俺は、遅すぎた謝罪をした…。

こんなの酷すぎるだろ…。

なんで、あんなことをしちゃったのだろう…。

後悔が募るばかりだ。

小夜子はそんな俺の頭を撫でてくれた。

優しく、もう感覚の無いような手で…。


「おにーちゃん…最後に一つだけお願いしていいかな…?」

「何かな…?」


涙目で、小夜子が俺に言った。

その頼みごとを聞いて俺は、とても悲しくなった。


「私の心臓に…包丁を刺して…」


涙目で、俺にそういったのだ…。

自分ではできないので俺に頼んだのだろう…。


「そんな事…っ!」

「おにーちゃん…私はもうダメだからお願い…」


おそらく、小夜子の最後の頼みごとなのだろう。

俺は、決心した…。


「ごめんな…小夜子…っ!!」


俺はそう言って、小夜子の胸に包丁を突き刺した。

俺はショックで泣き崩れた…。


「おにーちゃん…今までありがとう。ずっと、おにーちゃんに恋をしてたんだよ…?」

「馬鹿だよね…。でも、これだけは伝えたかったの…」

「おにーちゃん…」

「大好き」


小夜子は、声を震わせて言った。

俺は大好きなんて思われていたのに、なんであんな事をしていたのだろう…。


「俺も、小夜子の事が大好きだ…」

「えへへ、ありがとう、おにーちゃん」


そう言って、小夜子は満面の笑みで笑ってくれた。

でも、それっきり…小夜子が動く事はなかった…。

手も冷たく、死んでしまったのだろうか…。

目を閉じている…。


「小夜子、本当にごめんな…。俺も死ぬよ…」


俺は包丁を持って、そういった…。

自分の方に刃先を向けて。


「おにーちゃんはだめだよ…。そんな事したら、私が無駄死にしただけになっちゃうよ…?」

「私は、おにーちゃんが私を障害物と判断したからこうしたんだよ…?だから、だめ…」

「小夜子…じゃぁ、俺からもお願いだ…」

「もう一度、俺の妹として生まれてきてくれ…」


俺は、そう言ったが台所で言葉が反響しただけだった…。

その後、俺は小夜子を病院に運んだが、遅かった。


この事件の後、小夜子はやっぱり死んでしまった…。


その後、英文の意味を思い出した…。

最初の英文の日本語訳は「その時、彼女は自殺しました」。

次の英文は「彼女は私の面前で血まみれでした」。

最後の英文は「私は包丁で彼女自身の胸を突き刺します」。

どれも、運命のように感じてしまって、涙が出てきた…。


そういえば、葬式の時に涙で見えなかったけど…咲夜って人ににらまれたっけ…。


その後、本当に願いが叶ったように妹ができた…。

妹の名前は、夢香っていう名前になった。

小夜子ととても似ていて、本当に願いが叶った気がした。

今日も、俺が豹変する前の小夜子と歩いた庭を歩く…。

歩いた後には、ヒアシンスの花が風でゆれていたっけ…。

何も無い庭だけれど、1輪のヒアシンスが、綺麗に咲いていたっけ。


THE END


此処までお読みくださってありがとうございます!

お読みしていただいて、私は本当に涙涙です!

また、機会がありましたら、お会いいたしましょう…。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんで兄は、警察に捕まってないのかな? 普通なら、殺人行為で捕まるけど。 妹が兄に恋する、あり得ない展開だね。 普通なら喧嘩し合ってたり、争い合っていたり。 短説にしてみれば、結構よくでき…
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