00『追イタクナイ想イデ』
その日の思い出は今でもきらきら輝いている。
小さな部屋に、小さな机。
壁には、折り紙で作った飾りが端々に飾られていて、使い古した座布団を小さな子供が抱き締めて座っていた。
それは楽しみにしていた誕生日の思い出。
物心ついた頃から、父は無く、母親と二人で慎ましく暮らしている、そんな子供。
誕生日だからと、「早めに帰ってくるね」と朝と交わした約束を、今か今かと楽しみにしていた。
その時間が、きらきらした思い出の最後。
あと数分。
あと数分で、この世に生まれ落ちた時刻になり、子供は7歳になる。
カチッ
時計の針が動いた。
キキィー!!というブレーキ音と共にドン!!と何かがぶつかるような音が遠くで聞こえたような気がした。
子供はそのことに首をかしげながらも、時計を見上げる。
――約束の時間はとうに過ぎていた。
「…お母さん、まだかなぁ…」
子供の呟きにケーキの蝋燭が独りでに火を灯す。
その色は赤ではなく、蒼。
美しく、そして妖しい不可思議な炎。
…それは俺が普通の人間であった最後の日。
初めまして、春霧と申します。
片付けの際に、前に運営できなくなったサイトで書いてた小説のプロットやら文章が出てきたので、続きを書きたくて投稿する事にしました。
続きを書くに当たって、いろいろと書きなおしたりしてます。
神話とか妖精とか妖怪スキーな趣味を詰め込めたらいいなーと思います。
『百ノ鬼ト夜ヲ行ク』(百鬼夜行)はいわゆる、BLの学園王道ストーリーをなぞってるようでなぞってない感じにして行きたい所。
なお、人外の設定とか、いろいろ都合よく解釈しているものが多いので、「えっ違う!」っていう所があっても、多めに見て頂けれると嬉しく思います。。
楽しんでいただけたら幸いです。(・ω・)ノ