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血に塗れた銀狐が自身の幸せを見つけるまで  作者: 骸崎 ミウ
新たな同胞との出会い
23/33

2ー5

炎帝国軍南方山岳支部はいつもに増して賑やかである。



理由は大規模訓練終わり恒例の酒盛りだ。



「ほぉらぁ!もっと酒持って来いや!」



「あはははは!!やっぱ誰かと飲むお酒はいいねぇ!!」



まずは大声で騒いでいる酔っ払いが2人いる。燐と鬼娘の彩芽である。



燐は最近になって酒を飲む様になった。気分が良いときにはカパカパ呑んで次の日にはグロッキーになるのはお約束になっている。



一方で彩芽は自身が酒に由来する異能持ちだからか凄まじい勢いで酒樽を空けている。



酒飲み対決で死屍累々と倒れ伏す男達の中央にゲラゲラと笑い合う酔っ払いの2人。



まぁ……………別にアレはいい。問題は…………。



「ねぇねぇ小鈴ぅ〜?ボクと一緒に向こうで楽しいことしようよぉ〜?」



「しない」



「大丈夫だよぉ〜?痛いのは一瞬だし、気持ちいいからねぇ〜?」



「やらない」



「尻尾綺麗だねぇ〜?触ってもいい?」



「駄目」



とこんな風にさっきからアルジェントに引っ付かれている。見た感じ酔っては無い。つまりは素面でこれをやっているのだ。



一体なんなんだ………………。



私はアルジェントのパートナーであるノワールに助けを求めたが、ノワールは小さく合掌をして気配を薄くした。



「アルジェに懐かれたらある意味厄介だからねぇ。まぁ、でも悪い子じゃないんだけど」



と近くで肉を頬いっぱいに詰めて食べている葛葉がそう言った。



ちなみ酔っ払い共を除く私たちはというとバーベキューセットを囲んで楽しんでいるところだ。



まぁ、隣のアルジェントのおかげであまり食が進まないが。ーーーとその時、



「ーーしかし、今回も派手にやったのぉ。小鈴や?」



聞き慣れた声が聞こえて来て私は思わず、背筋が伸びた。恐る恐る振り返るとそこには軍服姿の祖父がいた。



「………………お、お爺ちゃん、なんで」



「なんでもなにも、そこの4人を連れて来たのは儂じゃからな。…………それよりも、何か言うことがあるじゃろ」



「………………ごめんなさい」



「……まぁ、良い。この辺りは雪崩が起こり易いからのぉ。幸い、怪我人はおらんかったし」



祖父の言う通り、この辺りは冬になり雪が積もると雪崩が起き易くなる。なんでも地形が関係しているみたいだけど、本当かどうかはわからない。



「それよりも小鈴や。最後の演習はどうじゃった?」



「……………色々あったけど、楽しかったよ」



私は祖父の言葉にそう返した。



……………そう。今日が最後だ。



明日から私と燐は揃って炎帝国軍近衛局に配属される。



近衛局は炎帝国首都を拠点とし、炎帝国各地から選りすぐりの人材が集まる軍警の総本部である。



エリート達が集まる場所に配属されるのは少し恐縮するが、軍の準最高位の"将軍"である祖父直属の部下であるから仕方ない。



玄角さんとはこれでお別れになってしまう。まぁ、今世の別れではないし、会おうと思えばすぐに会えるのだ。何故かというと玄角さんは燐の教育の為にここに居る為、燐の教育が終わり次第祖父の副官に戻るそうだ。



「そうか………、それは良かったのぉ。……ちなみにそこの4人も同じ部署に配属じゃからな」



「え?つまり……今回は顔合わせ?」



「そーゆーこと!よろしくね〜、小鈴ちゃん♪」



「そういうことだ小鈴。これからいっぱい楽しいことができるね〜♪」



と葛葉とアルジェントはそう言って、私の肩を叩いてきた。ちなみにノワールは静かにお茶を飲んでいる。



なんだか、波乱の日常になりそうだ。

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