無職転生ならぬ無体転生
どのくらい時間がたったのだろう。遥は暗闇のなかで目が覚めた。ここはどこか。何故ここにいるのか。自分の身に起こったことが鮮明に蘇り気分を害する。
(たしかトラックに轢かれて・・・死んだっ
てことなの?でも意識がはっきりしてる。も
しかして・・・)
瞬時、まばゆい光に五感全体が包まれる。そう、五感があるということは・・・
「死んでねぇー!これはまさかあのイベント
では?「て」から始まって「い」でおわるや
つなのでは!?」
光に包まれ、真っ白ななにもない空間にやって来た遥。その遥に向けて、
「イエ、カクジツニシンデイルカト。シンオ
ン、ミャク、トモニトマッテオリマスノデ」
遥に向けて機械的な声が響く。
「うわっ!だ、だれよあんた!?」
「ワタクシデスカ?サァ、ワタクシモワタクシ
ガダレナノカ・・・」
そこにいたのはテレビのパネルに腕をつけ、それを空中で浮かしているようなもの。つまるところ典型的な近未来ロボットである。驚く遥だがそれをよそにロボットはまた話し出す。
「アァ、デモオツタエスルコトガアルンデシ
タ。エエット、ココヲオシテ・・・」
自身についているボタンをポチっと押して黙りこくったロボット。
「ちょっと、お~い。あれ?動かなくなった
わね。」
遥が恐る恐るロボットを叩いたりつついたりしていると次の瞬間、
「ピーーーー!」
「なに!?なになになになに?!ちょ、ゴメ
ンって!こわれた?」
遥がロボットのことを心配するも・・・
「レディース&ジェントルマン!ご鑑賞の紳士
淑女の皆様!」
「ふぇ?」
突然、ロボットから先程の機械的な声とは似ても似つかない男性の声が流れてくる。
「なに?広告でも入ったの?死んだ後もこい
つら人類の前にたちはだかりやがって。✕ボタ
ンはっと」
「不幸にも死んでしまった皆様のため、我々
魂補填委員会が、この広告をご覧の皆様
に・・・」
遥が✕ボタンを探している間にも広告は流れ続ける。
「✕ボタンないわねぇ。あ、あった!こんなち
っちゃくしやがって。ったくもう」
「もう一度異世界でやり直すチャンスを差し
上げます!」
「ポチっとな。へ!?ちょ、いまなんつっ
た!?噓でしょー!」
嘆く遥をよそにロボットは、
「サイトニセツゾクシマス」
機械音に戻った声でそう言い放ち、光を発し始める。
「へ?よっしゃ!✕ボタン小さいのが始めて役
立ったんじゃない!?」
歓喜に溢れながら光に包まれ消え行く遥。真っ白な空間にロボットだけが残り、
「予定通りそちらに送還致しました。父上」
そう流暢な日本語で告げ、なにもない空間に消えていった。
それから、数時間後。遥は列車の中にいた。光の中に消えた後から、何故か列車の中にいた。昭和時代のような古めかしい列車ではなく、新幹線のような近代的な列車である。乗客は居らず遥一人であった。異世界到着まで後数時間あるとのことだったので寝ることにした。死んでいるのに寝れるのか、と、疑問に思ったが、案の定快眠であった。
「次は~異世界~異世界~右側の扉が開きま
す。ホームと間がある場合かありますので~
お降りの際は~ご注意ください~」
「ふぁ~ぁ。ん?ついたの?」
目を覚まし、ドアに向かい
(あれ、私死んだんだっけ?何かスゲェ実感
ないんだけど)
と、そう思いながらホームに足を踏み入れたとたん、
「へ?あー、ちゃんと異世界だわ」
ホームが消え去り、遥の周りから世界が構築されて行く。周囲は森のようでここがスポーン地点なのであろう。
「おっしゃ!テンション上がってきた~!
あ、でも最初全裸とかだといやよね。」
そんなことを行ってる内に遥の体はまばゆい光に包まれ・・・
「キターー!見渡す限りの木、木、木。流石ス
ポーン地点ね。神聖感ある~。」
さてとっ、と、体を起き上がらせ最初の敵何かに備えるべく体を動かそうとしたした遥だか、
「ん?体が、動かなっ、このっ、なんで?」
どれだけ立ち上がろうとしても起き上がれずそれどころか目線すら動かせない。よって見えるのは木と、木と、木。プラスで奥の方に見える小さな集落らしき物である。
「ちょっ、封印されてる感じ?。勇者が助けに来ると
か?」
兎に角できることはないので待つことにしてみるが、これが待てど暮らせど来やしない。なにもできず2日間が経過し、
「流石に遅すぎじゃない!?」
流石にしびれを切らしてしまった。
「ま、まさか来ないとか無いわよね。」
そんなことを考え、まさかねと苦笑し一瞬よぎった恐ろしい考えを振り払い気晴らしにでもと、集落の方をみてみれば、
「ん?何かひとが集まってるわね。あれ
は・・」
遥が見た人だかりの中心にいたのは、としは17歳頃だろうか。背には神聖な盾を背負い、着ている服は位の高い騎士のような高級感溢れる服。誰が見てもそれは、
「勇者!っぽいわね!キタキタキタキタ~!
ついにご対面なんじゃない?」
遥のテンションは上がりまくりだが、その勇者らしき人物は村人に案内されながらこちらに向かってあるいてくる。
「ヨシ!やっとこの生活から抜け出せるっぽ
いわね!このみち1本道だし私のところに
来てるのは間違い無いっぽいわ!」
勇者たちは遥の前で立ち止まり、
「勇者様、こちらが伝説の宝剣、ハルカカナ
タに御座います。」
村長らしきが人物がそう説明する。
(ん?なんつった?宝剣?)
遥が困惑するなか、勇者は頷き遥の方へ手を伸ばし・・・
「え?ちょっ、なになになになになに!?」
驚く遥。
「え!?剣が喋った!?」
困惑する勇者。
「勇者様、剣に試されておるのですじゃ。さ
さ、気にせず力一杯。」
スゲェ冷静な村長。
「わ、わかった!ふっ!」
納得した勇者。
「ちょ、ムリムリムリムリ!?」
納得できない遥。そして、
「あ」
「あ」
「お、抜けましたな。」
勢いのあまり空を飛んで行く遥。勇者一同空を見上げ、剣を目でおう。たまったもんじゃないのは、遥の方である。
「何で私、この短期間で、こんな何度も何度
も空飛ぶ羽目になるのよー!」
それからわめきたてる遥を勇者達がなだめるのに三時間かかった。
なだめた遥と村長の家に行き、村長宅で席に着く。何故か遥にも椅子とお茶が出され、男二人と剣のお茶会というシュールな光景が出来上がっていた。
「つ、ま、り、誰から見ても私は剣なのね?」
勇者と村長に問う遥。
「そ、そうなるね」
「そうなりますな」
肯定する二人。直後膝をつく遥。膝など無いのでそう見えるだけだが。
「んで、さっきなんて言ってたんだっけ」
「ん?なにが?」
「私のことよハルなんとかって。」
「あぁ、ハルカカナタですな」
「ハルカカナタ?」
「えぇ。昔、英雄が敵を切ったときに使ったと言
う刀ですじゃ。その力ゆえに敵は屍すら残さ
ず遥彼方に消え去ったという宝剣。この世に
存命する大7宝具の1つ。勇者様にのみ持つこ
とが許されて居りますじゃ。」
やはり異世界なんだと納得した遥。だが、この状況に納得出来ないひとが一人。
「だから、何で剣がしゃべるんだよ!?」
「仕方ないじゃない。こっちにも事情があんのよ」
「そうですじゃ。この方は剣に宿る神様のようなもの。害はないと思うのですじゃ。む?剣神様にはお口に合わなかったですかの?」
そう言い、口がないのでもちろん口を着けていないコップを下げようとする村長。
「あんたは適応力高すぎなんだよ!」
「あんたは適応力高すぎなんだよ!」
「?」
二人からの対応を受け流し(?)、お茶を入れる村長。このままじゃ埒が明かないと思ったのか、
「兎に角おまえが何なのか徹底的に、調べてやる。話はそれからだ。」
「好きにすればいいわ」
そう言い旅支度を進める二人。だが二人はまだ知らない。これから起こることも、これまでに起こったことも。
西園寺遥・・・15歳 剣に転生した少女。
振られても酔わないようになりたい。
勇者・・・17歳 勇者。まだ名はない。遥とまあまあ気が合う。遥を使って戦いたいのでこまっている。
ロボット・・・ロボットはロボット。遥をおくりだした。なにかと繋がりがあるも様。
村長・・・68歳 まだまだ現役。多分もうでてこない人物。人はモブと呼ぶ。
父上・・・ロボットが言っていた人物。日本になにかゆえんがあるのか。
あの酷いプロローグからここまで読んでくれた方へ。最大限の感謝と敬意を。




