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Dの賢者  作者:
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異世界召喚

俺は今、女性経験がないまま40歳になろうとしている。

チャンスが全くなかったわけじゃない。

だが俺にはこだわりがあった。

相手が処女であること。

十代の頃はそれなりに女と接する機会はあった。

俺に思いを寄せる女もいた。

だが、俺は好きな女がいたため、手は出さなかった。

そして、勇気がなくて好きな女に告白もできなかった。

好きな女が王様ゲームでキスをしたと知ったとき、俺の恋は終わった。

20代になって学校を卒業すると女と接する機会がめっきり減った。

友達はオタクばかりでまるで女っけがない。

焦って結婚相談所にも登録したが、年収と学歴の低さでふるいに落とされる。

20代は出会い系サイトにハマったが、全然、会えなかった。

まんまとサクラに騙されて無駄に時間とお金を費やした。

30代、合コンに明け暮れた。

しかし、俺には問題があった。

頭が薄くなってきたのだ。

合コンに行っても、女性が俺を見ると外れを引いたとばかりに嫌そうな顔をする。

ルックスのいい男には女が集まり、その日のうちにお持ち帰りされる。

女がこんなにも露骨にルックス重視だとはそれまで気がつかなかった。

初めのうちは、尻の軽い女だと軽蔑したが、よくよく考えたら俺も合コン相手は可愛いかそうでないかがすべてだ。

男も女も同じなんだとようやく気がついた。

風俗へ行こうかと何度も考えたが、どうしたらいいのかわからない。

若いころは風俗へ行く友達を白い目で見ていた。

そして機会を逃した。

あの頃、誘われたとき行っとけばよかったと何度も後悔した。

そして40歳になろうとしている今、悟った。

俺、一生童貞だわ。

目の前にはなぜかまるで天使のような白人の美少女がいる。


「・・・・・賢者・・・・様ですか?」

「・・・・はぁ・・・・?」


ここはどこだろう?

ゴシック調の宮殿の一室のように見える。

美少女の周りに身分の高そうな男と兵士らしき男が数人いる。

目の前の美少女は美しいドレスに高そうな装飾品も身に着けている。

恰好からしてお姫様といったところか。


ほんの数秒前には俺は自分の部屋にいた。

もうすぐ、時計の針がてっぺんで重なる。

俺は一生、童貞なんだろうな。

悟りを開いて賢者にでもなるか?

そう思った瞬間、目の前が白い光で包まれて、今に至る。


異世界?

召喚された?


「・・・賢者様、どうかお力を貸して頂けないでしょうか?」

「・・・賢者?・・・・俺は・・・・なんていうか・・DTだけど・・・」


何言ってんだ俺!!!


「ディーティ様?」


いや、名前じゃないんだけど・・・。

美少女にDTと言われて赤面する俺。


「お前は何者だ?」

美少女の周りにいた男の一人が不審そうに俺を睨む。


「賢者様にそのような口の利き方は失礼でありましょう」

「しかし、あやつが賢者様と決まった訳では・・・」

「黙りなさい」


「臣下の者が失礼をしました。どうかお許しください」

「賢者様、お力をお貸しください」

お姫様らしき美少女は深々と頭を下げた。


「・・・俺・・魔法とか使えないし・・・」


「・・・魔法?」


「・・・魔王の討伐とかではなくて?」


「・・・いえ・・・その・・賢者様にはお知恵をお貸し頂ければと」


「・・・ああ・・・俺にできるかな?」


「・・・あの・・・失礼なことをお聞きしますが、賢者様ですよね?」


30歳を童貞で迎えた俺は魔法使いになった。

使える魔法は女の服が透けて見える(妄想ともいう)、女が同じプールに入ると妊娠する(と言われていた)、女に視線を送ると相手に不快感という精神ダメージを与えるというくだらないものだ。

そして、40歳を童貞で迎えた俺はクラスチェンジして賢者になったということか?


「・・・賢者・・・と言えなくもないか」


こうして俺はこの異世界で賢者として生きていくことになった。

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