第8話
「既に彼らの中で結論は決まっており、その結論に合うような『事実』のみを繰り返し報道する。その結果、大衆は彼らが意図した結論に誘導されるわけだ。」
「・・・私も誘導されているのでしょうか?」
「ウィリアム、君の『苦しんでいる人を助けたい』という気持ちを疑っているわけではない。それは尊い感情だ。問題はその感情を利用しようとする連中がいるという事なんだ。」
校長はウィリアムの表情が少し柔らかくなった事を確認してから話を続ける。
「どうやらマスコミは可哀想なウクライナ人を助ける事が正義と考えているようだ。だから『今日は女性や子供が何人死にました』などと感情論を煽る報道を繰り返している。マスコミは苦しんでいる女性や子供を出せば大衆の感情を動かせる事を熟知しているからね。」
「そんなの『やらせ』ではないですか!」
「その通り。感情論を煽るやり方はマスコミの常套手段だが、その結果として戦争が拡大し、さらに多くの女性や子供たちが犠牲になるというのは最大の皮肉にほかならない。」
「・・・・・・」
「それにもっと恐ろしい話がある。ウクライナ全土で学校や病院がロシア軍に攻撃され、多数の死者が出ている事になっているが、それらの攻撃を行っているのは実はロシア軍ではなくウクライナ側だと言うのだ。」
「まさか!だって自分の国の国民ですよ、一体何のためにそんな真似をするというのですか!?」
「NATO軍を参戦させるためだ。」