第三話「お買い物」
あれから数日がたった。今俺たちは近くのショッピングセンターに来ている。
親族会議が行われたのがGWだったおかげで特に困ることなく生活できたが、もうすぐ学校が始まるのでそろそろその辺りの用意をする必要が出てきたのだ。もう少し早く来たかったが、来て二日は口を利くのもままならないぐらい酷い状態だった。よっぽどひどい扱いを受けていたんだろうと思う。だが、三日、四日とたっていくうちに心を開いてくれて六日目の今日は笑える程度には回復していた。
今は洋服コーナーの辺りでキョロキョロしている。
「何かいいのあった?」
俺がそう言うとアズハは一瞬ビクっとした後、「コレが欲しいです・・・」とワイシャツを持ってきた。
「ワイシャツ?」
あれ?ワイシャツって普通小学生の女の子が欲しがるものなのか?
「え、こんなのでいいのか?」
「えっと・・・、借りてたワイシャツが着やすかったから。あと、お兄ちゃんの部屋にあった本で見て可愛かったし・・・・」
本?・・・・ってありゃ小学生の読んでいい本じゃねぇ!!
「え、ちょ、どこまで読んだの?」
そういうとアズハは顔を赤らめて「変なとこは見てない」と言った。・・・・変なとこって言ってる時点で見ちゃったんだろう。俺はとりあえず「そっか・・・」と引きつった顔で答えるしかなかった。
「まぁワイシャツなら俺の使ってないのあげるから、他に何か好きなやつ選ぶといいよ」
気まずい雰囲気の中アズハは洋服を探しに行った。念のために言っておくが彼女が読んだと思われるのはエロ本ではない。年に二回あるおっきな祭典で買った「Yシャツ少女」という同人誌で、彼女が言っていた変なのとはボタンを全部はずした胸全開の部分のことだろう。
しばらくしてアズハが戻ってきて「コレが欲しい」とブラウスとスカートを持ってきた。ワイシャツとほとんど変わらないがブラウスの方がいくらか女の子らしい作りになっている。
「よし、じゃあパジャマはどうする?」
「あ、向こうに欲しいのがあったけど高い・・・・」
「気にスンナ。あと他に服いらねーの?同じやつでもいいから後何着かないと雨の日とか乾かなくて困るぜ」
俺がそう言うとアズハはワンピースを二着持ってきて「コレも高い」と言ったが、俺は気にせずにカゴに入れた。
「気にしなくていいって。じゃあパジャマ見に行く?」
「パジャマならこっちにあった・・・」
そう言って俺の服を引っ張りながらパジャマコーナーまで連れて来てくれた。
「これ・・・・」
そう言ってアズハが取り出したものは確かに高かった。二着セットで一万二千円。さっきの服でも驚いたが、女の子用の服は男物に比べるとだいぶ高い。
「いいよ、他には欲しいのある?」
だが、駄目だといえる訳もなく俺はすんなりOKした。俺親父になったら子供甘やかすんだろうな・・・。
「あとパンツ買ってない・・・・・」
そう言って俺の服を引っ張っていこうとするがさすがに断った。
「いや、男の俺が女の子の下着が置いてあるところに入るのは・・・・」
そう言おうとした時アズハの目から涙がこぼれてきた。
「イヤ、嘘うそ。行くって!ほら行こう」
慌てて否定しても泣き止まないので抱っこして下着コーナーに入った。泣いてる女の子を抱っこして女性用の下着コーナーにいる俺は間違いなく目立っただろう・・・。
「コレ欲しい・・・」
それでも何とか泣き止んでアズハは欲しい物を指差した。パンツは割りと早くに決まって、俺は全部で三万円近くする買い物を済ませた。
「とりあえず買い終わったけど他に何か欲しいのある?」
俺はまだ抱っこしたままのアズハに尋ねた。降ろそうとしたらまた泣き出しそうになったので降ろせていない。
「アイス・・・・」
「あいわかった」
結局その日の出費はまた値上がりしたのだった・・・。
前よりはマシな文になった気がしますが。まだまだです^^;
これからも頑張っていくので応援お願いしますw