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第十話 はじめて①

 異世界編に戻ってきました。

 主人公であるイナリの成り上がりが、ここからはじまるっ。

 数カ月の時が流れた。


 この、グリフォンの森で、最近噂になっていることがある。


 すなわち、野生の人間がいる、と。


 其の正体は、当然のこと、イナリであった。


 現に今もオークと対峙している。


グララララアア。


 オーク、豚の魔物は大きく叫んだ。そして走り出す。


 それはただの体当たり。


 だが、体重1トンを超えるその巨躯から放たれる衝撃波は、豚野郎と侮れないものがあった。


 巨体がイナリの体に触れる。


 イナリの体は砕け散った。


 オークは勝ち誇ったように、満足げにあたりを見渡す。


 そして目を見開いた。


 そこには、


「満足したか?」


 さも当然のように立っている、男がいたのだから。



「幻想魔法 幻想たる侵略者(ドッペルゲンガー)


 それは、まるで己のようであった。


 だが、それは己ではない。己によく似た何か、である。


 そして、常に本物となろうとする、貪欲な生物でもあった。


 

「さて、終わろうか」


 少年は、ほんの少し口角をあげる。


 それが侮りに見えたのだろうか。オークは怒りの雄叫びをあげた。


 その声には威嚇も含まれているようだ。


 最も、威嚇が効くのは相手が己と同格または格下なときだけであるのだが。


「雷魔法 雷」


 イナリがそうつぶやいた瞬間、森に光の線が走る。


 それはまごうことなき雷。魔力で彩られた、確殺の一撃であった。



 これにて決着はつく。



「さて、今回もなんとかなった」


 少年はそうつぶやくと、オークの解剖を始めるのであった。







 イナリは、この数カ月でこの世界に、かなり順応していた。


 そして、大部分を理解、もしくは高い精度で予測していた。


 魔力から始まり、魔獣、魔物、そして魔法。


 それらはラノベのものだけだと思われていたが、そうではなかったようだ。



 はじめて魔法を見たのが6ヶ月前。


 

 はじめて魔法が使えるようになったのが4ヶ月前。



 この間、イナリは寝る間も惜しんで練習に励んでいた。



 そのおかげで今ではいっちょ前に使用している。


 といえどもまだまだ初心者。既存の魔法では、初級の魔法しか使えるようになっておらず、魔法の精度も高いとは言えない。


 だがこれでも異世界人。生まれつきのポテンシャルは高かったようだ。高い魔力と豊かな想像力でどんどんオリジナルの魔法を生成している。


 先程の幻想たる侵略者(ドッペルゲンガー)もその一つだ。これは、魔法ランクで言うところの、中級以上に値する。


 まあ、本人が魔法ランクなどという俗っぽいものを知るよしもないのだが。


 なんせこの数カ月、ずっとグリフォンの森にこもっていたのだ。


 

「そろそろ、他の場所にいくかなぁ」


 オークを解体するイナリの口からそんな声が漏れる。


 そりゃそうだ。人間とは飽きる生き物なのだから。


「よし決めた。明日、街へ行こう」


 どんな出会いが待っているのか。それはまだ定かではない。


 だが確実と行っていいほど、日常が変わる、それは自明なことであった。

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