大和と哲二
大和目線──
さっきまであねごと話していたが、高校を勧められた。
「高校で学んで損はないよ。」
とのこと。
なんだか、その言葉を信じたくなった。
俺たち養護施設では基本的に義務教育後は就職。
高校進学したとしても学費は出してもらえないからだ。
確かに憧れてはいた。
でも現実は甘くなく、それを僕らは受け入れるしかなかった。
もし高校に行くなら今のままじゃだめだ。
「なぁ、大和。」
「ん?」
「俺さ、高校行きてぇかも」
「哲二っ!」
「お、俺さ…バカだし、高校入れるかわかんねぇーけど…」
「僕も同じ事考えてた…高校行きたい!」
「大和っ!」
「なら僕らはもう辞めなきゃいけないよね。あんなことも。そして、朔と柚木に言わなきゃ。」
そしてこの晩、僕たちは決めた。
「僕と哲二はもう四天王として力で君臨すること辞めようと思う」
「なんでだよ、大和」
柚木もにらんできている
「なんかバカらしくなったんだ。力で勝ったって残らないんだよ、なんにも。」
「俺ら、高校行きたいし。」
「は?大和ならまだしもお前が行けるわけないだろ?」
「行くよ。決めたんだ!」
「勝手にしろよ。」
「二人とも、おかしいよ。」
しばらく朔と柚木は話すらしてくれなくなった。
まるで今まで築いてきたものが崩れ去った気がして辛かった。
四天王解散の話は友愛園にとどまらず中学、そして支配地域に広まった。
朔は反抗して一人でもケンカしてたが一人で出来ることは限られ勢力範囲は狭まった。
四天王伝説と呼ばれたものはたった1ヶ月で急激に聞かなくなった。