黒のゲーマー
名無しのゲームのとある酒場で男たちが、酒を飲みながら何やら話していた。
「おい聞いたか? また高難易度のクエストをクリアされたらしいぜ」
頭がスキンヘッドの男がそういうと隣にいた髪の長い男は驚愕していた。
「まじかよ! ていうことはまたあいつか?」
「あぁ、クロトだよ」
スキンヘッドの男はまたかと言わんばかりに噂話を続けた。
「普通は12人パーティーで挑むクエストをたった一人と使役してるモンスターで倒しちまいやがった」
そこで髪の長い男が疑問に思った。
「あれ? でも使役って召喚術の類だよな?」
「そのはずだぞ」
スキンヘッドの男はそんなのあたりまえだろと言わんばかりに言った。
「でも召喚士はネタ職業って言われてなかったけ」
そう召喚士はこの名無しのゲームの中で一番のネタ職として名をはせていた。
使役するには素手で倒すという何とも高難易度な方法でしなければならないというまさにネタ職業である。
「そりゃあ、高難易度クエストもクリアするくらいだから、それくらい簡単にやってのけるだろう」
スキンヘッドの男は率直なことを言った。
「そんな強いやつが何でギルドに入らないんだろうな」
「俺もそれは疑問に思ってた」
そう彼はソロプレイヤーなのだ。
誰ともフレンドにならず、ギルドにも所属しないプレイヤー。
スキンヘッドの男の顔が、険しくなり何か一点を見ている。
「噂をすれば来たぜ」
髪の長い男も振り返るとそこには先ほど話していた、ゲーマーがいた。
全身を黒で統一されたローブに、黒い髪、目つきは鋭く背は大体170センチくらいだろう。
「あれが噂のクロトか」
長い髪の男は、息を飲んだ。
そう彼が、黒のゲーマーの名を持つクロトというプレイヤーだ。
その隣には可憐な少女の姿があった。
黒のドレスに白い髪、赤い瞳と唇が妖艶な色気を漂わせる。
背は160センチで胸も大きすぎず小さすぎずといったところだろうか。
男たちが、その少女に熱い視線を送っていると隣にいた男が、親の仇でも見るような顔になり、男たちをにらみつけた。
その迫力にびびってしまって、男たちは目線をそらした。
そして彼と彼女も足早に行ってしまった。
皆が行ったことを確認すると誰しもが安堵した。
「にらみであれだもんな」
「そりゃあフレンドも出来んわ」
二人でそんなことをいいつつ、また飲みなおそうとグラスを手に持った。