13 ホラー回 タンポポ妹 暴走装置あっさり目
構え!
撃て!
パン!パン!パン!パン!
警察の射撃場で消音効果のある耳あてとゴーグルを目に装着、銃撃の訓練をする。
弾が人型のまとに当たり始めたことに、わずかな手ごたえを覚えうれしくなる。
それからメカカブターの開発に携わっている三枝研究員と面談になった。
三枝研究員。
三枝でいいわよ。
それじゃあ、三枝さん話聞いてもらっていいですか?
そこで僕はメカカブターの物足りなさを告白することにした。
本来心血を注いで作り上げたメカカブターのことを悪く言うなど反発を買うだけの許されないものだが。事実弱くてしかたがなかった。そのことを言わずにはいられなかった。
メカカブター2は・・・インヴェガ怪物相手にまるで歯が立たちませんでした。
三枝さんは言った
メカカブターはザルタス怪物を想定して作られた強化アーマー、土台から違うのよ。
そんなふうにぼやかれた
それでも強くならなければないんです。
公田くんさ。それならこれはどう?
レントゲン写真のような映像がPCに映し出される。
これは・・・
メカカブター3。
えっ!それじゃあもう強化を!
いまは内部のシステムだけが問題なの。
もしメカカブター2に内蔵されているリミッターを解除すれば本来想定していたメカカブター3へと昇華する。けれどそれは同時に暴走に近い形で力をふるうことになる。
システムが完成しすぎていて生身で扱えば人体が破壊されてしまう。
そのためセーブシステムを組み込んであるのだけど。
それじゃあ、生身じゃダメってことですか?
そう、無人機ならメカカブターはカブターとも渡り合える。
そうしないのはAIが自立行動をする際、人と怪物の区別ができないからよ。
人命を守ることがメカカブターの最大の存在意義だから
それでもやってみる?
やってみる?
短期的なリミッター解除、少しずつ体を慣らしていくの。どうかしら?
やります!
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実験シーケンスを開始します。
黄色のランプがくるくると回転する。
研究員は所定の位置まで離れてください。
防護扉が閉まると密閉空間へと早変わりする
三枝さんが防壁の向こうのマイクから言った
いいわよ!
行きます!
僕は意を決して、メカカブター2の側頭部を押すと
ぷしゅー!
煙をあげてメカカブター2から数枚の鉄板が飛び出しパージされる。それはパワーをセーブするセーフィティーパーツだった。
メカカブター3、リミッターを解除したメカカブターの真の姿だ!
人体の限界をオーバーした力が引き出され
メカカブター3の目が黄色に光り肩のチェーンがキュルキュル動き両腕のピストンが上下する。
シュバー!
レールにつるされサンドバッグが目の前に突っ込んでくる。
それを次々と殴り飛ばす。
たあ!
意図もたやすくサンドバッグが吹き飛んでいく。
たあ!
右に殴り飛ばし
たあ!
左に殴り飛ばし
あうう・・・。
暴走を始めた。
目が真っ赤に染まり手当たり次第に壁を殴りつけ始める。
ダン!ダン!ダン!
公田くん!公田くん!
・・・・・・。
公田はこのとき完全に意識を失っていた。
暴れまわるアーマーの意思のままに手当たり次第に壁を破壊していく。
公田くん!
電源が切れるとメカカブター3は機能を停止し2の状態へと移行する。
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何たる!何たる失態!
く、申し訳ありません!
いいわけはいい!
カマキリ怪物の私室で怒鳴りつけられたガマガエル怪物は自室で椅子に座りタバコを吸うと一息ついて頭をかかえる。
コンコン
扉を誰かがノックする
入りなさい。
入室したのは血のつながりがないが我が子同然に育てたタンポポ怪物
お父様、次の作戦にはぜひこの私が!
いえ、ここは俺が!
ドカドカと部屋に入ってきたのは同じくタンポポ怪物と血のつながらない兄妹の関係を持つトカゲ怪物だった
お父様!お久しゅうございます!
トカゲ怪物、たくましくなったな。
兄上、ここはぜひ、このタンポポにお任せください!とっておきを用意してあるのです!
何を言っている!お前は戦いに向く様な・・・いや、兄としてお前を信じる・・・我が家を立つその日にそう決めたのだったな。
兄上!
お前たち少し見ない間に成長したようだな。いいだろう。
タンポポ怪物、貴様に命令を下す。やつらを葬り去れ!
は!
礼をして次の作戦のために退出するタンポポ怪物
そうだ!
退出しようとしたタンポポ怪物を呼び止める
なんでしょう?
たまには実家に顔を見せて安心させてやりなさい
わかりました。お父様
笑顔になるタンポポ怪物
可愛い娘だ。
いずれエリートの怪物でも紹介してやろうそう思った。
トカゲ怪物、お前もこの後時間はあるか?
は!なんなりと!
では1階で待っていなさい。すぐに行く
は!
トカゲ怪物が退出したあと入れ替わるようにヘビ怪物が現れる
あはははははははははは!
失敗したんですってね~ご愁傷さま!
なんだヘビか・・・嫌みを言いにきたのか?
次の作戦は私がいくから、カマキリ様に承諾はもらってるわ。
なに!前回の会議ではこちらか作戦遂行をする打診をしてあったはずだ!
わからない?実力の差が。戦闘能力で劣るあんたごとき、最初からおよびじゃなかったのよ。
ヘビ怪物は胸の前に手の平を当てて言った。次は私が動くわ。そしてカマキリ様に貢献してみせる。あなたとは違ってね!
あ、そうそう余計な邪魔はしないでくださいね。ガマガエル先輩、あははははははははははははははははは!
高笑いしながら去っていくヘビ怪物
書類を握りしめ
・・・おのれえええええええええええええええヘビめええええええええええええええええええええええ!
地面に叩きつける
怒りがおさまらないまま自分を何とか落ち着かせようとタバコを吸っていると
プルルルルルルルル!
電話がかかってくる
ガチャ
あ、あなた?
おお、お前か。
早く帰ってきてね。もうすぐあなたの誕生日でしょう?
ああ、わかっている。
ガチャガチャン!
みーたん、しー!
電話越しから子供たちの声が聞こえてくる
妻の顔と子供たちが遊んでいる姿を想像すると自然と頬がほころんだ
いま仕事がたてこんでいてな。明日には帰れるから、ああ、ああ。そうだな。ああ。わかっている。
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修二。お待たせ。
りょうこ
三原りょうこ、と志道修二は交際していた。
高校1年から交際して現在5年継続してお互いに21歳になる。
志道はあることに悩んでいた
りょうこ。その・・・。
うん?どうしたの?早く行こうよ!
あ、ああ・・・。そうだな。
ためらってから取り出そうとしたものをポケットの中に戻す。婚約指輪だった。
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暴走事故から1ヶ月、
ケガを完治して僕も今日から復帰だ。頑張らないと!
夜
警視庁から入電!警視庁から入電!
出動!
出動の掛け声を受け
手足、胴体、頭と装着していく。
メカカブター2発進します!
バイクにまたがると
ファアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
サイレンを鳴らして現場に向かう
ブオオオオオオオオオオオオオオオ!
ザザッ!ノイズが混じり三枝さんから通信が入った。
公田くん。今回の作戦でメカカブター3は使ってダメよ。
そう言われ思うところはあったが。
・・・了解!
無理に返事をしておく。
でも、いざとなったら・・・。
キキー!
ブレーキをかけ現場に到着する。
警察だ!
メカカブター2の目が青く光り肩のチェーンがキュルキュル動く
通報された現場には人だかりができていた
上を見上げれば
燃え上がるビルの上にタンポポの怪物がいた。
子供に鋭い触手を突きつけて抱えている。
こっちにおいで!
そう手招きして奥へと引っ込んでしまう。
待て!
燃え盛る。ビルに突入すると
火が唐突に消えた。
これは・・・!
警戒しながら闇の中、薄暗い廊下を突き進むと
あははははははははははははははは!あははははははははははははははは!
長い廊下の先をタンポポ怪物が横にすーっと移動していく
待て!
慌てて追いかけた。
暗闇の世界、二つの青い目玉が光行と左右を見た。
あははははははははははははははは!
後ろから笑い声がする。
そこか!
ふわっ、と横に移動するタンポポ怪物はまるで幽霊のように姿を隠す。
急いで追いかけるも誰もいない。
ザザッ!ノイズが入り、通信が入る。
公田さん、怪物は複数体いるみたいです。いくつも反応が確認されています。
了解!警戒して任務を続行する。
通信に答えて探索を続ける。
あははははははははははははははは!あははははははははははははははは!
どこからともなく響いてくる音は上の階から聞こえてくるようだ。
エレベーターに乗り込むと動き出した。
ウイーーン!
エレベーターの階数を見る
1234567・・・。
ドカーン!
エレベーターが!
グラグラと音を立ててエレベーターが落ちていく
うわあああああああああああああああああああああ!
ズガーン!
なんとか一番下まで落ちていくことはなかったが傾いた扉をメカカブター2の怪力で無理やりこじ開け外に出た。
あはははははははははははは!
笑い声に上を見ると、壁いっぱい天上いっぱいにタンポポ怪物の顔とツタが広がっていた。
黒い二つの目がいくつも見ていた。
あははははははははははははは!あははははははははははは!
恐怖を感じすぐに銃を構える。
のた打つツタが鞭のように襲い掛かった。
マカロニガン!
筒をいくつも組み合わせた24の多砲身の銃が対怪生物用特殊弾丸24号弾が火を噴いた。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!
ツタをよけながら壁や天上の顔を射撃していく。
うああああああああああああああああああああああ!
顔を撃たれ絶叫するタンポポ怪物
よし!効いてる!
うわ!
ツタに足首をつかまれ廊下を引きずり回され、壁にぶつかり火花が上がる
ぐあ!
廊下を引きずり回されながら通り過ぎる顔を撃ち抜いていく。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!
うわ!
ゴロゴロと投げ出されると植物が枯れていく
終わったみたいだ。
階段を上にかけあがっていく。
あはははははははははははは!
上から笑い声が聞こえてくる
壁に大きな顔の花が咲いていた。
さきほどとは違う。いかにも本体のようだ。
タンポポ怪物!追い詰めたぞ!
あははははははははははははははは!まんまと罠にはまって養分になりなさい!人間!
襲い掛かる植物のツタ
マカロニガンを発砲する
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン!
カチカチ、しまった!弾切れ!
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!
右に殴られ左に殴られ中吊りにされ壁に何度もたたきつけられた。
通信越しに僕は言った。
三枝さん!リミッターを解除してください!
公田くん!ダメよ!あれはまだ未調整!
僕は意を決して、メカカブター2の側頭部を押すと
ぷしゅー!
煙をあげてメカカブター2から数枚の鉄板が飛び出しパージされる。それはパワーをセーブするセーフィティーパーツだった。
メカカブター3!
リミッターを解除したメカカブターの真の姿だ!
人体の限界をオーバーした力が引き出され
メカカブター3の目が黄色に光り肩のチェーンがキュルキュル動き両腕のピストンが上下する
とお!
ツタを断ち切る
メカカブター3・・・。
一時的に超人的な力を得て
とおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ドカーン!
植物を粉々にしてタンポポ怪物の顔面を殴りつける
ぐああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
致命傷を受けタンポポ怪物が枯れていく
勝利したのだ。
う、うあ・・・くっ・・・。
右腕が完全に壊れた
パンチ一発で確実に骨まで複雑骨折している。
そのまま意識を失った僕は気絶した
公田くん!しっかりして!公田くん!公田くん!