黒のゲーマーは異世界召喚されたみたいですよ
まばゆい光が消えるとそこにはファンタジー世界でよく見る、一面に広がる草原であった。
「な!?」
陸翔はこのことに驚き、何が起こったと思い、まわりを見まわした。
周りにはさっきまで教室にいた生徒達がおりみな制服ではない服装をしていた。
だがあの服はどこかで見た気がする。
すると後ろから声をかけられた。
「おい、陸翔なんだよその恰好は?」
さっきまで殴られてた三人組から陸翔に対してそのような言葉をかけられた。陸翔は何のことだと思い自分の服装を見てみると、
「これは!」
服を確認してみてみると、名無しのゲームでいつも陸翔が着ている服装であった。
すると三人組は何か思いついたと言わんばかりに、にやにやとこちらを見つめていた。
三人組のリーダーが言った。
「陸翔、お前持ってるもの全部出せよ」
突然の提案に陸翔は、首を傾げた。
「な、なんで?」
するとリーダーの男が言った。
「お前にそんなもの似合わないからだよ、俺が有効活用してやるよ」
リーダーの男が、じりじりと少しずつ陸翔との距離をつめてくる。
自分はさっきの事もあり、動けずにいた。だが、心の中で叫ぶのだ。
それだけはいやだ……と
「い、いやだ」
「はぁ~?」
リーダーの男が距離をつめるのをやめた。
「お前今なんていったの」
「いやだって言ったんだ」
さっきよりも強い口調で陸翔は言った。
今ここで従ってしまったら、自分のやってきたゲームの思い出が消えるような気がするんだ。
だからどうしてもこれだけは、譲れなかった。
陸翔がリーダーの男の顔を見ると、教室でのように青筋を浮かべ、きれていた。
「調子に乗ってんじゃねーよ」
リーダーの男が間合いを詰め殴りかかってきた。
陸翔は目をつぶり衝撃が来るのを待った。
だがいくら待っても、衝撃はこなかった。
目をゆっくりと開けると驚くべき光景だった。
自分の頬には確かに当たっているのだ、だがふれらえている感覚はあるが、それ以外何も感じない
「お前今何をした!」
リーダーの男がさっきから殴ってくるがダメージがない、これはもしかして、そう思い手首にあれがあるかどうか確認する。
「あった」
手首にはメニュー画面を開くための腕輪があった。
他の生徒にもそれと同じものを持っていることが、確認できた。
つまりこれは、
「名無しのゲームと一緒だ」
陸翔がそのような結論に至ると、さっきから自分を殴っているリーダーの男が息を切らしながら、こっちにどすの利いた声で話しかけてきた。
「無視してんじゃねーよ!」
リーダーの男が、もう一度殴ってきたのでその手をつかんだ。
「一つ聞くが、お前は名無しのゲームをプレイしたことがあるか?」
「お前何上から目線で物言ってんだ!」
陸翔は普段の鋭い目線をもっと鋭くし、どすの利いた声で言った。
「いいから答えろよ」
その声に一瞬驚きリーダーの男が口を開いた。
「やったことがあるが、それがなんだってんだよ」
これで確信した。
これは名無しのゲームをプレイしたことがある人間が呼ばれる異世界の可能性が高い。
そしてさっき殴られてわかった。この体は僕のゲームキャラそのものなんだと。
そんな推測をしていると、三人組が陸翔を囲むように立っていた。
「お前さっきから調子乗りすぎなんだよ」
今度は三人で殴りかかってきたが、結果はさっきと変わらなかった。
三人は疲れて息切れしていた。
さっきからダメージがないとはいえ、殴られてるのは陸翔的には不快なものだった。
「さて検証がてら的になってもらうかな」
陸翔は不敵な笑みを浮かべゲームと同じように詠唱を始めた。