14 兄 トカゲ怪物
皇帝陛下!怒りをお沈めください!
ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
怒り狂う皇帝を前にボコボコにされていくカマキリ怪物
ぐあ!うええええええええええええ!ごおおおおおおおおおおえええええええええええええええ!
二つの光が目のようにカマキリ怪物をにらみつけていた
ふう・・・ふう・・・と荒い息をしてから怒りを収めた皇帝は言った。
しかたがあるまい。
そう言ってカマキリ怪物を投げ捨てた
ぐは!・・・はぁ・・・はぁ・・・こ、皇帝陛下!いまいちどわたくしにチャンスを!
・・・よかろう。今度こそ敵を八つ裂きにせよ!
は!
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僕は以前の戦いで重症をおい病院に入院していた。
経過は良好ですね。
医者がベッドの端に立っていた。
カルテ。
はい。
それじゃあ、くれぐれも安静にしてください。
そういいながら看護師と退室していく。
コンコン、ノックの音がすると
着替え持ってきたから
三枝さんだった。
これ、買ってきたの。
そう言って桃缶を缶切りで開けると皿に出してくれる。
はい。
えっ!
小さくてカラフルなフォークで桃を差し出してくれた。
食べない?
た、食べます・・・。
言われるままに食べてみると口の中に甘い味が広がっていく。
おいしい?
はい・・・。
ふふ、
プルルルル!プルルルル!
三枝さんの携帯に連絡が入る。
はい、はい、了解しました。すぐに、
公田くん、それじゃあ私は行くから。安静にね。
三枝さん!待って!
走り出す三枝さん!
僕は起き上がると出動の準備を始めた。
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今日はおもしろかったね。
ああ、
志道と三原きょうこはデートをしていた。
りょうこが好きだ。
その気持ちに迷いはない。
今日こそ・・・。
俺は隣にいるりょうこに指輪を渡そうとして
そう思いつつも渡せないまま
な、なあ、りょうこ。
あ!見てみて!花火よ!
ドーン!ドーン!ドーン!
花束のような色とりどりの光が夜空に散った。
綺麗だね。
あ・・・ああ・・・。
取り出そうとした指輪を俺はそっ、としまった。
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どこにでもいる女子高生がいた。
ただいま~。
いつものように家に入ろうとすると
ガチャ
玄関の扉が開かなかった。
あれ?
カバンを探すがカギがない。
カギ~カギ~あ~忘れた。もう!
裏口に回ると隠しておいた場所から合カギを取り出して裏口から入る。
ジュースジュース。
冷蔵庫を開けてジュースを持つと二階に上がって勉強を開始する。
それから2時間はすぎたころ辺りはすっかり日も落ちた薄暗い闇が広がりつつあった。
ピンポーン!
インターホンのチャイムが鳴る
ピンポーン!
は~い!
あれ?ママいないのかな~。
しかたなく1階に降りていく。
ガチャガチャガチャ
ドアノブが何度も回されていた。
家族の誰かか。そう思い開けようとして
ガチャ、ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
異様なドアノブの回転に一瞬、ギョ!として我に返る。
おかしい。何かがおかしい。
いま家には自分以外誰もいない。
夕飯前の薄暗い時間だ。
ドアにはめこまれたすりガラスの向こうにうっすらと人影が見える。
それは大きく黒く家族のものではないのは明らかだった。
ガチャガチャガチャガチャガチャ!
ゾッ、として慌てて電話を取り、ソファーの裏に隠れる。
ピ、ピ、ピ!
電話番号を押していく
ガチャ
はい警察です。
助けてください!玄関にドアノブをものすごい回数回す男がいて!押し入ってきそうで呼んでも返事がなくて!
落ち着いてください。住所をお願いします。
なんとかしどろもどろに住所を伝えていると
すぐに警察が向かいます。このまま電話を切らずに、頑張ってください!私がついてますピガー!
ノイズが激しくなりそこで声がとぎれとぎれに聞こえ出す
あ・・・いま・・・す・・・
ちょっと!返事して!
ピーーーーーーガーーーーーーー!カチッ、ツー、ツー、ツー、ツー、
電話が切れたならもう一度電話番号を押そうとして子機のボタンが反応しないことに気が付いた
なんでよお!
それは誰かが意図的に電話回線を破壊したに他ならなかった。
誰が?と聞かれれば彼だ。
ノソ、ノソ、ノソ。
そのときだった。
足音に窓の外を見れば芝生の上を大きなトカゲが2本足で歩いていくのが見えた。
化け物。その言葉が脳裏に浮かぶ。
トカゲは左右の目玉が顔の横についていて、獰猛な獣と呼ぶよりも頭のおかしい怪物のような眼をしていた。
飛び出そうな白い眼球に黒い点があるような眼をしている。
目元のくまのような部分が肉がむき出しになっていてピンク色をしていた。
体の皮膚はぬめぬめしているのか光っており
口からわずかに鉄のような無数のギザギザの歯が見えている。あんな歯にかまれたらノコギリのように切断され殺されてしまうだろう
ノソ、ノソ、ノソ、
そのまま行ってしまうトカゲ男
ふう、そう息をついたのもつかの間
はっ!
裏口のカギを開けっぱなしにしていた。しかしいま動けば音が・・・!
その一瞬の恐れが後悔を助長し最悪な結果を導き出す
ノソ、ノソ、ノソ、ガチャ
ノソ、ノソ、ノソ、
ソファーの裏から目線だけを動かして見る。
怪物が鍋の中身をあさっている。
あまりの恐怖で動けない
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警察はメカカブター出動の掛け声を受けていた
しかし公田がいない今、メカカブターを誰も出動させることはできない。
しかたなく機動隊が戦いに出る。
そんな状況で警察のラボを訪れる男がいた。公田だ
公田くん!どうしてここに!
三枝さん!僕行きます!
ダメよ!そんな体でこれ以上無理させられない!
そんなこと言ったって!誰も・・。僕以外でメカカブターを扱える人なんていないでしょ?
ダメです!
く・・・うう・・・
公田は小さくうめくと力なく壁にもたれる
お願いします。
・・・・・・。
長い沈黙のあと意を決して三枝さんがうなづいた
わかった!ついてきて
奥に通されると新しいメカカブターがそこにあった
メカカブター4です!
メカカブター4?
メカカブター4
パワー6.2t
100m12.8秒
重量620㎏の装甲
リミッターを解除せず高い性能を引き出すことをコンセプトを元に開発した。
その答えがリミッターの限定解除。
人体の限界ギリギリまでスペックを引き出したメカカブターの完成形にして真の姿、各種1.2倍の性能向上を果たしているわ。
手足、胴体、頭と装着を完了させる
いい、公田くん、無理しないでね!
はい!
バイクにまたがると出動する
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
ファアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
サイレンを鳴らして現場にかけつける
キキー!
現場の住宅の前で急ブレーキをかけた
警察だ!
メカカブター4の目が紫に光り肩のチェーンがキュルキュル動き両腕のピストンが上下する背中のケンコウ骨の辺りに太いフックがウイーンと引き上げられ起動が完了する
窓ガラスを叩き割り踏み込むと
台所にトカゲの怪物がいた。
助けてえええええええ!
駆け寄ってきた少女を左わきに抱える。
もう大丈夫だ!
瞬時に状況を判断して早打ち射撃することでけん制する
早打ちの名手のデータを元に作り出した早打ちシステムでメカカブターの反応速度はいままでの比でじゃない。
さらに取回す銃は、全長約100センチ、重さ約4・4キロのリボルバーだ
対怪生物用の特殊弾丸46号弾をくらえ!
ダン!ダン!ダン!
トカゲ怪物の胸で火花が散った。
ゴムを投げつけたようなダメージだ!
怪物を強く押すと背後の食器棚に叩きつける。
貫けない!なら!
僕は少女に言った
下がっていて!
そうして少女を下がらせると
バイクにまたがりバイクに積んだガトリング砲をぶっぱなす。
キュウウウウウウウウウイイイン!ギギギギギギギギギギギギギギギギギ!
家の中をめちゃくちゃに破砕し秒間3000発のピーナッツを連続で叩きつけたようなダメージを与える
さらにリボルバーも構え銃撃を続ける
ダン!ダン!ダン!
体から連続で火花を散らせながらトカゲ怪物が飛びかかってくる
ブオオオオオオオオン!
バイクを走らせ距離を取ろうとすると追いかけて来た
ダン!ダン!ダン!
肩を弾かれ足を弾かれるもまるでダメージがない。
口からよだれを垂らしながら襲い掛かってきた。まるで狂ったように襲い掛かるトカゲ怪物
うわ!
タックルされバイクから弾き飛ばされるとくるくると回転しながらすべっていく。
バイクが3mほど吹き飛び電柱に激突すると爆炎をあげた
走ってくるトカゲ怪物
とお!
住宅街の庭に転がり込むとトカゲ怪物の頬を
とお!
右拳で何度も殴りつける
とお!
鉄の拳で殴りつけるが効果は薄い。おまけにケガのせいかうまく体が動かない。
メカカブター4の性能でも歯が立たないのか!
うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
裏口の扉をぶち破り家の中に寝そべるメカカブター4のボディーはたやすく破壊された
やっぱりまだまだ肉弾戦は無理なのか・・・。
三枝さんから通信が入る。
公田くん!早く立ち上がって!公田くん!
く・・・や、やられる!
ブルウウウウウウウうウウウウン!
キキー!
バイクでタックルするとトカゲ怪物が吹っ飛んでいく。
しっかりするんだ!
カブターだった。
志道さん!
ぐあ!
タックルされ吹っ飛ばされるカブター
さらにトカゲ怪物に投げ飛ばされる。
うあ!
ガシャーン!
家の中へと投げ込まれた。
フローリングの床が縦に裂け
ぐぅぅ。
痛みに苦しんでいるとトカゲ怪物に頭をわしづかみにされ引きずられていく。
ボッ!
ガスコンロの火が灯ると、頭を押し付けようとしてくる。
ぐぁ、ぐぁぁぁぁぁ!
それを必死に両手で体を支え耐える。
うああああああああああああああああああああああああああああ!
叫び声をあげとっさに包丁を取ると
ふん!
トカゲ怪物の足を突き刺す。
包丁が折れた。
怪物の表皮、苦し紛れの抵抗だった。
公田くん!
志道さんが落としたはずのリボルバーを投げてくれる。
すかさずそれをキャッチしトカゲ怪物の顔面を撃つ
至近距離だ。わずかにダメージが通る。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
悲鳴をあげ目を血走らせるトカゲ怪物
はあ!
飛び蹴りを入れたカブターがトカゲ怪物を吹っ飛ばし、そこに合わせるように拳を振るう
とぉ!
2人で攻撃を交差し火花が散った。
ゴオオオオオオオオオオオオオおおオオオオオオオオオオオオオ!
吹っ飛ばされ寝転がるトカゲ怪物
カブターの右拳に緑の閃光がほとばしると
はああああああ!
カブタースラッシュがさく裂する
はああああああああああああああああああああああああああああああああ!
大爆発して火だるまになってすっとんでいく
燃え盛る体のままフラフラと立ち上がるトカゲ怪物が最後に言った
すまない・・・。
誰に向けて言っているのだろうか・・・。
そう考えながら
僕は銃口を向けて確実に燃え尽きるのを待った。
体液を吐きながらメラメラと燃え上がりようやくトカゲ怪物が死亡したのだ。
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娘と息子が死んだ。その知らせは本部にいるガマガエル怪物にもすぐに届いた。
タンポポ怪物、トカゲ怪物・・・。
お前たちの仇は俺が討つぞ。
2人の写真立てを前にそう決意するガマガエル怪物だった。