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6 宇宙着装装甲×4重ね着 ドッグタグ ザルタス蜘蛛幹部怪物

深夜、雪が降っていた。

公園のそばを通った犬の飼い主は絶句して動けなくなった。

ある一団が公園に集まっていたからだ。

真っ赤な目が数千光っていた。

ブルブルブルブルブル!

おぞましい鳴き声をあげる知性の低い下級怪物たち

そこにさっそうと現れたのはザルタスを統べる女王、クロネコ怪物だった。

左右にローブを広げ演出してみせる。

沈まれ!

そう叫べば集団は一斉に静かになる

言葉がなじむのを待ってクロネコ怪物は玉座怪物に座ると足を組み、ゆっくりと話し始めた

数時間前、敵の進軍が確認された!

これからザルタス軍対ゾニエル軍の戦いが予測される

そしていよいよ実戦配備されるマジンドール部隊、完全完成した量産型エヴォリューションリングだ!

手でかかげたのは完成したリングだ。

ブルブル!ブルブル!

感動の声をあげるザルタス怪物たち

そしてやつらを見ろ!

バサリと音を立てて指さした。方向には100人の黒い布をかぶった怪物たち、100人のマジンドール怪物たちが姿を現す

量産型エヴォリューションリングによって強化されたエヴォリューションリング部隊だ!

ひかえていた総勢100名のマジンドール怪物が隊列を揃えて前進してくる

ザッ!ザッ!

と一斉に行進を止めた。

集まってくれた諸君!感謝する!

4大幹部の内、すでに蛾と伊勢エビは殺害された。

残す2大幹部が膝を折る。

お前たちに軍を任せるぞ!

「「は!」」

一斉に片膝を付き忠を示す幹部たち

勇敢なザルタス怪物20万!

そしてついに実戦配備された新兵器、最強のマジンドール怪物部隊100!

敵ゾニエル怪物20万!

我らが勝利するのだ!

ブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル!

20万近くの怪物がおたけびをあげる

今宵「こよい」!信心深い聖なる使徒たる我らザルタスが!邪悪なゾニエルどもを討ち滅ぼす!古代より続く戦いに幕引きをする!裏切り者のゾニエルを殲滅せよ!

大ゾニエル大戦が始まった

三上が言った

それ先行ってるね!

そう言って行ってしまう。

そのあとで仕事を済ませ、三原と俺は三上を追いかけた。

今日は3人でクリスマスパーティーを開く約束だ。

俺と三原が駅前に到着すると改札口を出た場所にあるモニュメントの前で三上は待っていた

きらびやかにライトアップされた街並みがここからでも見えて、人であふれかえっている。

悪い!悪い!

三上と共に三原のいる方に駆けていくと突如、ビルが大爆発した。

誰か警察を呼べ!

うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!

雪崩るように逃げまとう人々。

街は一瞬にして大混乱におちいる。

なっ、なんだこれは!

爆発が再び起こり、人が巻き込まれていく。

ザッ、ザッ、ザッ、

隊列を組んだ整頓された足音がした。

怪物の一団だった。

ファアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

大量のパトカーがサイレンを鳴らして到着する

警察だ!動くな!

ドアを開け銃を構える警察官たち、怪物たちをコスプレか何かと勘違いしているのだろうことはすぐにわかった。

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、

くっ、構わん!撃て!

パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!

銃撃を食らわせるが怪物たちには無意味だった。

ここは行くか!それとも二人を守るか!

警察官たちが応戦していくが

おおおおお!わあああああああああああああああ!

いともたやすく何メートルも投げ飛ばされ殺害されていく。

無残な死体が目の前に転がった。

志道!行って!私たちは大丈夫だから!

三原!ありがとう!二人とも早く逃げて!

棒状の固形物を取り出すとそれを構えて叫んだ

変身!

聖なる光が体を包みカブターへと変身する。

はああああああああああああああ!

殴りかかると

ガシッ!

腕の甲で拳を受け止められる。

なにい!うわああ!

そのまま弾き飛ばされてしまった。

ただの怪物じゃない!こいつらはいったい!

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、

無反応に怪物たちの行進が近付いて来る。

ビョオオオオオオオオオオオオオオオ!

バウバウバウ!

ドドドド!ドドドド!

奇声をあげながらゾニエル怪物たちの大群が駆けつける。

な、なんて数だ!

二つの怪物たちの乱戦が始まる。

両怪物の飛び道具が空中で激突するとあまりの衝撃に俺は吹き飛ばされた

ぐあ!ダン!

そのまま勢いに任せてゴロゴロと転がる

三上と三原が駆け寄って来る

「「志道!」」

ダメだ!三上!三原逃げるんだ!

どうしたカブターそんなものか?

声のしたほうを見れば倒壊したビルのがれきの上に見たこともないゴキブリの怪物が片膝を立てて片足をだらんとぶら下げて座っていた

お前は・・・誰だ?

ゴキブリゾニエル怪物、ゾニエルたちの幹部だ。

お前は知らないだろうがお前の受け継ぐカブターとは古代より続く因縁がある。

さあ、俺と戦え!

ジャンプしていきなり襲いかかってくるゴキブリ怪物

俺は両手に力を込め瞬時に起き上がると

右から来た拳を左腕で防ぎ

左から来た蹴りを右足で受ける

隙をついた拳が胸に入った

ぐあ!

痛みに耐え

はあ!

飛び蹴りを左腕で防ぎ

ぐあ!

はあ!

左パンチをくらわせる

左アッパーをあごにくらい

ぶあ!

右ストレートで殴られ

ぐはっ!

右裏拳で吹っ飛ばされた

ぐあああ!

何度も拳を交わすが実力差が大きい

つ、強い!これがゾニエルの幹部・・・!

特に強い一撃が叩き込まれ吹き飛ばされた。

ぐああああああああああああああああああああああああああああああああ!

どうした!そんなものかぁぁ

痛みにもだえそれでも敵を見なければと顔をあげると

さらに拳が飛んできて殴られる

ぐあああああ!

そのときだった

拳を振り上げたところでピタッ、と動きを止めるゴキブリ怪物

こ、この力は・・・キング!

カツーン、カツーン、カツーン、足音を立てて

黄金に輝くダニの怪物が現れる

き、キング・・・?

俺のつぶやきにゴキブリ怪物が答える。

ゾニエルの王。ゾニエル最強の男だ。

胸の前に手のひらを当てて前のめりになるゴキブリ怪物

お、王よ!どうかこの男は私に

倒させてほしいと言おうとしたところでダニパンチがゴキブリ怪物を吹き飛ばす

ガハ!

あのゴキブリ怪物が、ゾニエルの怪物の幹部が一撃で倒された。

壁に叩きつけられたゴキブリ怪物はグッタリしている。

ダニキングが圧倒的パワーを見せつける。

その強すぎる脚力で瞬時に移動、目の前に現れる

な!

反応できない!

そう思った時にはすでに首を捕まれ締めあげられていた

ぐ・・・かはっ!

志道!がんばってええええ!

三上が叫び

負けないでえええええ!

三原も叫ぶ、

二人とも逃げろおおおおおおおおお!

「「大丈夫か!」」

駆け付けた若者たちがキーホルダーをポケットから取り出すと目の前に構えた

着装!

キーホルダーが変形すると見たこともない高度な技術で作られたバトルスーツになって若者たちの身を包む。

ゼロ・X

ワン・X

ツー・X

スリー・X

俺たちはXに導かれた戦士!加勢するぞ!インセクター!

だ、誰だよ!

ブン!と投げ捨てられるカブターが悲鳴をあげる

うああああああああああああああああああ!

キングがゼロ・Xたちに首だけ振り向く

ワン・Xが手首からバリアシールドを出しナイフのように斬りかかる。摂氏1000度の斬撃性能を持つ熱線の盾だ

他のXたちも使用者固有の大盾、小盾を展開する

ぎゃあああああああああああああああああああ!

うああああああああああああああああああああああああああ!

な、そんな!やめ!

ドカーン!

瞬く間に3人が瞬殺される

ダニキングの力だ。

そ、そんな・・・俺たちはゾニエル怪物なんて目じゃないくらい強力な宇宙怪物ゾルダーと戦っているんだぞ!それがこんな!キングだからって!

彼らXの戦士たちは宇宙人だ。地球の治安を守るために宇宙からやってきた

まさかその星に自分たちをはるかに凌駕する生命体が存在するなど思わなかったのだろう。

ゾニエルと呼ばれる種は本来とても弱い種族だ。

その代わりに群れを成し個々の個体の力の一部を一体のゾニエル怪物に集めキングを作り上げる。

そうして生まれたゾニエルがキングとなり他種族との対立のバランスを調整するのだ。

すなわちゾニエルのキングの破格の戦闘能力が他種族との勢力争いを均衡させている。

X戦士たちにそんなことを知る方法などありはしない。

瞬時に目の前に現れたダニキングが拳を突き出せば

ぶえええええええええ!

宇宙で編み出されたアクティブデルタ製法で作られた3次元的強化装甲のガビルバニアボディの腹に穴をあけられて一撃で絶命するゼロ・X

そ、そんな・・・。

ジョジョジョジョ!

突然奇声をあげながら飛び上がった数匹のショウリョウバタマジンドール怪物たちが高笑いをあげながらダニキングを襲撃するが一瞬で切り裂かれ瞬殺されていく

く、なんて・・・力・・・ぐあああああああああああああああああああああああああああああああ!

締め上げる力がいよいよ強くなり悲鳴をあげたまさにそのときだった

大丈夫かああああああああ!

撃て!彼を死なせるな!

警察たちだ!

ダニキングに向けて発砲するが、すべて着弾前に手の平で弾かれていく

弾き飛ばされた弾丸が威力をはるかに増してすべて撃った本人に激突する

「「ぐああああああああああああああああああああああああああああ!」」

バタバタと倒れていく警官たち

わああああああああああああああああ!

逃げ出す警察官たちを瞬時に現れた部下のゾニエル怪物たちが惨殺していく

だ、誰か・・・助けてえええー!

警官たちの悲鳴が響き渡る

超感覚に誘われ現場に来てみれば大惨事になっていた。

ダニの怪物がカブターを襲っている。

志道!待ってろ!

ぬん!

大気が震えた。

足の周りが砕散り、床のかけらが浮遊する。

腹に4つの光が灯る。ルビーサファイアエメラルドイエローダイヤジェノサイドの光だ。

そして現れる六角形の固形物、インセクターを右手で握り目の前に構える

変・身!

体から出た18つの光がすべてを吹き飛ばすと光に包まれ中からが姿を現す

頭部が縦横縦横無尽な角のある体が赤、青、緑、黄の四色の宝石の輝く鎧へとチェンジする

体格がカブターの18まわりほど大きくなる

圧倒的敵はいままでいくらでも見てきたつもりだ。

それでもいま目の前にいるこの怪物の王は、桁がまるで違う!

せめてみんなだけでも逃がさないと!そう思った時だった!

ぬん!

上空からひざを折り中腰で着地したのは他ならないもう一人の圧倒的存在ジェノサイダーだった。

ぬん!

ジェノサイダーがぐるんと横に、回転ジャンプ、はさみ飛びのような動きをすると流れるようなかかと落としで茶馬ゾニエル怪物を一撃で破壊する

わあ!

警官が小さな悲鳴をあげ腰を抜かした。

やつは警官に襲い掛かろうとした白馬怪物を

ぬん!

右にパンチして殺害し

ぬん!

左にパンチして黒馬怪物を殺害する

ぬん!

最後に正面のまだら馬怪物の両腕をつかむと殺されかけていた警察官を逃がし両腕をひねりあげる

ブルルルルルルルルル!

悲鳴をあげるまだら馬怪物の顔面を殴り飛ばし砕いた。

怪物たちの死体の山に立つやつだけが残った。

きゅ、救世主・・・。

そう警官の誰かが言った。

俺は叫ぶ

気をつけろ!そいつはゾニエル怪物の王、ダニキングだ!

ダニキングか。相手にとって不足はない。

いよいよ、やつとあの怪物がぶつかるのか?

そう言ってからやつはあさっての方向に歩き出し、ゼロ・Xたちの死体から持ち物を物色し始める

ガサゴソ、ガサゴソ。

両手いっぱいに持ったゼロ・Xたちの機材を手にすると

ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

叫び声をあげた。

するとゼロ・Xたちの機材からエネルギーが体に流れ込んでいく。

きゅ、吸収しているのか!

光の流れが止まると機材を投げ捨て、キングに向き直る。

やつは右腕を上にあげひじをまげ、左腕を前に構えひじをまげると両腕に大盾、小盾、中盾、がそれぞれ3重層に強化され現れる

共に行くぞ!名も知らぬ戦士たちよ!

ぬん!

やつは瞬時に移動して拳を叩き込むと踏み込んだ地面が砕け散る。

なに!

信じられない!ダニキングはやつの拳を避けた!

速い!

後方へと縦回転してジャンプするダニキング

やつはダニキングを追いかけるようにジャンプすると空中で拳を繰り出す。

ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!

キングとの激しい拳の応酬!

ガラスのようにバリアの盾が砕け散っていく姿はある種の幻想的な美しさすらある

凄まじい一撃をすべての拳に込めて叩き込んでいく!

ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!ぬん!

く・・・決めきれん!

な、なんだと・・・!やつですらああなのか!

凄まじい拳の嵐だ。その拳がすべていなされていく。

ダニキングが右腕を振りかぶると手の中に金色に輝くエネルギーを生み出す。それは10本の指につけられた指輪からエネルギーを送り込んでいるかのようだ。

あの指輪一つ、一つからすさまじい圧力を感じる!なんてプレッシャーだ!

見ただけで理解した。あれをくらったらやられる!

金色の一撃が目の前に迫って来る。

俺は瞬時に全身の力を開放、持てる最大の力を開放、拳を突き出す。

本気の一撃がダニキングと激突した!

ぐおおお!

ダニキングのそのすさまじいエネルギーを拳から拳へとたたき込まれ、俺の体にダメージが届くのがわかった。

ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

攻防いったいの戦いは俺の敗北で終わった

つ、強い・・・。これがキングの力か・・・。

4つのVストーンの力がキングのエネルギーから俺を守っているのがわかった。

ば、馬鹿な・・・やつでもダメなのか・・・。

グッタリと倒れるジェノサイダー、意識がないのか微動だにしない。

ダニキングはやつから進む方向を俺へと向ける。

目の前まで来ると首を締め上げられた。

ぐあああああああああああああああああああああ!

ここまでなのか・・・。




そのときだった!

クロネコの怪物が空から降って来るとがれきの上に立った。

不様だな。カブター。

お前は・・・。

ザルタスの女王をしているものだ。

すぐそばに蜘蛛とコウモリの怪物が参上する。

ダニキングに投げ飛ばされるとなすがままにゴロゴロと転がる。

目がかすみ、いまにも意識が飛びそうだ。

ザルタスの女王を前に両手を開き、クロスするように腕を振り上げ下ろすと。ズシズシと前進を始める。ダニキング。

そこで意識を失った。

目が覚める。

気が付くとベッドではなく。

片ひざを付いて壁によりかかって寝ていた。

俺に近づくやつ、警官たちを無意識に払いのけていたのだけは覚えている。

それにしてもこの姿勢で寝ていたのか。横になろうすると

俺を陰から見ていた少年がまるでダークヒーローを羨望のまなざしで見ているかのような目をしている。

・・・しっ、しかたない。

そう思い寝るのはやめた。

しかし、ここは・・・。

辺りを見回す。

そこには満席のベッドと目の前で負傷して命の最後を迎えようとする警官や兵士がいた。

野戦病院のようだ。

警察や兵士が怪物の鎮圧にあたる警官数人がかりで足止めがやっとだ。

ザルタス怪物1体を足止めするのも大変なのに

それが大量にいる。

なおかつそのザルタス怪物ですら手を焼くゾニエル怪物やそのゾニエル怪物すらも圧倒するマジンドール怪物まで含めて人間は相手をしなければらない。

そんな敵を前に焼け石に水だ

わあああああああああああああ!

野戦病院に殴りこんでくる海ヘビゾニエル怪物

ぎゃああ!

止めに入った警官たちが殴り飛ばされていく

どけ。

それだけ言って少年の肩を横に移動させると少年が俺をキラキラした目で見上げていた

ぬん!

殴りつけ海ヘビ怪物を一撃で沈めてみせた。

手には青い血がベットリと付いていた。

怖がらせてしまっただろうか。

周囲がシーン、と静まり返るとボソっと誰かがつぶやいた。


英雄だ・・・。


英雄?


英雄だ!


英雄だあああああああ!


「「英雄!」」「「英雄!」」「「英雄!」」「「英雄!」」

英雄コールがかかる

俺はイメージを崩さないようクールに壁によりかかると片ひざをついて格好良く座った

「「わあああああああああああああああああ!」」

喝采が巻き起こる

謎の名もなき英雄、彼が来てから野戦病院で2日がすぎた。

長方形の長く広いテントの中で簡易ベッドに大量の警官や兵士たちが並べられている

俺も危うく死ぬところだったのだから、こうしてベッドに寝ていられるだけでも運がいいほうだ。

彼に助けられたからだ。

彼は襲い来る怪物たちを瞬く間に葬っていく。

彼はいつしか人々から名もなき謎の英雄と呼ばれるまでになった

都伝説の存在であったカブターが実在していてそれがいまもこの野戦病院で寝ているのにも驚かされた。

そのカブターはいまも民間人の女の子二人に介抱されている。しかしそれよりも彼だ。

今日もゾニエル怪物を撃退したところで隣にいた軍の兵士がつぶやいた。

英雄だ・・・。と

俺は彼を見る。

戦い疲れているのか壁に背を預け、まるでいつでも敵の襲撃にそなえて刀を振るえるよう警戒しながら休んでいる侍かのように片膝を立てて眠っている。

実際に警戒しているのかもしれない。頭が上がらないな。

その場にいた警察官や軍の人間もみんな彼を見た。

その日の被害状況の通信をしていると

一人の兵士が彼を呼んだ

な、なあ、あんた。こっちに来てくれるか?

無言ではあるが、言われるままにベッドの前に移動する彼は兵士からお願いをされる。

こいつのドッグタグもらってくれるか?

異形の顔をしていて表情は読めないが彼の実績からして俺たちを何度も助けてくれている。

怪物だろうとそうでなかろうと彼は俺たちの味方だった。

きっといまも神妙な面持ちをしているに違いない。

彼はそのドッグタグを受け取ると同時に兵士から最後の言葉を受け取った。

みんなを・・・頼む・・・。

ピーーーーーー。

電子的な音がしてベッドの兵士が死んだのがわかった。

それから・・・いつしかこの野戦病院ではジンクスが生まれた。

これ、あいつのドッグタグなんだ。受け取ってくれるかな?

俺も!頼むよ。

じゃあ俺も!

矢継ぎ早にみんなドッグタグをたくすようになっていったのだ。

俺も!頼むよ!

俺も!





私も!





俺も!





私も!





俺も!





私も!





俺も!





俺も!





俺も!





私も!





俺も!





俺も!





俺も!





私も!





俺も!





私も!





俺も!





俺も!





俺も!





私も!





俺も!





俺も!





俺も!





私も!





俺も!





俺も!





俺も!





俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!俺も!俺も!私も!俺も!私も!俺も!

彼は首から兵士たち1000人分くらいのドッグタグをぶらさけだ。

優しくさわさわと触っている

ジャランジャランジャランジャランジャランジャランジャランジャラン、と音がする。

その様は、まるでみんなの想いを手に感じるかのようだ。

そのときだった!

彼の体は、みんなの想いを背負い変わった。

ぬん!

彼がそう叫ぶと

彼体格が1まわり大きくなり、首のドッグタグが胸から両腕にかけて広がり鎖のように巻き付いていく。

体格がカブターの23まわりほど大きくなる

ルビーサファイアエメラルドイエローダイヤジェノサイドヘラクレスコーカサスアトラスギラファノコギリアルキメデスヒラタパラワンオオククワガタカブトインセクター

ゼロワンツースリー・X1000ドッグタグフォームが誕生した。

あの姿は・・・彼は強くなっているのか?

漠然と肌でそんな感覚を感じ取れた。

彼は野戦病院のテントから出て行った。

新たな力を手に入れた俺は志道が寝ているテントまで移動する

ちょ、ちょっと!あなた何よ!

志道をかばうように三原と三上が俺をにらんでいた。

協力してやろう。

どういうつもりだ!

俺にも俺の思惑がある。利用しろ利用されてやる。

いいだろう。だがやつを倒すには・・・。

俺は志道に説明をした。

わ、わかった・・・。

志道くん!ダメ!いま動いたら!

大丈夫!俺行かないと!

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