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第3話 異世界転移とチャンネル登録

『準備は万全だぜ相棒』


嵐は翌日の同じくらいの時間に念話を送る。


「こちらも大丈夫だ」


嵐がパソコンで念話の通じている場所を調べると七志が一人で通う中学の裏山の画面が写った。

早速嵐は念話で撮影を開始する旨を伝え七志が了解する。


『よしオッケーだ。適当に挨拶から始めてくれ、最悪こちらで編集するから気楽にでいいぞ』

「……」


七志は後ろを振り返り町並みに別れを告げているのか遠い目をしていた。

嵐はそれを見てアドバイス等を与えるのみで本人の好きに行動させるのを決めた。

撮影内容はどうするか悩んでいたがその時に自然にそう決まったのだ。


『それじゃ、行くぞ!』


嵐は昨日打ち込んだプログラムを作動させる。

七志の目の前に空間の揺らぎの様なものが現れそこが開いて中の虹色の空間が写る。

本来ならそれが開く前に見付けて報告し処理するのが嵐の仕事なのだが一度だけ開く側に回ったのだ。


「それじゃ行くぞ!」


七志が足を踏み出しその空間の割れ目へ入る。

その瞬間、この世界から七志は完全に消滅した。

人々の記憶からは彼の存在は消失し彼の存在した事実は無に帰る。

嵐はウィンドウをもうひとつ開いて七志の部屋が消えていくのを撮影する。


「体が…軽い…」


七志の自宅をみていた嵐は七志の声に反応して視線を戻す。

そこには無重力の中を跳ねるように進む七志の姿が写っていた。


『相棒、体に異変はないか?』

「こちらは大丈夫だ相棒、このまままっすぐ進めばいいのか?」

『あぁ真っ直ぐ行くとまた同じ様な空間の割れ目が…』

「あっ!あれか!」


七志の速度が上がる、ずっと思い描いてた異世界へ行けるのだから仕方がないだろう。

そして、七志はその空間の割れ目を通り抜けマジックアートワールドに足を踏み入れたのであった。






『よし、今日はここまでだな』


嵐はパソコンで世界の時間を止めた。

これは観測者の力の一つ監視世界の時間停止である。

勿論これは七志も知っている。

防犯カメラの様に24時間撮影を続けては動画を編集する時間がないからだ。

早速嵐は今日の映像を編集しユーデューブにアップロードを開始する。

記念すべき初の動画のタイトルを決めて打ち込んでアップロードされてるのを確認し満足気に頷いて手元の本を開いて読み始める。


それは異世界へ転生した主人公が冒険を繰り広げる物語。

昨日目覚めた嵐には分かっていた。

それを書いたのが自分と同じ観測者の立場であり、事実の物語であると…


彼のパソコンには七志の動画のみをアップロードするチャンネルに一つ『異世界へ転移してみた』と言うタイトルの動画が表示されそのカウントが既に50を超えているのに嵐はまだ気付かなかった…

次は明日の朝時間があれば…

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