黒のゲーマーは復讐をするそうですよ
さてどの子を呼ぼうかなと陸翔は考えていた。
相手に恐怖を与えるのに一番なのならジークフリードが一番いいんだが……
あいつだとでがすぎるんだよな。
それなら彼女に任せよう。
そんなことを考えていると三人組も調度息切れも治ったみたいですぐにこっちに向かってきた。
「我、そなたと契約せし物なり、契約に従い、今召喚に答えよ!」
【召喚:ユリカ】
目の前に魔法陣が現れそこから、無数のコウモリたちが出てくる。
それが形となり、一人の少女となった。黒のドレスに白の髪、赤い瞳と唇が妖艶な色気を漂わせる。
「召喚の方法はゲームの時といっしょでよかったみたいだな」
こちらに気づいたユリカという少女は、こちらを不思議そうに見ている。
「ご主人様は何のこと言ってるの?」
「・・・・・・はぁ!?」
陸翔は驚いていた。ユリカはゲームの時は仕様上しゃべれなかった。
というよりボイスがなかったのである。
そんな彼女がしゃべるとなるとやはりここはゲームの時と何かが違うと思わされる。
「大丈夫?」
ユリカが、目の前に迫って顔を覗き込んできた。
「あ、あぁ大丈夫だ」
そんな会話をしていると三人組がしびれをきらし、ユリカを拘束した。
「へぇへぇ、だれだが知らないが上玉じゃねえか」
そんな頭の悪そうな三人組の会話が聞こえてきた。
ユリカは、陸翔の方を向いていった。
「ご主人様わたしどうすればいいの?」
陸翔は命令する。
「死なない程度にその三人組をドレインしてくれ」
「了解」
ユリカは、拘束していた男の腕にかみついた。
「いって!」
男は腕から離そうとしたが、かなりの力でふりほどけなかった。
ユリカが口を離すとその男は力なく倒れた。
三人組のリーダーともうひとりは、顔を青ざめて逃げようとした。
だがユリカのスピードにはかなわず二人ともドレインされてしまった。
「ごちそうさまでした」
ユリカは二人を投げ捨てて、陸翔の元に向かっていく。
「どうだった」
陸翔は率直な感想を求めた。
ユリカは首を横に振り
「あまり手ごたえがなかった」
「そうか」
陸翔は納得し、三人への復讐を果たした。
妙にすっきりとした感覚が陸翔にはあった。
あれだけいじめられていた、三人組に勝ったのだ。
これ以上すがすがしい気持ちはないと心から思った。
だが次の行動を考えなくちゃな、
「まずは一回拠点に戻るかな」
「そのほうがいいと思う」
ユリカも賛成してくれたので、あいつを呼ぼうと思う。
陸翔は詠唱を開始した。
「我、そなたと契約せし物なり、契約に従い、今召喚に答えよ!」
【召喚:プロートタートル】
雲の上から大陸くらいの亀が下りてきて、いつものようにはしごが自分の近くに落ちてきた。
そしてユリカといっしょにはしごをつかもうとしたときだった。
さっきまで呆然としていた、クラスメイトが俺らのまわりに集まってきた。
「なぁお前クロトだろ、頼むよ助けてくれよ」
「俺たち友達だろ」
「私たちも乗せえてよ~」
そんなことを口々に言いだした。
陸翔はそんな集団を鼻で笑った。
「リアルで俺を助けなかったくせに、今度は助けてくださいだ~、ふざけんじゃねーよ!」
クラスメイトを振り払い、ユリカとともにはしごをつかみ引き上げてもらった。
しばらくするとクラスメイトも豆粒くらいに小さくなっていった。
そうして俺たちは、空の彼方へと消えた。