ゴルトラーンの檄
漆黒の駿馬に跨りしは、焦土の如き肌を持つ王
その髪、解けば馬上より地の果てに届かんとするも
今は編み束ねられ、腰に揺れるは征服者の誇りなり
殉教者アレファハーンの聖骸布を纏い 頭にはクレー族の古き慣習にして尊厳の源泉たる茨の冠を戴く
その名はベガロ、クレーの民を統べる者 グノロトーンを平らげし、勇猛なる征服者なり
王、ペンニ族との戦にあたりて、己の兵士たちにかく語れり。
汝、クレーの民よ、神は我らに道を示してくださった。
目指すは我らが宿敵ペンニ族の都市アガタなり!
この戦に得るもの、測り知れぬほどに大きい。
子々孫々に語り継がれん、尽きることなき栄光! 一千万の民を養うに足る金銀財宝! そして、とこしえに続く、神の聖なる祝福!
兵士よ!目に映るすべての命を殺せ!女を殺せ!子供を殺せ!老人も殺せ!鶏も、ヤギも牛も!たとえどんな生命であろうと殺しつくせ!
さすれば汝は全てを得るだろう!
すかさず兵士、歓呼の声をあげてこう応えり。
ベガロ王万歳!
神はそう望まれる!
神は至上なり!
大地は震え、黒鉄の波が押し寄せる 王の黒髪、編み目解け、戦風に舞えば それは死を告げる、巨大な鴉の翼の如し
黄金の都アガタ、その門は悲鳴と共に砕け散り 聖骸布を翻すベガロ、先陣を切って街を蹂躙せん
神の望みのままに!神の望みのままに!
剣光は閃き、沈まぬ陽の下で命を刈り取る 王の命に従い、慈悲は砂塵に打ち捨てられ 路地は鮮血に染まり、叫びは虚空へと消えゆく
鶏の羽ばたきも、幼子の泣き声も、等しく断たれ 富める都の金銀は、勝者の血塗られた手へと移る
一千万の糧、子々孫々の栄光、それは死骸の山の上に築かれり
夕刻、アガタを包むは、勝利の雄叫びと黒き煙 茨の冠を戴く征服者、灰の街を静かに見下ろし旗を掲げる。
神はそれを望まれた!神の望みのままに!神の望みのままに!




