表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺たちは正義のヒーローにはなれない!  作者: 蒼羽隼
2015.9.4 ~その始まり~
2/8

ヒーローあらわる

 光の中から現れたのは5人のヒーローだった。

 赤、青、黄、緑、白の5色に塗り分けられた特殊スーツを着て、マスクをかぶったその姿は、誰もが一度は見たことがある戦隊ヒーローだ。

 一般市民の手に負えない強力な悪人を、その特殊な装備と力で倒し、平和を取り戻す。今もっとも必要な存在だった。

 

 「ジャスターズ! お前らの悪事もそこまでだ!」

 レッドが仮面の男に向かって宣言する。男が彼らのほうを向き、相変わらずのきざな口調で言った。

 「ほう、貴様らは一体何者だ」

 「俺たちは時空警備隊だ。レンジェンス、お前には時空混乱罪で逮捕状が出ている。おとなしく捕まってもらおう」

 「そんな説明で私が捕まってやると思うのか?」

 「無理、だろうな」

 向かい合う彼らの間には緊張が漂っている。周りが一瞬の静けさに包まれた。


 「行け、ロバット!」

 レンジェンスの合図とともに、何十体ものロボットがヒーローたちに襲いかかる。ヒーローたちもそれぞれ武器を持って応戦する。

 「スラッシャー!」

 レッドの手に握られたのは2本の剣だった。

 素早く動き、次々と敵を切りつける。横にいるブルーも同じように剣で戦っている。

 「スマッシュグローブ!」

 イエローは両手に着けた大きなナックルで敵を殴り飛ばす。

 「シューター!」

 グリーンとホワイトは拳銃を構え、レーザー弾で撃ち抜く。

 警察が束になって何も出来なかったロボットたちを、たった5人で次々と倒していった。


 「覚悟しろ、レンジェンス!」

 レッドが乱戦から抜け出し、仮面の男に切りかかる。男もサーベルを抜き、応戦する。

 レッドの剣が踊るように、男へ襲いかかる。

 鋭く縦に振られた右手の剣を男は右へと避ける。そこへレッドが左の剣で突きを放つ、男はサーベルではじくと剣の刃を滑らせて、レッドへと切りつける。それを右の剣が防ぎ、つば競り合いになった。

 「ほう、なかなか楽しませてくれるじゃないか」

 「余裕があるのも今のうちだぜ!」

 レッドが剣を強くぶつけて、男との距離をとる。

 そして再び接近し、激しい戦いが始まった。


 「これでおわりだー!」

 レッドと男の戦いが始まって3分、イエローが最後のロボットを吹き飛ばした。

 「レッド! 大丈夫か!」

 ブルーがレッドに呼びかける。二人の戦いはこう着状態だった。

 5メートルほどの距離を置いて、二人がにらみ合っている。

 「今のところは大丈夫さ」

 レッドがブルーに答えた。男はロボットが倒されて、自分が不利になったことに気づいた。

 「次で、最後にしよう」

 「ああ、これで決めよう」

 二人はそれぞれの武器を構え、力をためる。すべての感覚を研ぎ澄ませる。風が二人の間を吹き抜ける。

 

 まるで、すべて決められていたことのように、二人が同時に飛び出した。

 風が止んだとき、一瞬の戦いの決着がついていた。

 「ぐあ!」

 レッドの剣が男の右肩に深く刺さっている。男の手からサーベルが抜け落ち、乾いた金属音をたてる。

 しかし男はあきらめなかった。左手でマントに隠していたレーザーガンを取り出し、至近距離からレッドの胸へと打ち込んだ。

 「うわ!」

 レッドは後ろへ吹き飛ばされる。

 「レッド! しっかりしろ!」

 すぐに仲間達が駆けよる。レーザー弾は特殊スーツに穴をあけ、レッドの体を貫いていた。

 仮面の男はよろけながら立ち上がると、ヒーローたちをにらみつける。

 「今日のところは引くとしよう。だが、我々ジャスターズの日本占領計画は始まったばかりだ。次に邪魔するときは全員あの世へ送ってやる!」

 そう言うと男は丸いカプセルを取り出し、地面に投げつけた。

 閃光がまき散らされ、一瞬視界をさえぎる。次に見た時には、男の姿はそこにはなかった。


 「くそ、逃げやがった!」

 イエローが悔しそうに言う。

 「とにかく僕らも移動しましょう。レッドさんの手当てが先です」

 グリーンの提案に全員がうなずく。ブルーがレッドを抱え上げた。

 そうして、ヒーローたちも現場から走り去って行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ