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血に塗れた銀狐が自身の幸せを見つけるまで  作者: 骸崎 ミウ
新たな同胞との出会い
21/33

2ー3

〜防衛拠点B〜



燐と鬼娘が大暴れしている最中、少し離れた位置にあるこの防衛拠点もかなり追い詰められていた。



「畜生ッ!一体何匹いやがるんだ!」



「口じゃなくて手を動かせッ!なにがなんでも死守しろッ!」



彼らが対峙しているのは金属の獣達(・・・・・)である。身体の毛1本すら余す事なく金属でできた"獣"が縦横無尽に駆け巡り、防衛拠点へと侵入を試みている。



その数は目視できるだけでも100は優に超えている。



だが、これは例年に比べたら10分の1以下にしか過ぎない。原因はその金属の獣の長が別の何かに掛かりっきりになっているからだ。



「あははははッ!!いいねぇいいねぇ!!最ッ高だよ!こんなにワクワクするのは久しぶりだよッ!ボク達って案外相性がいいかもねぇ?」



そう嬉しそうに叫ぶのは古傷だらけの狼娘だ。



背は小鈴と同じくらいで髪は腰まで伸ばした手入れのされていないボサボサの銀髪、顔立ちは整っているもののどこか狂気じみており、瞳は金と水色のオッズアイである。全身に古傷を拵えており、体表の至る所に水晶の様な結晶が生えている。そして、頭には切り口の入った狼耳にゴワゴワとした尾が生えていた。



「さぁ、もっとだよ、もっともっとお互いの力をぶつけ合おうよッ!!」



狼娘はそう叫び、小鈴に向かって氷を纏わせた刀を振り下ろした。それを小鈴は大鎌で受け流して回避した。



「あはぁ!まるで水を斬っているみたいだ!もっとだ、もっと斬らせてよぉ!!」



と狼娘は頬を赤らめて目をギラギラさせながら連撃を繰り出した。



「……………っ」



小鈴はその顔に僅かな嫌悪感を示してその連撃を捌いていく。刀と大鎌とでは大鎌の方が不利に見えるが、彼女達は対等に争っている。



小鈴は漆黒の大鎌を軽々と振り回し、局地的な暴風を起こしている。1つ1つの斬撃が死にいらしめる威力を誇り、常に殺気を纏っていた。加えて、常に彼女の周囲には長剣や短剣が暴風雨のごとくそれら全てが狼娘へと降り注いでいた。



一方で狼娘は真っ白な刀身の刀を手に小鈴の攻撃の間に鋭く反撃を加えている。周りに明らかに自然のものでは無い冷気を纏わせて、降り荒れる剣の雨を空中に生成した氷柱で撃ち落としている。



その光景はまさに人智を超えた争いだった。



(玄角さんがサプライズを用意したって言っていたけど、まさか他の第5世代だなんて…………、それにさっきの爆発からするに燐の方にもいる筈ッ)



「ほらほら、余計なこと考えてると大怪我負うよぉ!」



と小鈴は斬り結ぶ中でそう考え事をしていると狼娘の斬撃が小鈴の首元を掠り、僅かに傷をつけた。



「…………ほんと手強いね。そういえば、貴女名前はなんていうの?」



「ボク?…………あぁ、確かに名乗って無かったね。ボクの名前は銀。雹咲(ひょうざき) (ぎん)だよ。といってもこの名前はボクを拾ってくれた人から貰った名前でね。元々は"アルジェント"って呼ばれていたんだ。だから、アルジェントって呼んで欲しいなぁ」



「そうですか。…………私は本条 小鈴です。玄角さん……熊の方に何を言われたかは知らないけど、勝つのは私だよアルジェント」



小鈴はそう言うと身体に金属を纏わせて細身のシルエットの全身鎧を形成すると9本の尾を蛇の様に太く長くして、先端が禍々しい形状の剣へと変化させた。そして、周りの空気が重くなる様な錯覚を感じさせるほどの殺気を放った。



「いいねぇ……ッ!!ボクも滾ってきたよッ!さぁもっと楽しもうじゃないか小鈴ッ!!」



と狼娘……アルジェントは小鈴と同じ様に氷を鎧の様に纏わせた。小鈴のものとは違い、荒々しいもので見る者に威圧をかけるものだった。



『『グルルルルアアアァァァァァ!!!』』



化け物の様な形相となった両者は睨み合いを効かせ合い、そして咆哮を上げた。山を揺らしてぶつかり合い、先程とは比べ物の無い量の剣と氷が吹き荒れ、化け物同士の攻防が始まった。

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