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第4話

「そもそも戦いが始まる前の外交交渉の時点で、ロシアはウクライナに対して無理難題を突き付けていた訳ではない。ロシアが望んだのは現状維持、つまりウクライナが過度(かど)にEUに接近せず、中立的な立場を取る事だった。簡単に言えばロシアはウクライナに対して『今まで通りにして欲しい』と言っていたに過ぎない。だがウクライナはNATO加盟については自国の国内問題としてロシアの要求を()ねつけてしまった。これは外交上の失策と言わざるを得ない。」


「何故です?」


「NATOの仮想敵国はロシアだ。これはロシアがソビエト連邦の一員であった時代から一貫して変わっていない。そもそもNATOはソビエトの脅威(きょうい)から西ヨーロッパを防衛する目的で結成された軍事同盟だから()()なるのも当然だが、ソビエト、つまり今のロシアから見ればNATOは自国の生存を(おびや)かす敵対勢力以外の何物でもない。そのNATOにウクライナは加入しようとしたのだ。これはロシアの喉元(のどもと)にナイフを突き立てる行為に他ならない。ロシアとしては、当然ナイフを振り払う事になる。これはプーチン以外の誰が大統領であっても同じ結論になる。」


ウィリアムは唖然(あぜん)としていた。

校長の口から出て来たのは、今まで聞いた事の無い話ばかりだ。

だが校長の理路整然とした話は、ウィリアムの「常識」を揺さぶるには十分である。


「私から見て西側マスコミの最大の間違いはウラジーミル・プーチンが非常識な判断をしたという見解だ。プーチンはロシアの最高指導者として、自国の安全のために()()当然の判断をしたに過ぎない。ウクライナの中立化は、ロシアにとって(ゆず)れない一線であり、武力を行使してでも阻止しなければならない。」


「・・・・・・」


「一方でウクライナの指導者には問題が多いと言わざるを得ない。彼は自国のNATO加盟がロシアにとってどういう意味を持つのか、知らないで行ったのであれば、政治家として極めて無能であり、もし彼が分かっていて行ったのであれば確信犯であり、自国民を戦争に引きずり込んだのは、彼自身と言われても仕方が無いだろう。」

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