表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/106

第47話 区のルール

スケさんの家の2つ目の部屋に集まったスケさん、ナナシ、ルリエッタ、リルはボロボロの座布団の上に座りスケさんの話を聞いていた。


「ほなら自分等全然何も分かって無いんやな?」

「あぁ、あの中で目を覚ましたからそれまでの事一切知らないんだ」


ナナシの言葉にリルとルリエッタも頷いていた。

どうやらリルは同じ馬車に乗っており、ルリエッタはそれより以前に同じ様に意識を取り戻して奴隷に売られていたのだ。


「ほなら事の発端の3ヶ月前の事から話すとするかぁ~」


骸骨のスケさんが何処から出ているのか分からない声で今まで一体何があったのかをゆっくりと語り始めた・・・

飽く迄もスケさんが分かる範囲でしか分からないのだがそれでも全く情報が無いよりかは随分とマシであった。

彼の話によると、3ヶ月前にスケさんを含む大地が突如空に浮かび上がりこの世界にやって来た。

そして、この区を支配している死神将軍が他の区とほぼ同時に宣戦布告を発表した!

だが・・・


「自分等も分かってると思うけどレベル1になってるやろ?」

「あ・・・あぁ・・・」


ナナシの返答に続きリルとルリエッタも頷いていた。

ナナシはアナザーゴブリンを倒した事でレベルも上がっていた筈なのに1に戻り魔法も使えなくなっていた事をずっと疑問に思っていたのだが・・・


「それな、区を移動したらその区のルールに書き換えられるねん。しかも別の区から来た者はレベルを上げる事が出来ないんや


スケさんの言葉に3人は絶句していた。

そして、それが世界を区で分けたにも関わらず区同士で争いが現在行なわれていない理由でもあった。

どんな強さを持った者であっても区を移動するとその世界のルールに従ったステータスに強制変化させられる。

そして、そのレベルは最小の1であった。

侵略として区を移動した者は人間や魔物の区別無く最弱の存在となりその世界ではレベルを上げる事は出来ないのだ。

だからこそ他の区を攻める意味そのものが無くなったといっても過言ではなかった。

だが・・・


「それでな、唯一別の区に移動してもそいつを成長させる方法が編み出されたんや・・・それが・・・」

「魔石を埋め込んでその区でも生きられるように転生させる方法と言うわけか・・・」


ナナシの言葉にスケさんも驚きここまでの短い時間で得た情報から真実を導き出したナナシに驚く。

だがその転生にはその区でしか生きられなくなるという副作用があったとスケさんが語った・・・

つまり区を移動するとレベルは1になり成長する事は無い、だが転生をすれば成長をする事が出来るようになる代わりにその区以外で生きる事が出来なくなる。

まさしく諸刃の剣とも言える内容でそれが結果的に大戦争を始まる前に終わらせる結果に導いたのであった。


「でもまぁ何処の区も潜入させて転生させそこで情報収集などは行なっているって話やけどな」


スケさんの予想であったがそれは確実であろうと話を聞いた誰もが考えていた。


「ワシが知ってるのはこれくらいやな、参考になったか?」

「あぁ、金貨1枚分の価値は有る情報だったよ」

「はははっこれで借金が減るのなら幾らでも話すで」


その後、ナナシとリルはスケさんに色々と質問を母親が買い物から帰ってくるまでし続けるのであった・・・


「いただきまーす!」


ナナシが商品代金を出した事でスケさんの家では普段は見れないような豪華な料理が所狭しと並んでいた。

豪華な料理の代金をナナシが出してくれるのに料理を作れば借金を減らしてもらえる。

そう考えた母親は頑張りすぎたのであった。


「うまぁーい!!!」


一体骨だけの体の何処に入って消化するのか興味を持つが聞かない方が幸せかもしれないとリルもナナシも視線を向けるだけで気にせず食事を続ける・・・

そんな2人に並んで一緒に食事を取っているルリエッタは非常にオロオロしながら少しずつ少しずつ食事をしていた。

奴隷から開放されたと言っても誓約で縛る事は可能なのだ。

これは魔法ではなく奴隷と主人の主従契約の呪いなので教わったとおりナナシはそれを使用した振りを行なっていた。

実際にはルリエッタは本当に開放されているのだ。

だがそれを知らない彼女はナナシの食事が終わってから残り物を頂こうと現在は殆ど食べてはいなかった。

そしてその気持ちをナナシとリルは理解していた。


「ルリエッタ、別に気にしないで好きなだけ食べたら良いんだよ」

「えっ・・・でも・・・」

「君はもう奴隷じゃないんだからね、早くしっかり食べないとスケ母に全部食べられちゃうよ」


その言葉に食卓を囲む全員がスケ母に視線を向けていた。

そこには我先に全部喰らい尽くすと言わんばかりの勢いで料理を口に入れ続けるスケ母の姿が・・・


「あんた達、しっかり食べないと!食事は戦場なのよ!」


口の中に一杯の料理を詰め込んでいるにも関わらずしっかりとした言葉で告げられた言葉に驚きつつも手が進まないルリエッタであった。

そこでナナシはそれに目をつけた!


「スケさん、これちょっと借りるな」

「んっ?あぁ別にええで」


ナナシはそれを手にルリエッタの近くへ移動してそれを手渡す。


「えっ?えっと・・・これは?」


意味を理解していないルリエッタはナナシから渡されたドレッシングの細長い容器を手に困惑していた。

しかし、ナナシの脳内ではこの場面が動画に撮られているのだとしたら・・・

嵐ならきっと自分が目覚めた事に気付いて新しい動画を作成している筈だと考えナナシは次の動画のネタとしてそのドレッシングを手渡す。

そして・・・一言・・・


「それを混ざるようにしっかり振ってくれ」


言われた通りルリエッタはその場に立ち上がり必死にドレッシングを振るルリエッタを眺めるのであった・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ