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Dの賢者  作者:
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儚き夢

「私はこの国の第一王女、マリアです。12歳で、もうすぐ成人を迎える年齢になりました」


「12歳!!!?」


若いとは思ったが、この美貌で12歳とは!

西洋人は大人びて見えるというが驚きだ。


「もうすぐというと何歳から成人になるんだ?」


「・・・」


「失礼であろう」

臣下の男が答えた。


「・・・俺、なにか失礼なことを言った?」


「いえ、印が来れば成人となりますが、ディーティ様の国では違うのですか?」


「印・・・?」


ひょっとして、初潮の事か?


「俺の国では、20歳が成人と法律で決められている」


「「20歳!?」」

一同が信じられないという顔をした。


「私の国では20歳というと女性は行き遅れと言われる年齢ですので」

マリアは皆が驚いた理由を告げた。


「女をそんな年までほっとくとは信じられんな」

臣下の一人が言った。


マリアが臣下を睨む。


「女性は16歳から結婚できるんだ」


「成人になる前に結婚できるのですか?」


「なるほど、子供を作ってこそ大人という訳だな」

臣下の一人がそういうと、皆、ああと頷き、納得した様子だった。


そういう訳じゃないが、あえて否定もしなかった。

言われてみれば、おかしな話だ。

動物が子共を作れる歳が成獣となるのが当たり前ではないか。


俺は気づいていた。

女は20歳で既に劣化が始まっている。

肌の張りは十代とは全然違うし、尻も垂れてくる。

綺麗に見えるのは化粧で誤魔化しているに過ぎない。


日本も昔は15歳で元服したんだよというと「いつの時代だよ」とツッコミを入れるバカが必ずいるが、

現代の常識がいつも正しいとは限らない。


社会の制度に合わせて、子供を作る時期を遅らせる社会と

子供を作るのに適切な時期に子供を作れるように社会の制度を整えるのとでは

どちらが高度な社会か?


責任も取れないのに子供を作るなとかいうやつがいるがあれは間違いだ。


脳科学でいえば恋愛は、脳内ホルモンの分泌で、リスクを恐れず、

相手を好きになることだと言っていた。


恋は盲目というやつだ。


逆に言えば、相手の年収とか将来とか気になりだしたら、

それは適齢期を過ぎていると言ってもいいだろう。


あながち25歳で適齢期を過ぎたというのも間違いではない。


責任がどうのこうの言っていたら年収300万の奴らなんて結婚でけへんぞ。

少子化が進むわけだ。


ああ、俺は騙されてた。

一番いい時期の女でなく、なぜ賞味期限切れの女と結婚せねばならんのだ。


同期の田中は30歳のオバサンと結婚するとき、涙を流して喜んでいたな。


「次はお前だな」

なんて、思ってもいないことを、上から目線で言ってきたのを覚えている。

もう、5年も前の話だ。

田中よ、思えば可哀そうなやつよ。

賞味期限切れのババァで喜ぶとは。

俺はここで真の勝ち組となる。


「ディーティ様は、ずいぶん、お若く見えますわ」


「そうかな?」


ニンマリとした俺を見て、マリアは微笑んで、言った。


「とても、初老には見えません」


「初老?」

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しょろう【初老】


① 老境に入りかけの人。老化を自覚するようになる年頃。

② 四〇歳の異称。


『大辞林 第三版』 三省堂

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「えっ、もっとお若いのですか?

 賢者様ともなると40歳くらいかと思いました」


・・・40ですけど。

そうか俺はこの世界じゃ、じじぃの部類か。

・・・詰んだ・・・な。

高度な社会について

初産の出産年齢は年々上昇して、全国平均で30.7歳(2016年)となっており、35歳以上で高齢出産となることを考えると異常な状態ではないかと思います。

高齢になるほど卵子は劣化して、妊娠が難しくなるだけでなく、母子ともに健康へのリスクが高まります。

女性に若いうちに産むべきとはいいませんが、産みたいとき産める社会制度が必要ではないでしょうか。

それこそ10代であっても、学生であっても、子育てしたいと望めば、子育てを個人に押し付けるのではなく、社会で支えていくことが、高度な文明社会であるといるのではないでしょうか。

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