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俺たちは正義のヒーローにはなれない!  作者: 蒼羽隼
2015.9.5 ~変身は突然に~
4/8

遭遇

 道場を出た俺たちは駅に向かっていた。昼食は翔也の希望である日本食と、俺の懐事情から山のほうにあるなじみのそば屋で食べることになった。

 俺の叫び声を聞いた翔也は5分ほど爆笑したあげく、電車の中でもにやにやした顔でこっちを見ている。真剣に言っているというのに……。


 そば屋「森のそば」は自然に囲まれた静かな店だ。静かな、というのは『落ち着いている』という意味と、『客があまりいない』という意味だ。(そんなことを言っていると店主の森さんに怒られそうだが……)

 最寄りの駅から徒歩30分という遠さと木に囲まれた緑色の建物がその原因だと思う。そばの味は絶品で近くの畑で採れたそば粉を使っているのでとても安い。いわゆる穴場のお店だ。走り込みなどでここら辺を走っていた時期がありその時に見つけたのだ。


 「ほい、おまち!」

 「「いただきまーす」」

 店に入ってカウンターに座りそれぞれ注文すると、すぐにそばが出てきた。俺らのほかにお客はいないらしく、森さんは半分やけくそで「おまけだ!!」と言いながら次々とてんぷらや油揚げなんかを器に放り込んでくる。

 「くー、やっぱ日本人は日本食だよ。パンはいいとしても3日くらいで飽きてくるからなー」

 そんなことを言いながら豪快にそばをすすり込む翔也、飛び散ったつゆが当たらないように一席横へ逃げる。

 「普通そう言うセリフは米を食べた時に言うもんじゃないか?」

 「いいんだよ。醤油と味噌とダシの味、これが日本を感じる味だ。そばでもいいんだ」

 「でもいい、はないだろうよ。そばこそ日本だ!」

 翔也の言葉を聞いて森さんが乱入し、二人で『日本の味』について言い争いを始めた。

 俺は特に加わる気もないので傍観する。


 そして、10分ほどたち、二人の声も最初の勢いがなくなってきたころだ。


ズバーン!!!!

 

 すさまじい爆発音が聞こえ、店が大きく揺れた。

「「「うわ!」」」

 翔也は慌ててカウンターの下に潜り込み、親父さんは鍋を頭にかぶり、俺はコケないようにつかまる。揺れは30秒ほどで収まった。

 それぞれが安全なことを確認する。ここにいても分からないので外に出てみる。一見特に変わったところはないような……

 「おい、あれ見ろよ」

 親父さんが指さした先には黒い煙が一本立ち上っている。

 「俺見てくるわ!」

 早速翔也が走り出す。その顔にはなぜか子供のような笑みが浮かんでいるのを俺は見逃さなかった。

 「ちょっ、待てよ!」

 おれも翔也を追いかけて走り出す。野次馬なんてやってもいいことないと思うんだけどな……。



 「うわ、何があったんだ」

 黒煙が出ていたのは森の中にある廃墟だった。

 元は何かの工場だったんだろうが今は使われていない建物が3つほど建っている。その中のひとつが壊されて、黒煙を出していた。ひどい爆発でもあったのかあたりは焦げくさく、建物は完全にただのがれきの山になっていた。

 「おい、あそこにいるのって新聞のヒーローじゃないか?」

 翔也の驚いた声で知らせてくる。

 建物から少し離れた場所にある広い空き地だ。もとは駐車場か何かだったんだろう。

 そこには四人のヒーローと、二人が向かい合っている。ブルー、ホワイト、イエロー、グリーンの順に並んでいるのは間違いなく今日見た新聞のヒーローだ。レッドがいないのが気になる。


 二人組のうち一人は新聞に載っていた仮面の男だ。そしてもう一人は異様な外見をしていた。

 腕や足、胴体を四角い鉄板で覆われ、顔も機械的だ。背中に背負ったバックパックからは蒸気が噴き出し、右手には刀、左は手がない代わりに小さな大砲のようになっている。銃口から煙が出ているので建物をがれきに変えたのはたぶんあれだろう。

 まさに「戦闘ロボット」という表現が一番しっくりくる。


 「とりあえず隠れた方がいいな」

 見つかった場合何が起こるか分からないのでがれきの山へ移動して、見つからないようにした。都合がいいのかどうかわからないが、がれきからだと広場までの距離は意外と近く、会話や様子がよくわかる。


 「レンジェンス、何で俺らの居場所が分かった?」

 ブルーが言った。どうやらヒーローたちはここに待機していたらしい。そこに敵であるジャスターズがやってきたようだ。

 「何の事もない。私は組織で新たに作ったAI機械戦闘兵、ボマーのテストに来ただけだ」

 あのおかしな奴はどうやらロボットのようだ。

 「くそ、何だよその偶然は……」

 イエローがぼやいた。

 「とにかく、逮捕します」

 グリーンの声を合図にそれぞれ武器を構えるヒーローたち。しかしレンジェンスは慌てない。

 「レッドがいないようだがどうしたんだね?」

 その言葉に、ヒーローたちが一瞬だけひるむ。当然、答えはなかった。

 「そんなことはどうでもいいだろ、レンジェンス。さっさと残りも殺っちまえばいい」

 そう言って武器を構えるAI戦闘兵ボマー。

 「いいだろう。私は一足先に帰ってお前を出迎えるとしようか。良い戦果をを期待しているよ」

 レンジェンスはカプセルのようなものを取り出して、地面にたたきつける。閃光が走り、レンジェンスの姿は無くなっていた。

 ボマーが左手の銃口をヒーローたちに向ける。

 「さぁ、始めようぜ」


 「「おりゃー!」」

 ブルーとイエローがボマーに突っ込んでいく。

 ジャンプしたイエローが上から殴りかかる。ボマーは後ろに飛んでよけた。

 そこへ着地の隙を見逃さず、ブルーが切り込む。ボマーは刀でこれを防ぎ、ブルーを蹴り飛ばした。

 後ろにいたイエローは飛んできたブルーを受け止めきれず、一緒に弾き飛ばされる。

 今度は二人の隙を埋めるために、ホワイトとグリーンが左右に開き銃を構える。しかし、その動きをボマーは予測していたようだ。グリーンとの距離を詰めて殴る。飛ばされたグリーンは倒れていた二人のところに落ちる。

 ボマーはホワイトに左の銃口を向けると素早く撃った。横によけるホワイト。しかし、弾は地面に当たると爆発を起こした。どうやら左手はグレネードランチャーになっているようだ。爆風に巻き込まれたホワイトが落ちたのは三人のいる場所だった。

 「終わりだ!」

 ボマーが集まっている四人に向かってグレネードを乱射する。すさまじい爆発が起こり、四人は吹き飛ばされた。


 完全に敵のペースで戦いが進んでいた。四人は倒れたまま苦痛の声をあげている。

 「さあ、一人ずつあの世へ送ってやる」

 刀を構えたボマーが、ゆっくりと四人へと歩いて行く。



 「くそ、なんとかしないと」

 立ち上がった俺を、翔也が引きとめる。

 「待てよ、お前が行っても何も変わらないって」

 「でも、ここままでいいのかよ!」

 「よくねーけど……だからって」

 俺にだってわかってる。ヒーローがやられてるのに俺が行っても意味がないのは。でも俺は、目の前で誰かがピンチの時に逃げることなんて……


 カラーン

 突然後ろで何かが地面に落ちて音をたてた。

 振り向くとそこには剣が一本落ちていた。がれきの間から落ちてきたんだろう。

 長さ50センチくらい、刀身は三角形で透明にも近い銀色、持ち手は赤色を基本にして装飾されている。


 「おい、何だよそれ」

 翔也が後ろから覗き込んできた。

 「いや、わからないけど……」

 ためしに剣を持ってみる。

 「ピッ、生体反応確認。使用者認証を開始します」

 突然剣から音声が流れだし、持ち手にある丸い装飾が光りだした。

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