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血に塗れた銀狐が自身の幸せを見つけるまで  作者: 骸崎 ミウ
幕間〜銀狐の姉は未だ晴れず
31/33

2.5ー2

外へ出てみれば既に大勢の人が外に出て空を見上げいた。



発着地点の中央には真っ黒な装いの不気味な人物……保全課の夜神隊長が立っていた。



空を見上げて見ると南方から陽の光に照らされてキラキラと光る長距離人材輸送砲の輸送玉が5つ見えて来た。



そして、輸送玉は遥か上空で砕け散り、6つの人影が空へと投げ出される。



「うわっ………ほんとに宙で砕けるんだ。あんなの無理だよ………」



隣で空を見上げていた悟が震えた声でそう言った。悟の異能力は戦闘向きではないから長距離人材輸送砲による移動は使えない。そもそもあれは戦時中に開発された欠陥品である。わざわざ移動に使おうとは思わない。……………普通なら。



そうしてまずは2つの人影が猛スピードで降下をはじめ、それぞれが氷と真っ黒な翼を出して失速して着陸した。氷の方は明らかに危険な雰囲気を漂わせる傷だらけの狼耳の子と夜神隊長とはまた違う不気味さを持つ爬虫類の尾を生やした真っ黒な子だ。



あの2人は遠くから見たことある。



なんでも傭兵上がりのコンビらしい。片方は戦闘狂、もう片方は暗殺者らしい。



そんな2人が何やら夜神隊長に言われてどこかに走って行った。



あとの4人はどうなんだろうと見上げて見ると………



そこには巨大なお椀の形をした物体が落ちてくる光景だった。そして、そのお椀が地面に落ちる瞬間、爆弾が破裂したかの様な爆音が響き渡り着陸した。



凄まじい衝撃波に見物人の大半が吹き飛ばされ、吹き飛ばされなかった者は爆音により耳がやられた。



私は吹き飛ばされはしなかったものの耳の方がやられた。



お椀は地面に大きくめり込んで周りの地面もめちゃくちゃになっており、その衝撃がどれほどのものかを物語っていた。



その凄まじい衝撃に夜神隊長はさも気にした様子も無く、スタスタとお椀に近づいていき中に入って行く。



あとの保全課に元からいる2人は煙を操る異能力者と怪力の異能力者だ。だからあのお椀は新しく入る2人のうちどちらかの異能力によって作り出された物だとわかる。



あの高度からの落下と先程の爆発に耐えられるだけの物を即席で作れるのはかなりの実力者だ。



そして、夜神隊長は小柄な2人の首根っこを掴んでお椀から出てきて、それに少し遅れて1つの影が出てきた。どうやら1人がもう1人を抱えてーーーーー



「ーーーーーーーーーぇ」



私は頭の中が真っ白になった。



1人は長身の顔に火傷の様な跡がある猫耳の女性。それはいい。けど、彼女が抱えているもう1人は…………



少し小柄で大きな真っ白な尾と狐耳が生えていて、右手が金属の甲冑の様になっている。そして、大人びいているが昔の面影を色濃く残していた。



それは…………もう二度と会えないと思っていた大切な大好きな妹、小鈴だった。



「ーーーー」



声を出そうにも声が出なかった。



私は、あの子に会う資格なんてないんだと心の中の自分にそう言われた様な気がしたから。



小鈴はもう片方の女性……おそらくはパートナーだろう……に向かって感情を露わに顔を赤くして何か言っている。多分、「降ろして」とかそういうことを言っているのだろう。



一方で言われた相方は小鈴に向かって笑いかけて、そのまま小鈴を抱えたまま歩みを進める。小鈴は観念したのか不貞腐れた顔で相方の首の方に腕を回して落ちない様にした。



………………あんなにも感情を露わにしている小鈴は何年分だろうか。



感情を表に出して身体を預ける程あの相方を信頼しているのだろう。



私は、小鈴がまた随分と遠くへ行ってしまった様な錯覚を感じた。

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